窒素酸化物と環境問題・・・

ppbレベルで問題になっているこの時代、"PPM信仰を打破せよ”という記事を載せる自民党御用達新聞・産経! 2009-08-08で、書いたが、
経済自滅もたらしかねぬ

 山本七平氏が「全体空気拘束主義」という巧みな呼び名で特徴づけたこの「空気支配」の傾向は、わが国の環境行政を驚くばかりに非科学的で、大衆迎合的な、行き過ぎたものにしてしまった。例えば、環境庁が定めたわが国のNO2の環境基準0・0二PPMは、(1)NO2濃度と慢性気管支炎の有症率との単純極まる相関関係を基礎にするという医学的誤謬(ごびゅう)と、(2)慢性気管支炎の有症率の自然水準三%以下の三都市とそれ以上の三都市の計六都市のデータから、最小二乗法で単純に直線を引き、その交点から0・0二PPMという基準値を導き出すという統計学的にも全く話にならないでたらめなものである。
・・・と、「非科学的な“PPM信仰”」とラベリングしている記事

民主党さんの思うとおりにはさせないぜが社是の産経新聞は、ずいぶん古い事象を持ち出してNO2規制批判している

おそらく、自民(=経団連)御用新聞は、
東京都が独自の排ガス規制などで実施しているディーゼル車対策。基準値が定められている従来のPM(粒子状物質)と共に、NOx(窒素酸化物)についても対象にすることが明らかになった(http://jafmate.jp/eco/20090213_785.php (2009年2月13日 eJAFMATE編集部)
・・・こういう流れに危機感を持ったのだろう。

窒素酸化物(N2O,NO2)の嫌疑は晴れたのだろうか?

大気汚染長期暴露が虚血性卒中リスクになるか、大規模症例対照研究で、NOxと虚血性卒中の関連を見いだせず、NOx(20-30μg/m3と、<10 μg/m3のオッズ比は 0.95(95%CI 0.86-1.06)であった。
Long-term exposure to air pollution and hospital admissions for ischemic stroke. A register-based case-control study using modelled NOx as exposure proxy
BMC Public Health 2009, 9:301doi:10.1186/1471-2458-9-301



PM10、 BS、 SO2を含めNO2が乳幼児の細気管支炎受診との関係(Environ Res. 2008 Jan;106(1):96-100. Epub 2007 Jun 21.
NO2は今でも子供の呼吸器影響には重要な指標(NO2 and children's respiratory symptoms in the PATY study. Occup Environ Med. 2006 Dec;63(12):828-35.)など、産経の記事とは違い、NO2に関する呼吸器症状との関連は学術的に取り上げられている。


N2Oには新たな展開が・・・
Nitrous Oxide (N2O): The Dominant Ozone-Depleting Substance Emitted in the 21st Century.
Ravishankara AR, Daniel JS, Portmann RW.
Science. 2009 Aug 31.


きわめて有害な酸化物
A. R. Ravishankaraらは、よく知られた数学モデルを用いて、亜酸化窒素が他の物質よりも、成層圏のオゾン層破壊を引き起こしていることを発見した。亜酸化窒素の排出量は現在大量であり、排出制限に今すぐ取りかからない限り、亜酸化窒素は21世紀最大規模のオゾン層破壊物質になるであろうと述べている。
http://www.sciencemag.jp/highlight/index.jsp?pno=174#tx_1


by internalmedicine | 2009-09-03 16:09 | 集中・救急医療  

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