高画像度MRI:37名に1名の偶発的病変発見 ・・・ 無所見患者へのMRI施行妥当性の議論必要
2009年 09月 04日
”無症候性脳梗塞”を含めた検討の場合は、高画像度MRIシークエンスを46-97歳の2000名のボランティア施行にて、血管造影シークエンスを行わない10%超にもその病変発見頻度は上るという報告であった。
この報告は、治療可能な脳病変(腫瘍、嚢胞、構造的血管異常、炎症性病変、他Chiari奇形・水頭症など)と、白質高密度、無症候性脳梗塞、微小脳出血の脳血管疾患マーカーを区別しているので、意義深い。
Incidental findings on brain magnetic resonance imaging: systematic review and meta-analysis
BMJ 2009;339:b3016
16研究で、19559名中135は腫瘍性のincidental な脳病変(頻度 0.70%、95%信頼区間 0.47-0.98%)で、年齢とともに増加する(χ2 線形傾向、P=0.003)
15研究、15559名の患者中375名で非腫瘍性incidentalな脳病変(頻度 2.0%、1.1%-3.1%、白質密度増強や、無症候性梗塞、微小出血は除外)
37回のMRIスキャンあたりに、一人の無症状患者脳病変検知
偶発的脳病変発見頻度は通常の解像度シリーズより高解像度で高い(4.3% v 1.7%, P<0.001)
年齢とともに偶発的脳病変発見頻度は増加する。
脳MRIは、研究・臨床実践の場で広く用いられ、検診目的で用いられる場合もある。脳MRIは無症候性の状態で見つかる偶発的病変が検知され、偶発病変の正確な推定頻度とその影響はまだ検討されてない。
今回の報告で、MRIによる偶発的病変発見粗頻度は2.7%で、37名の神経所見のない被験者に一人で見いだされることとなる。高画像度MRIシークエンスによる検査は標準MRIよりその頻度が高くなる(4.3% v 1.7%)
偶発的病変発見頻度に関して、研究・臨床的実践目的に関してだけでなく、検診目的使用の妥当性について議論すべき時期である。
by internalmedicine | 2009-09-04 08:44 | 中枢神経