ESC:非心臓手術の術前・周術心臓マネージメントガイドライン

日常臨床していると、リスクゼロという現実にはあり得ない患者・家族からの過度な要求や過剰な司法介入などにより、手術介入は危機的状態に陥ってると実感する。その危機的状況を一般国民は知らないし、知らされてない。一方的な”かわいそうな医療過誤被害者”と称する人たちだけの声を聞く、情報の非対称性による副事象も一つの原因と思う。


リスクはリスクとして客観的に評価・提示し、リスク認識の元、一定のガイダンスに従い、管理する・・・それが、術者にとっても、安心して手術を行う素地となる。

ESC(Barcelona, Spain)で、非心臓手術心臓リスクマネージメントの最初のガイドライン発表

このガイドラインは、ステップワイズな患者評価、心臓リスク層別化、不必要な術前チェックを減らすことを目的。それは、コストだけでなく、手術のdelayをもたらさないことに関わるとのこと。


心臓イベントリスクに応じた患者層別化の目的にて、術前評価をすることがまず一段階
低リスク(検査をすべてスキップ)、中等度(リスク軽減戦略)、高リスクに層別化

多リスク要因を有する場合は、高リスク手術として準備すべきで、エコーや運動負荷心電図が必要

予防的に冠動脈再建されることを制限すべきと強調、なぜなら、手術にて適応されることはまれであり、clopidogrelのような抗血小板治療が周術マネージメントへ関わるためであるとした。

手術心臓イベントの原因は複雑故、β遮断剤、スタチン、アスピリン、ACE阻害剤がベストなオプションとなり得るかもしれない・・・・(開発途上ということか・・・)




First European guidelines for reducing the cardiac risks in non-cardiac surgery - Cardiac events major cause of death and complications
PRESS RELEASE - ESC CONGRESS 2009 - Clinical practice Guidelines
Date :31 Aug 2009


Pre-operative Cardiac Risk Assessment and Perioperative Cardiac Management in Non-Cardiac Surgery
http://www.escardio.org/guidelines-surveys/esc-guidelines/Pages/perioperative-cardiac-care.aspx?hit=dontmiss
pdf



このヨーロッパガイダンスによると、術前、低用量β遮断剤にて、心拍60-70/分に調整することも推奨

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by internalmedicine | 2009-09-05 08:35 | 動脈硬化/循環器  

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