現時点では、米国肺炎・インフルエンザ死亡率はepidemic threshold以下

マスコミなんて、話題の波が過ぎれば、騒ぎと言い、雲行きが変わり、少数でも犠牲者が出ると、対策不足、慢心とのたまう・・・大臣自身もそうだったが・・・

国民全体から見れば、現時点の新型インフルエンザのインパクトはかなり限定的と思う。

確かに、ワクチンは最優先事項だと思うが、、トリインフルエンザのような対策・・・というのは、それらの施策のコストや副事象から考えてどうなのだろう?

当地域の小中学校は37度台でも、子供を帰宅させていると聞く・・・そして、企業にまでその対策が広がり、平熱でも検査キット検査を強要する風潮まである。本来必要とする患者に検査キットが回らず、無駄な出席停止や欠業まで生じるとなると・・・日本全体の社会的損失はいかばかり生じているのだろう。

Map: International Co-circulation of 2009 H1N1 and Seasonal Influenza

Map: International Co-circulation of 2009 H1N1 and Seasonal Influenza



米国では次第に減少傾向にある・・・この後、次の波が来るのかわからないが・・・




アメリカでは肺炎・インフルエンザ死亡率としては、2007-2008年はepidemic thresholdを超えていた。2008-2009年は例年並みで、2009-2010がどうなるか?現時点では季節変動の閾値内で、公衆衛生上の危機というほどではないのである。


だが、特殊事情下では深刻な問題のようだ

オーストラリア:2009年9月6日正午時点で、新型H1N1 2009型 35474名罹患
死亡数161名で、妊娠女性4名、先住民族20(12.5%)
入院は369名現行で、29/369が先住民族、69名がICU
http://www.healthemergency.gov.au/internet/healthemergency/publishing.nsf/Content/bulletins-31Aug-6Sep



アボリジニなどが約2%ということなので・・・先住民族の罹患、重症・死亡比率はかなり大きい。風俗・習慣上の問題なのか、医療チャンスが奪われているせいなのか?・・・慢性疾患合併率が多く、医療機関へのアクセス制限、緊密な”群・集落”生活などをこの記事は記載している
 ↓
そして7月の時点と状況は変わってないようだ・・・
Swine flu hits largest Aboriginal community
http://www.theage.com.au/national/swine-flu-hits-largest-aboriginal-community-20090721-ds2t.html

やはり世界中圧倒的に新型インフルエンザが多いインフルエンザ流行期の季節の南半球でも、季節型インフルエンザを新型が圧倒している。だが、次第に、季節型比率が増えてくる可能性はあるわけで、今冬のインフルエンザ対策はきわめて予想が難しい


さて、そろそろ、国もコスト効果や副事象などを考えるべき時期なのでは・・・

by internalmedicine | 2009-09-07 11:12 | インフルエンザ  

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