高齢者は、非生理的高インスリン状態にて筋肉回復

つくづく、メタボってのは、罪深い概念だと思う。

やせさせて大腿径まで細らせてしまえば、それこそ、老人の脆弱性を亢進してしまう

腹部脂肪減量至上主義の犠牲で、大腿部骨格筋を脆弱化し、”sarcopenia(骨格筋低下症)”を促進させる、(大腿径と早期死亡リスク ・・・ 下肢筋肉量の重要性! 2009-09-05)。・・・で、結局、老人の動脈硬化関連疾患・認知機能・意欲への悪影響、転倒・転落事故促進させる体重へらせば喜ぶ・・・馬鹿政策


これで、ロコモなる概念をはやらそうとしている、整形外科の先生たちに喜んでもらったらこまるのだが・・・(「ロコモ」・・・いい加減にしてくれないか カタカナ概念  2009-03-05さっそく ・・・ ロコモの犠牲? NHKで骨折事故 2009-04-07

老化における、インスリン代謝と骨格筋の関係が次第に明らかになってきている。

Supraphysiological hyperinsulinaemia is necessary to stimulate skeletal muscle protein anabolism in older adults: evidence of a true age-related insulin resistance of muscle protein metabolism.
Fujita S, Glynn EL, Timmerman KL, Rasmussen BB, Volpi E.
Diabetologia. 2009 Sep;52(9):1889-98. Epub 2009 Jul 9.

目的・仮説: インスリンにより誘導される筋肉蛋白異化の生理的増加は健常者、耐糖能正常の老人で鈍化する。仮説として、加齢による筋蛋白異化の障害は真のインスリン抵抗性状態であり、生理的状況を超越した高インスリン血症で克服できるのではないかと仮説

方法: 色素希釈、stable isotopic and immunoblotting techniques で、下肢血流、筋肉タンパク合成、protein kinase B/mammalian target of rapamycin (Akt/mTOR) signalling、 amino acid kinetics を測定
14名の健康、耐糖能正常老人ボランティアを対象にベースライン、インスリン注入中の食後 (PD, 0.15 mU min(-1) 100 ml(-1)) 、生理学的高用量投与(HD, 0.30 mU min(-1) 100 ml(-1)で検討した

結果: 下肢血流、筋肉タンパク合成、Akt/mTOR signalingはベースラインでは差なし
高インスリン状態で、下肢血流(p<0.001)、筋蛋白合成がHD群でのみ増加(PD [%/h]: from 0.063 +/- 0.006 to 0.060 +/- 0.005; HD [%/h]: from 0.061 +/- 0.007 to 0.098 +/- 0.007; p < 0.01)
筋肉Akt phosphorylationは両群で増加するが、HD群で増加の程度が大きいp = 0.07).

p70 ribosomal S6 kinase 1 (S6K1) phosphorylation 値は、HD群でのみ増加 (p < 0.05)

下肢ネットのアミノ酸バランスは両群で改善するが、ネットの異化効果はHD群でのみみられる (p < 0.05).


結果/解釈:健常高齢者において、 超生理学的状況のインスリン血値にて、筋肉蛋白合成刺激、異化シグナル刺激をもたらし、このことは、真の加齢による筋蛋白代謝のインスリン抵抗性を意味する




インスリンは、糖尿病を念頭におかれ考えられる場合が多いが、他の働きもある。すなわち、筋肉の成長、筋組織の血流、血管からの栄養分の供給、筋たんぱく合成・筋細胞増殖の生化学的シグナルとしての役割である。老人において、インスリン値を増加させることで、加齢関連身体脆弱状態における障害された筋肉合成プロセスが回復しうることを、 University of Texas Medical Branch at Galveston の研究者たちは示した。食事中はインスリン分泌は正常のひとたちで、インスリン静脈内投与にて食後と同様に血中濃度が増加すると、蛋白の合成・筋肉増加につながるのだ。

今後、老化に関わる脆弱性の治療に、前進となる研究である。

by internalmedicine | 2009-09-26 10:26 | 運動系  

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