軽症妊娠糖尿病治療vs非治療トライアル :セカンダリアウトカム改善

妊娠糖尿病は妊娠中初めて起きた耐糖能異常として定義(Diabetes Care 2006;29:Suppl 1:S43-S48.)、USでは、妊娠中1-14%に発生し、ばらつきが大きい。40歳以上では”O'Sullivan and Mahan developed glucose-tolerance-test criteria”(Diabetes 1964;13:278-285.)が適用され、妊娠アウトカムリスクが認識されている。


958名の女性を治療群485名、対照群473名ランダム化割り付け
妊娠24週0日と、30週6日に参加させ、50g糖負荷試験で 1時間後血糖135-200mg/dlの妊婦を対象

プライマリアウトカム(死産、周産期死亡、周産期合併症<胎児高ビリルビン血症、低血糖、高インスリン血症、出産外傷>)は両群で差がなかった。しかし、セカンダリアウトカムのいくつかに有意な減少が見られた。


・・・・アウトカム設定が今ひとつだったせいで、せっかくのトライアルの有益性がちょっと低下

A Multicenter, Randomized Trial of Treatment for Mild Gestational Diabetes
N Engl J Med. Vol. 361:(14) 1339-1348 Oct. 1, 2009

治療群:栄養カウンセリングと食事指導、必要ならインスリン治療
対照群:通常の出産前ケア

通常ケアに比べて以下の改善が見られる
平均生下体重 (3302 vs. 3408 g)
胎児脂肪量 (427 vs. 464 g)
胎児年齢比巨大比率 (7.1% vs. 14.5%)
体重4000g以上 (5.9% vs. 14.3%)
肩のdystocia (1.5% vs. 4.0%)
帝王切開 (26.9% vs. 33.8%)


また、子癇前症と妊娠高血圧減少と関連(2つの組み合わせ, 8.6% vs. 13.6%; P=0.01)


妊娠糖尿病に対する日本産科婦人科学会の診断基準は、1.空腹時血糖(基準値:100mg/dl)、2.OGTT1時間値(同:180mg/dl)、3.OGTT2時間値(同:150mg/dl)--の三つのうち、2点以上で基準値以上の異常値を示した場合。
「妊娠糖尿病の定義ならびに診断基準」に関する見解(日本産婦人科学会長平成14年2月)


ADA:http://www.diabetes.org/gestational-diabetes.jsp

mayoclinic.com
・単一のスクリーニングガイドラインは存在しないが、原則全員に妊娠糖尿病検診(25歳未満・非リスクでは・・という議論はある)
・24-28週の間に糖負荷試験を行い、1時間後130-140mg/dL未満ならほぼ正常と判断
・フォローアップ糖負荷試験にて、終夜的絶食し、空腹時血糖測定したものと糖負荷3時間まで1時間毎に行い2回以上正常を超える場合、GDMと診断

by internalmedicine | 2009-10-01 09:44 | 糖尿病・肥満  

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