入院手術の病院死亡率差:重大合併症死亡率の差による?

合併症頻度はさほど病院毎に差がない。死亡率の差は、重大合併症の死亡率の差ということになる。
故に、合併症予防努力に加え、合併症死亡率減少のための努力が必要ということになる。

Variation in Hospital Mortality Associated with Inpatient Surgery
N Engl J Med. Vol. 361:(14) 1368-1375 Oct. 1 2009

84,730名の一般外科・血管外科手術入院患者を American College of Surgeons National Surgical Quality Improvement Programのデータから検討

3.5%の低死亡率病院から6.9%の高死亡率病院まで広く分布
高・低死亡率病院は、包括合併症率 (24.6% 、 26.9%)、重大合併症(18.2% 、 16.2%)は同等
個々の合併症率は、病院死亡率毎に、有意な関連はない。

しかし、重大合併症患者の死亡率は、高包括死亡率病院と低包括死亡率病院では、約2倍(21.4% vs. 12.5%, P<0.001)

重大合併症死亡率の差は、個々の手術の包括死亡率の主な決定因子である



重大合併症とは
、”肺炎、人工呼吸24時間以上、非計画抜管、急性腎不全、心筋梗塞、肺塞栓、術後出血、深部創傷感染、臓器・体腔感染、敗血症性ショック、筋膜裂開、卒中”があげられている。
死亡率と関連する順番として、卒中(2.99 0.98-9.15)、深部創傷感染(2.28 1.11-4.71)、敗血症性ショック(2.13 0.56-1.81)、臓器・体腔感染(1.87 1.06-3.30)、不意な抜管(1.89 1.39-2.56))、肺塞栓(1.74 0.77-3.96)、肺炎(1.73 1.22-2.44)、24時間以上人工呼吸(1.74 1.36-2.20)、術後出血(1.69 1.08-.266)、急性腎不全(1.67 1.11-2.52)、心筋梗塞(1.60 0.86-2.96)と続く。意外と、心筋梗塞は影響が少ない。



手術施設においては、ますます、人的集中、設備用具の集中が必要なようである。すなわち、合併症発生後の処置が迅速に適切に行える体制に関わる資源への投資が医療機関に求められる。


関連・・・・
後遺症出た医療事故、公表2割

10月1日7時57分配信 産経新聞
 全国医学部長病院長会議は30日、全国の大学病院で行われている院内医療事故対策に関する調査結果を公表した。その結果、後遺症が出る医療事故があった場合でも、公表しているのは全体の21・3%にとどまっていることが分かった。

 同会議の「大学病院の医療事故対策に関する委員会」の嘉山孝正委員長(山形大医学部長)は「患者や家族が公表を拒否するなどのケースがあるため」と説明している。

 調査は今年4月22日~5月18日に実施。国公立、私立の80大学病院すべてから回答を得た。調査結果によると、後遺症が出る医療事故を公表しているのは17大学にとどまった。「事例によって公表」しているのは78・8%。公表の方法は「自校のホームページに載せる」が最も多く62・5%だった


この全国医学部長病院長会議って、やることがいつも中途半端・・・で、マスコミから揚げ足をとられることが多い。術後合併症、死亡率を含めた報告を徹底的にすればよいのに・・・

このご時世・・・”高リスク患者の手術を行うが故に、合併症・死亡率が高い”ということが認知されることの方が重要だとおもうのだが・・・手術で死亡したらすべて医者のミスだと騒ぐ人の多い世の中・・・結果的に萎縮医療がデフォルトの時代

by internalmedicine | 2009-10-01 10:34 | 医療一般  

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