新型インフルエンザH1N1による死:細菌感染の役割
2009年 10月 01日
medpage TODAY
この報告を見て、なんか違和感・・・
2009H1N1インフルエンザ死亡の77名のうち、多くが細菌性肺感染症
現行パンデミックの600名のUS死亡のうち、29%が細菌感染合併・・・と、CDCが述べている
最も多いものは22例中10例で肺炎球菌
肺炎球菌ワクチンの必要性をCDC疫学者Matthew Moore MDと共著者たちは述べ、重度合併症を有するリスクの高い人たちに特に重要と述べている。
以前のパンデミックでも、多くは細菌感染合併でがあり、現行流行でもさほど違いがない。
重症ケースについての、2つの早期レビューでは、細菌感染合併症が40名(ICU10名)のH1N1入院患者で示されてなかった。この報告の結果、細菌感染が現行インフルエンザパンデミックの死亡に果たす役割は小さいと思われることとなっていた。CDCは病原菌を示す証座を示すことは容易でないとし、症例報告はシステミックなサンプルでもなかったと述べている。
今回の解析では、肺炎球菌肺炎感染10例のうち、黄色ぶどう球菌7例、化膿レンサ球菌6例、 Streptococcus mitis2例、インフルエンザ桿菌1例が合併し、4例がさらなる複合感染
Source reference:
Centers for Disease Control and Prevention "Bacterial coinfections in lung tissue specimens from fatal cases of 2009 pandemic influenza A (H1N1) -- United States, May–August 2009" MMWR 2009; 58: 1-4.
肺炎球菌ワクチンACIP推奨2-64歳の少数しかワクチン接種していない。PPSV23を受けるように・・・ということなのだが・・・
Pneumococcal vaccination does not appear to be effective in preventing pneumonia, even in populations for whom the vaccine is currently recommended.(CMAJ • January 6, 2009; 180 (1). doi:10.1503/cmaj.080734.)
肺炎球菌性肺炎予防のエビデンス無き肺炎球菌ワクチン:PCV7の方がより免疫反応が優秀 2009-09-09
ところで、脳炎? 脳症?事例が報道されることが多い・・・を日本ではクローズアップするが、日本人特異的なのか・・・ちょうど良い機会なのでは?
e.g.
新型インフルで女児が急性脳炎 2009年09月30日
http://mytown.asahi.com/tochigi/news.php?k_id=09000000909290007(魚拓)
宇都宮市は29日、市内に住む小学生の女児が新型インフルエンザ感染による急性脳炎(インフルエンザ脳症)を発症したと発表した。県内のインフルエンザ脳症の発症は3例目。
保健予防課によると、女児は27日、38度台の発熱などで家の近くの診療所を受診。インフルエンザ簡易検査でA型陽性と分かり、抗インフルエンザウイルス薬のリレンザを処方され自宅療養したが、同日夕方から、意識障害やけいれんがみられたため、市内の医療機関に救急搬送した。
同医療機関は28日、急性脳炎発生届を市保健所に提出。29日に遺伝子(PCR)検査で新型インフルエンザ陽性がわかった。女児には、ぜんそくの基礎疾患があった。
女児は29日朝の熱が37・6度で、意識障害も軽くなり、容体も安定しているという。
脳症に関して、日本人特異性は結論づけられる状況ではないとおもう。
季節性インフルエンザの場合、脳症は2~4歳に多い。しかし、23日までに判明した新型インフルエンザでは、小児の脳症20例のうち、患者が最も多いのは7歳で、10歳以上も約4分の1を占めた。脳症患者の約2割に、ぜんそくの持病があった。・・・と、毎日新聞らしい、脳炎・脳症あおり記事?・・・背後にタミフル騒動への火だねにするつもりなのだろうか?
毎日新聞:2009年9月23日 http://mainichi.jp/select/today/news/20090924k0000m040079000c.html
テキサスで神経合併症の報告が既に出ている。
↓
Neurologic complications associated with novel influenza A (H1N1) virus infection in children - Dallas, Texas, May 2009. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2009 Jul 24;58(28):773-8.
パンデミック初期の検討は、あくまで、迅速性を重視するものであり、確立されたものではないことを念頭に置くことが大事だろう。
by internalmedicine | 2009-10-01 12:02 | インフルエンザ