手洗い、マスク、N95マスク、手袋、ガウンといった身体的介入による呼吸器ウィルス感染伝播減少効果

手洗い、マスク、N95マスク、手袋、ガウンといった身体的介入による呼吸器ウィルス感染伝播減少効果

以前の研究:
Physical interventions to interrupt or reduce the spread of respiratory viruses: systematic review
BMJ, doi:10.1136/bmj.39393.510347.BE (published 27 November 2007)
(関連ブログ:ワクチン接種や薬より「うがい」「手洗い」が効果的と発表する日本のマスコミ 2007年 11月 30日)・・・とほぼ同様・・・この間、エビデンスの集積に乏しかったことがわかる。

で、
JAMA early release
の存在意義がうきだつ


Physical interventions to interrupt or reduce the spread of respiratory viruses: systematic review
Published 22 September 2009, doi:10.1136/bmj.b3675
Cite this as: BMJ 2009;339:b3675

59研究の58論文、質は4つのランダム化対象治験のみで低く、多くはcluster randomised controlled trialであり、関節研究も含む質の混合が見られる。
6つの症例対象研究のメタアナリシスにて、physical measureがSARS伝播予防に関して有効であった。

・ 1日10回以上の手洗い (オッズ比 0.45, 95% 信頼区間 0.36 ~ 0.57; number needed ~ treat=4, 95% 信頼区間 3.65 ~ 5.52)
・マスク装着 (0.32, 0.25 ~ 0.40; NNT=6, 4.54 ~ 8.03)
・N95マスク装着 (0.09, 0.03 ~ 0.30; NNT=3, 2.37 ~ 4.06)
・手袋装着 (0.43, 0.29 ~ 0.65; NNT=5, 4.15 ~ 15.41)
・ガウン装着 (0.23, 0.14 ~ 0.37; NNT=5, 3.37 ~ 7.12)
・手洗い、マスク、手袋、ガウンの組み合わせ (0.09, 0.02 ~ 0.35; NNT=3, 2.66 ~ 4.97)



これらの組み合わせも居宅内のインフルエンザ伝播防止に有効

最良クラスターランダム化トライアルで、呼吸器系ウィルス伝播がこれらの衛生手技により若年・居宅内で予防可能であることが示された。

不快・高価なN95マスクがサージカルマスクより優れているというエビデンスは乏しいが、N95マスクは皮膚刺激性がある。

Global measureすなわち、玄関でのスクリーニングは適切に評価されてない。

リスクが高いほど、隔離期間は長くなどという、暴露リスク関連に関する問題など、社会的隔離の有効性エビデンスも限定的である。



ワクチン接種や薬より「うがい」「手洗い」が効果的と発表する日本のマスコミ 2007年 11月 30日

病院内インフルエンザ流行が湿度のためという報道が先走りしていることについて・・・ 2009年 01月 19日


マスク不要論のみが突っ走るご時世:CDCや政府・関係学会提言に反して・・・ 2009年 05月 25日

マスク予防問題:一人のお馬鹿の発言を利用してミスリードする産経新聞 2009年 05月 21日

手洗いを守る、守らないことの分析 2004年 07月 07日

医者のネクタイは感染源? 手洗いは有効・・・・など 2004年 06月 02日

by internalmedicine | 2009-10-02 10:13 | インフルエンザ  

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