できの悪い・・・新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン接種実施要項要約

しかたないのかもしれないが、医療の現場はしばらく、このワクチンで混乱することだろう。

対象疾患に関して、要約と詳細に乖離があり、対象者診断に関わる混乱は必須と思われる。

さらに、マスコミの誤報がさらに現場の混乱に拍車をかける・・・

私の所属する県医師会からのFAX情報
◆新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン接種に関する情報提供とお願い

 10月1日、国の新型インフルエンザ対策本部で、ワクチン接種の基本方針が出され、早ければ今月19日の週から医療従事者の接種が始まるというような報道がなされております。

 しかし、接種対象となる医療従事者、基礎疾患を有する者の具体的な基準や接種料金(医療機関の収入となる金額)等不明な点が多々あり、まだ接種医療機関の意向調査を行っていないところです。
接種医療機関は手挙げ方式で募り、県医師会と**厚生局で契約を行う。

 2日に厚労省が都道府県担当者を集めて開催する会議で、詳細が判明するようですので、来週中に郡市医師会を通じて接種医療機関の意向調査と医療体制に関するアンケートを行いたいと考えております。
会員医療機関の皆さまにはお手数をおかけしますが、ご協力をお願い申し上げます。

《接種医療機関へのワクチン流通の流れ(1日現在)は以下のとおり。若干変更になる場合があります。》
 (1)都道府県から厚労省へ優先接種の対象となる人数を報告。
 (2)厚労省が県ごとの配分量を決定。
 (3)県が卸売業者に各医療機関の配分量を指示し、接種医療機関に納入。
 (4)接種医療機関は、在庫・使用状況を県に報告。


あいかわらず、マスコミが、情報の攪乱を引き起こしているようだ。・・・マスコミの馬鹿どもは自分たちが世の中にどれほど害悪を垂れ流しているかよく理解してない。


新型インフルエンザ > ワクチン関連情報
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/inful_vaccine.html


受託医療機関などにおける新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン接種実施要項(案)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/infu091002-16.pdf

新型インフルエンザワクチンの優先接種の対照とする基礎疾患の基準手引き(表記 p13~)
1.慢性呼吸器疾患
気管支喘息やCOPD、気道分泌物の誤嚥のリスクのある者(脳性麻痺、認知機能障害、精神運動発達障害等)を含む

2.慢性心疾患
血行動態に障害がある者を対象とする。ただし、高血圧は除く。

3.慢性腎疾患
透析中の者、腎移植後の者を含む

4.慢性肝疾患
慢性肝炎を除く

5.神経疾患・神経筋疾患
免疫異常状態、あるいは呼吸障害などの身体脆弱状態を生じた疾患・状態を対象とする

6.血液疾患
鉄欠乏性貧血、免疫抑制療法を受けてない特発性血小板減少性紫斑病と溶血性貧血を除く。

7.糖尿病
妊婦・小児、併発症のある者。またはインスリンおよび経口糖尿病による治療を必要とする者

8.疾患や治療に伴う免疫抑制状態
悪性腫瘍、関節リウマチ・膠原病、内分泌疾患、消化器疾患、HIV感染症を含む。

9.小児科領域の慢性疾患
染色体異常症、重症心身障害児・者を含む


詳細は、http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/infu091002-16.pdf に書かれているが・・・上記記載と詳細は異なる。

たとえば、呼吸器疾患に絞れば、間質性肺炎や結核・非定型抗酸菌症、気管支拡張などを除外するようにも思えるが、Hugh-JonesIII以上では優先対象基準にしっかり入っている。
慢性肝疾患に関してはChild-Pugh gradeにてB、Cのより重症の肝疾患と自己免疫性肝炎免疫抑制剤・ステロイド使用者が入るようだ。肝炎以外の肝疾患すべてが入るような要約となってる。はなはだ紛らわしい。
糖尿病患者は実際は、①併発疾患あり、妊娠糖尿病②1歳から高校生までの糖尿病患者③インスリン療法中のものということで、これも上記要約は紛らわしすぎる。

医師は、対象疾患の詳細(p15以降)をしっかり目を通しておかなければならない。要約の不出来で、現場の混乱が予想される。

by internalmedicine | 2009-10-03 10:38 | インフルエンザ  

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