新型インフルエンザ:冷静に再考を! 季節型より少ない死亡数・影響 ワクチンの就学児優先接種の現実性

前稿(NEJM誌:オーストラリア・ニュージーランドの新型インフルエンザ入院・ICU状況)で、NEJMの南半球の新型インフルエンザ入院・ICU状況を紹介したが・・・やや冷静にoverviewした報告

勝手に要約
・最悪シナリオでも、流行した季節型を超える死者数にはならないだろう
・地域流行阻止のためにワクチンベースの介入だが、ほんとに1-2ヶ月ピークをおくらせることができるのか?
ワクチン供給が、選択的な人たちだけになされる訳だから、地域的な流行阻止にはつながらないことが考えられる
・就学児優先のほうが地域流況阻止につながるのではないか?
だが、洋の東西を問わず、ワクチンに対する潜在的不安を口にする人が多く、実効性がどうかという疑問がもたげる


The Lancet Infectious Diseases Pandemic influenza: the new wave
The Lancet Infectious Diseases, Volume 9, Issue 10, Page 583, October 2009

Ira Longini (University of Washington, Seattle, WA, USA)はLancet conference on influenza (Beijing, China, August 21—23, 2009) で、H1N1インフルエンザのピークはワクチンが十分なら減らすことができるだろうと、ワクチンに依存した見解
ワクチンプログラムがうまくいけば、1-2ヶ月pandemicのピークを遅延できるとしているが果たしてホントなのだろうか?
学級・学校閉鎖は時間稼ぎとして有効と思われるが、教育面、エビデンス不足の有効性で議論がなされている。
おそらくは、子供がワクチン接種の最優先と考えられるが、WHOのSAGE( Strategic Advisory Group of Experts on Immunization )は、医療従事者、妊娠、慢性医療状態の6ヶ月未満の小児、健康若年成人・・・としている。就学時児童が後回しの状況である。
child-first policyは売りになるのか?
それらの対象者は、軽症で、自己完結的疾患となりうる世代であり、それらの世代へのワクチンの必要性と安全性に対する疑問が常々議論される。
USA in 2008 (ie, before pandemic H1N1 influenza) では、季節型ワクチン接種は対象比48%のみ
American Journal of Infection Control 報告では、2005-2006シーズンで、ワクチン非接種者事由のほとんどが副作用への危惧

中国は、パンデミックインフルエンザH1N1ワクチンライセンスがなされている。
PanfluのメーカーであるSinovac社は500万投与量のオーダーを中国から受けている。

アルゼンチン、オーストラリア、NZ、チリ、ウルグアイでは、インフルエンザは収束し、季節型よりpandemic第2波がより悪化した事態ということはなかったという南半球からのニュースがあり、季節型インフルエンザは6月下旬から7月初めをピークとして、6-7週で収束した。EDや病院の混雑は、長期的には影響がなかった。

ギリスでは、最悪シナリオで6万5千名から19万9千名で、1999-2000年の重症季節性インフルエンザ死亡数より少ないと予測

by internalmedicine | 2009-10-09 11:00 | インフルエンザ  

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