早期導入ほど新型インフルエンザ・ワクチンは死亡者数・コストを減らす
2009年 10月 10日
この報告を見ると、日本の感染症行政・ワクチン行政は根本的に間違えていると確信する。何のためにワクチン接種をするかというと、個別の感染リスクを下げることもあるが、国民・住民全体のベネフィットを考えて行うのが、ワクチン行政。
日本のワクチン行政は接種者に直接コスト負担をお願いして、接種拒否者は無料で、そのベネフィットのみを享受・・・という内部矛盾に満ちている。
今回は、ワクチン製造量が限られているので、接種時期が遅れることを馬鹿役人のせいにするのはかわいそうと思う。
本来のワクチン行政は受益者は国民全体なのである・・・無料が基本であるべき
Ann Int Med.誌論文は、机上のモデルだが、ワクチン接種が早いほど、新型インフルエンザ流布を防ぎ、死亡者数、国家的コスト削減につながる・・・という話で、ワクチン接種の正当性を論じている。
Effectiveness and Cost-Effectiveness of Vaccination Against Pandemic Influenza (H1N1) 2009
Ann Int Med. Vol. 151(12) 15 Dec. 2009
2009年10月から11月までの異なるシナリオでワクチン接種された場合の、あくまで、机上のお話で、パンデミックインフルエンザ(H1N1)の効果・コスト効果推定で、Markovモデルを用いた疫学モデル。
US大都市居住者830万人を研究ターゲット
2009年10月中旬から11月中旬までのワクチン接種を想定
感染・死亡回避可能数、コストQALYs、付加的コスト効果
プライマリ感染一人につき1.5の二次感染、40%のワクチン接種率と仮定した場合、コスト/セービング可能
10月のワクチンで2051名の死亡回避、69679QALYs増加、4億6900万ドル節約
11月のワクチンは1468名の死亡を回避し、49422QALYs増加、3億200万ドル節約
R0 :number of secondary infections caused by each primary infection in susceptible population
Progression of pandemic under different R0s (number of secondary infections caused by each primary infection in susceptible population) and vaccination scenarios.
Percentage vaccination required to decrease widespread transmission in October and November.
by internalmedicine | 2009-10-10 08:40 | インフルエンザ