心臓CT(冠動脈石灰化・CT血管造影):半数に偶発的所見を、そして臨床的意義少なく、コストかさ上げ
2009年 10月 10日
MacHaalany J, Yam Y, Ruddy TD, et al. Potential clinical and economic consequences of noncardiac incidental findings on cardiac computed tomography. J Am Coll Cardiol 2009; 54:1533-1541.
【目的】心臓CTによる非心臓偶発的所見(incidental findings:IF)の経済的インパクト
【背景】心臓CT が次第に市民権を得て、非心臓性IF)の発見増加
【方法】 連続心臓CT被験者で、非心臓所見をfull field view(32-50cm)reconstruction評価
IFは臨床的意義のあるもの(clinically significant:CS)、中間的、臨床的意義無しにカテゴライズ
患者フォローアップは電話で行い、カルテ and/or医師からの確認で行う
【結果】966名(年齢 58 ± 16 歳, 男性 55.4% men,外来 >98%)のうち、 401 (41.5%) に非心臓性IF
12名(1.2%)にCSあり、 68 (7.0%)が中間的臨床的意義所見
フォローアップ(18.4 ± 7.6ヶ月)にて、中間的所見がCSとなったことはない。
中間的所見の3名のが悪性と診断されたが、IFと関連無し
年齢補正後、IFは非心臓疾患死亡と独立した所見ではない。
IF有無両群で非心臓死・心臓死は有意な差は認めず
1名はIFと考えられる重大な合併症を生じた。
IFと考えられる総直接コストはカナダドルで $57,596 (U.S. $83,035)
【結論】 非心臓IFは多いが、臨床的有意な、あるいは中間的なIFは多くない。
死亡率はIFの有無にかかわらず同等。IFは非心臓死の独立した予後因子たり得ない
IFを検討することはコストリスク無しでは決してあり得ない。
IF同定の潜在的死亡・ベネフィットは大規模研究が必要
Hlatky MA, Iribarren C. The dilemma of incidental findings on cardiac computed tomography. J Am Coll Cardiol 2009; 54:1542-1543.
心臓CT検査に関して、科学的妥当性に基づいた適応上の縛りをつけるべきだろう。
奈良の「山本病院」事例もあり、無症状にかかわらず、無用と思えるCT検査の上、冠動脈血管造影をまで強いられたケースを見聞きする医療機関がある。どれだけ、患者に放射線被ばくと身体リスクを与え、社会的にもコストを引き上げていると思ってるのだ・・・と。心臓CTに関しては妥当性を付記義務づけが必要なのではないか?
by internalmedicine | 2009-10-10 09:52 | 動脈硬化/循環器