ホルモン補充療法と閉経後肺がんリスク:フォローアップ期間を重ねる毎に明らかに・・・

WHI研究によろエストロゲン+プロゲスチン併用トライアルは、健康リスクが早期中断で、直後の判断では・・・

・心血管疾患、冠動脈性心疾患、卒中、静脈性血栓塞栓症、乳がんのリスク増加
・骨折、直腸結腸癌リスク減少


で、全原因死亡率は全体で差が無しだったが・・・

介入後期間において、2.4年(0.4年)の追加フォローアップにて、その後、死亡率および癌リスク増加が補充群で明らかとなった。時がたつとともに、癌リスクが明瞭となったわけである。
超過死亡は何が主な原因かということで、肺がん数の増加が目立った


故に、肺がんに焦点を当てた研究

ホルモン補充療法は肺がん発症増加は明確でなかったが、肺がん死亡数増加、特に、非小細胞癌の死亡数を増やす。



Oestrogen plus progestin and lung cancer in postmenopausal women (Women's Health Initiative trial): a post-hoc analysis of a randomised controlled trial
The Lancet, Volume 374, Issue 9697, Pages 1243 - 1251, 10 October 2009


処方としては、” (結合型エストロゲン0.625mg/日+酢酸メドロキシプロゲステロン2.5mg/日の配合剤を連続服用(n=8506) とマッチングプラセボ(n=8102)”
平均5.6年(SD 1.3年)治療期間+追加フォロー2.4年(0.4年)

肺がん診断は、併用ホルモン治療群109名、対照群は85名(incidence per year 0·16% vs 0·13%; hazard ratio [HR] 1·23, 95% CI 0·92—1·63, p=0·16)

非小細胞肺癌に関して、併用群割り付け 96名、対照群 72名 (0·14% vs 0·11%; HR 1·28, 0·94—1·73, p=0·12)

肺がん死亡女性は併用ホルモン治療群でプラセボ群より多い (73 vs 40 deaths; 0·11% vs 0·06%; HR 1·71, 1·16—2·52, p=0·01)

主に、非小細胞肺癌数の増加によるもの (62 vs 31 deaths; 0·09% vs 0·05%; HR 1·87, 1·22—2·88, p=0·004)


ホルモン補充療法を行うなら、少なくとも、肺がんリスク層別化・および処方対象者への情報提供がなされるべきであろう。


参考:
偏った医療情報を広めようとする産経・NHK:ホルモン補充療法・インフルエンザ予防 2009年 03月 07日
ホルモン補充療法推進に懸命な産経:日産婦と日本更年期医学会指針記事 2009年 04月 03日

by internalmedicine | 2009-10-10 11:09 | がん  

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