拡張期血圧と冠動脈疾患:J-カーブ 議論 再び・・・

1991年” The beneficial therapeutic threshold point was 85 mm Hg. ”(JAMA. 1991;265(4):489-495. )という拡張期血圧のベネフィット上の閾値が提唱されたが、Hypertension Optimal Treatment (HOT) トライアルにて、拡張期血圧<70mmHgでさすがに小程度の死亡率増加以外は差が無く、糖尿病患者では<80mmHgの予後ベネフィットが確認された。INVEST研究では70mmHg未満で心筋梗塞リスク増加が示された。しかし、これは高齢のヒトが多いことで背景から影響を受けた可能性があり、CAMELOT trialでは、ACE阻害剤、CCBともにJ-カーブの影響は認めれなかった(AHA Scientific Statement 2007

・・・ということで、大まかには、J-カーブ否定的と思ってたのだが・・・冠動脈疾患患者では・・・どうか・・・また議論を巻き起こされている。


The J-Curve Between Blood Pressure and Coronary Artery Disease or Essential Hypertension
Exactly How Essential?
J Am Coll Cardiol, 2009; 54:1827-1834, doi:10.1016/j.jacc.2009.05.073

血圧と冠動脈疾患(CAD)のJ-カーブの関係はここ10年多くの議論を巻き起こしているテーマである。
拡張期血圧と冠動脈虚血性イベントの逆相関(すなわち、拡張期血圧が低いほど、下動脈疾患リスクが増大し、副事象アウトカムが多くなる)は、無数の研究で観察されている。
この効果はCAD疾患が基礎疾患として存在する患者で特に著明で、拡張期血圧と冠動脈イベントのJ-現象関係は、多くの大規模トライアルのCAD患者治療で見られる。
多くの他の血管床と逆に、冠動脈循環は拡張期に潅流の多くが行われ、拡張期血圧の低下は潅流障害をもたらす。この副事象、冠動脈疾患の拡張期血圧があまりに低いと、リスク状態の患者において、卒中・腎疾患予防レベルの血圧降下にて、心筋虚血を呼び起こす可能性がある。しかし、これらの関心は、現行の約1/3ほどしか推奨血圧目標に達してないという現実のため、医師の攻撃的降圧治療の妨げになってはならない。


Williams B. Hypertension and the "J-curve." J Am Coll Cardiol 2009; 54: 1835-1836
Williams B, Lindholm LH, and Sever P. Systolic pressure is all that matters. Lancet 2008; 371:2219-2221.

by internalmedicine | 2009-11-05 14:46 | 動脈硬化/循環器

 

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