下壁・側壁誘導の早期再分極パターン:中年での心臓死と関連

以前も取り上げたが・・・早期再分極(early repolarization)は心室粗動のリスク要因である 2008年 05月 10日 ・・今回は一般住民でのリスクのお話

Jポイントの説明:12誘導心電図V1-V3までの早期再分極症候群、QRS-ST接合部位(Jポイント)の上昇


波形解析に関しては前回のブログの方が詳しくなってるので、そちらを参考に・・・



早期再分極は、心室細動vulnerabilityと関連することが知られている.一般住民での予後についての情報が少なかった。今回の検討で、中年での下壁・側壁誘導の早期再分極パターンが死亡率リスク・心臓原因死亡リスク増加と関連することが示された。


Long-Term Outcome Associated with Early Repolarization on Electrocardiography
N Engl. J Med. (www.nejm.org November 16, 2009 (10.1056/NEJMoa0907589))

早期再分極の頻度・予後重要性評価のため、10864名の中年(平均[±SD] 年齢, 44±8 歳)
プライマリエンドポイントは心臓原因死で、セカンダリ・エンドポイントは全原因死、不整脈死(平均フォローアップ 30±11 年)
早期再分極を、下壁・側壁誘導J-ポイント上昇に従い、層別化(≥0.1 mV or >0.2 mV)

早期再分極 0.1mV以上は 630名(5.8%)、下壁誘導 384(3.5%)、側壁誘導 262(2.4%)、両誘導とも16(0.1%)
Jポイント上昇、下壁誘導 最小0.1mV は、心臓原因死リスク増加(補正相対リスク、1.28; 95% 信頼区間 [CI], 1.04 to 1.59; P=0.03);下壁誘導 0.2 mV以上では36名(0.3%)で心臓原因死増加リスクと関連 (補正相対リスク, 2.98; 95% CI, 1.85 to 4.92; P<0.001) 、不整脈リスク増加と相関 (補正相対リスクk, 2.92; 95% CI, 1.45 to 5.89; P=0.01).



他の心電図リスクマーカー、たとえば心拍補正QT間隔 (P=0.03)や左室肥大 (P=0.004)もプライマリエンドポイントに関して弱い相関

by internalmedicine | 2009-11-17 09:03 | 動脈硬化/循環器

 

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