間欠的短期間低酸素呼吸により心疾患の有無に無関係に老人男性で好気的運動能力・運動耐容能増加
2004年 08月 26日
短期間低酸素状態で呼吸させたときに、心疾患の有無にかかわらず老人男性でも好気的運動能力・運動耐容能を増加させる、というヨーロッパの研究者たちの報告。
冠動脈疾患の有無に関係なく間欠的低酸素吸入で運動耐容能を上げる
Intermittent hypoxia increases exercise tolerance in elderly men with and without coronary artery disease.間欠的対酸素は、ストレス抵抗性を促進し、酸素運搬脳を改善することを示唆。運動耐容能改善にて老人では死亡率を減じることができるので、間欠的低酸素負荷は予防的な、治療的な方法として有用なのかもしれない。しかし、対照試験が無い。
【方法】16名の男性(50-70歳、事前の心筋梗塞有る群8例、無い群8例)をランダムに2重盲験で割り当て、受動的低酸素負荷の15のセッション(低酸素群)と正常酸素群(対照群)に分け3週間行った。
低酸素群では、各セッションは3-5つの低酸素(14-10%酸素)時間3分間からなる。対照の同様に正常酸素の空気のみを吸入。運動試験は3週間の休プログラム前後で施行。
【結果】
間欠的低酸素3週間後、ピークの酸素消費量は正常酸素下にからべて増加した(+ 6.2% vs.-3%, p < 0.001)。
この改善は、低酸素後の酸素含量増加と強く相関(r = 0.9, p < 0.001)。
ヘモグロビン濃度増加することと動脈酸素不飽和度がすくなくなることにより動脈酸素含量の増加に寄与しているものと思われる。
sub-maximalな運動下(1W/kgのサイクリング)で、心拍、収縮期血圧・血液乳酸濃度や息切れの自覚率は対照群に比較して低下(p<0.05)
間欠的低酸素後の運動の反応の変化は心筋梗塞の既往の如何に関わらず同様。
【結論】3週間の受動的短期間間欠的低酸素暴露は好気的運動能力や運動耐容能を老人男性で、冠動脈疾患の有無にかかわらず、改善する。
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女性マラソン・アテネ・オリンピック金メダリスト 野口オリンピックの練習と同じか・・・
※某関西の一流電器メーカーが、極低濃度の酸素投与器具を販売し、ばんばんCMを流してます<参照>が、前記論文とまったく逆のことを主張しているのですが・・・
酸素吸入下トレーニングvs空気吸入下トレーニングの二重盲験研究がなされておれば酸素吸入下のトレーニング効果が、運動耐容能などを増加させるといえるのでしょうが・・・疑問にもっておりますし、第一、市販の酸素療法器具の酸素濃度の増加程度が理論的に考えてかなり少ないこともあり、意味無しと考えております。
拙文参照
も ひとつ、呼吸器内科をsubspecialityとしているわたしには結構ショッキングな文献。
これが慢性呼吸不全患者にも適応されるのかどうかが知りたいところです。
在宅酸素療法のエビデンスとなった持続的酸素投与群(COT)と夜間酸素投与群(NOT)の死亡率の差<参考>で、慢性呼吸不全患者は運動療法の時も酸素療法をさせているわけですが、短期間で身体の受容性があるなら酸素をはずしても良いのかもしれません。
by internalmedicine | 2004-08-26 15:30 | 内科全般