高齢者転倒:慢性筋骨格筋痛との関連
2009年 11月 25日
>Of all the happiness mankind can gain, is not in pleasure but in rest from pain.
John Dryden (1631–1700), The Indian Explorer (1665), Act 1, Scene 1
Issues with chronic musculoskeletal pain
P. Brooks Rheumatology 2005 44(7):831-833; doi:10.1093/rheumatology/keh648
古くから・・・痛みにより動けないことは人類の悩み・・・
Leveilleらは、コミュニティー居住70歳以上老人の住民ベースコホートで、ベースラインで、慢性筋骨格痛を有する部位が2カ所以上、重症度3分位中最高位の痛みを有する場合、日々の活動性に影響を与える疼痛の場合、、疼痛無しあるいは軽度の人達より18ヶ月間の転倒リスクがかなり高いことを見いだした。
Chronic Musculoskeletal Pain and the Occurrence of Falls in an Older Population
JAMA. 2009;302(20):2214-2221.
Maintenance of Balance, Independent Living, Intellect, and Zest in the Elderly (MOBILIZE) Boston Studyで749名の70歳以上で、2005年9月から2008年1月まで被験者参入
主要アウトカムは、転倒記録を月毎のカレンダー郵便メールで18ヶ月研究センターへ郵送
フォロー中の1029件の転倒
ベースラインでの2カ所以上の筋骨格痛300名被験者では、転倒発生の多さと関連し、転倒の人年年齢補正は1.18(95%信頼区間 [CI], 1.13-1.23)
同様に単一疼痛部位181名では 0.90 (95% CI, 0.87-0.92) 、関節痛無しの267名では 0.78 (95% CI, 0.74-0.81)
同様に、より重症の、disabilityを伴う疼痛は転倒リスク高い (P < .05)
多寄与因子補正後相関は維持
転倒最大リスクは2カ所以上の疼痛部位を有する場合(補正 [RR], 1.53; 95% CI, 1.17-1.99)で、疼痛3分位最大区分 (adjusted RR, 1.53; 95% CI, 1.12-2.08)、活動性に影響を及ぼす疼痛を有する場合 (adjusted RR, 1.53; 95%CI, 1.15-2.05)
脆弱性を生む原因としての筋骨格筋痛・・・その慢性筋骨格筋痛に対して、日本の医療体制で、適正配分がなされているか・・・検討されてないように思える。漫然としたマニピュレーションに多大な医療費が浪費されている可能性。
骨格筋脆弱性に対し、有効な介入方法が何なのか?身体活動性をまんべんなく高めることが必要なのは誰も否定しないだろう。その阻害因子である筋骨格筋痛に対しシステミックな対処がなされることを願いたい。
システミックでない対処がなされてないから、疑似医療行為やエビデンスの乏しいサプリメントなどが世にはびこる・・・
by internalmedicine | 2009-11-25 09:51 | 運動系