2007年米国内CTによる癌リスク: 2万9千名の癌発症

米国内でも1993年から3倍CTスキャン数が増加し、年間7000万回スキャンが行われている。CTスキャンは、医学的ベネフィットが大きいが、将来の癌リスクに関して通常の診断X腺に比べて遙かに高い放射線量のため懸念がある。個々のリスクは小さいが、多数の年間暴露患者数が多くなれば、全体としてはその影響が大きくなる。大規模・長期フォローアップ研究が必要なのは言うまでもない。リスクprojection model(Berrington de González A, Darby S. Risk of cancer from diagnostic X-rays: estimates for the UK and 14 other countries. Lancet. 2004;363(9406):345-351. )が報告された。UKでの1990年代モデルで、約0.2%の癌寄与リスクと推定された。米国ではこの10%の可能性があり、検討された。
現行の米国内のCTスキャン種類頻度を用いて、National Research Council's "Biological Effects of Ionizing Radiation" report(Committee to Assess Health Risks from Exposure to Low Levels of Ionizing Radiation, National Research Council. Health Risks From Exposure to Low Levels of Ionizing Radiation: BEIR VII—Phase 2. Washington, DC: National Academies Press; 2005.;ref: pdf)のradiattion risk modelを結合して検討。



Projected Cancer Risks From Computed Tomographic Scans Performed in the United States in 2007
Amy Berrington de González, DPhil; Mahadevappa Mahesh, MS, PhD; Kwang-Pyo Kim, PhD; Mythreyi Bhargavan, PhD; Rebecca Lewis, MPH; Fred Mettler, MD; Charles Land, PhD
Arch Intern Med. 2009;169(22):2071-2077.

全体からみると、2007年、米国では、約29000名(95% UL, 15000-45000名)の癌がCTスキャンにより生じている可能性がある。
もっとも寄与するのは腹部・骨盤腔内(n=14000 95% UL, 6900-25000)、胸部(n=4100, 1900-8100)、頭部(n=4000, 95% UL, 1100-8700)、胸部CT造影(n=2700, 95%UL, 1300--5000)

スキャンの1/3は35-54歳で、15%は18歳未満、66%が女性


1万名のCTスキャン当たりの平均生涯がんリスク:CTスキャン種類と年齢による



CT万能神話が市井に漂ってる。割りばし訴訟(参考:http://jibika.exblog.jp/3088284/)や佐久総合病院(参考: http://nosmoke.kongozawa.net/sb/log/eid29.html)でも、CT万能神話で世情を動かした部分があるように思える。
かたや、上記、populationにおけるCTと癌の関係をあまりに強調しすぎると、必要な検査を忌避する多数出れば、せっかくのCTのベネフィットが発揮できなくなる。

冷静な判断をと・・・求めても、偏執的報道されてしまえば、市井にまた極端な空気が流れる・・・・こういう事象をなんどみてきたことか・・・

by internalmedicine | 2009-12-15 09:13 | 環境問題  

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