セロクラールの鎮痛作用
2009年 12月 25日
イフェンプロジル酒石酸は、脳循環代謝改善薬で、その保険適応は「脳梗塞後遺症、脳出血後遺症に伴うめまいの改善」であるが、国内外の動物実験においてイフェンプロジルが鎮痛作用を有することが明らかにされ・・・2001年から癌患者に使用し、その有効性を確かめてきた。・・・鎮痛のメカニズムは、NMDA受容体拮抗作用で・・・ケタミン円sなんえんと同様に鎮痛効果を持つこと、さらに選択性が高いため、ケタミンにみられるような中枢神経系の副作用を伴わない。・・・鎮痛補助薬の第一選択薬として推奨・・・一日目60mg(分3)投与し、2日目に痛みが残っていたら、1-2日ごとに増量し、120mg(分3)に増量し有効な患者には540mgまで増量。・・・120mgまで増量して全く効果がない場合には中止し、他のの薬剤を試みる。・・・モルヒネと併用した場合、モルヒネの鎮痛作用を増強し、さらにモルヒネの鎮痛耐性形成を遅延させることが動物実験で分かっており・・・イフェンプロジル中止で疼痛増強時再開すると良い。
(PTM 6(2) OCT、2009 余宮)
別のまとめ・・・
酒石酸イフェンプロジル Ifenprodil Tartrate(セロクラール®)
脳循環・代謝改善薬
NMDA受容体のポリアミン部位での拮抗作用とα受容体遮断作用を持つ。
ポリアミン部位に結合するNMDA受容体(NR1/NR2B)選択的拮抗薬。
NR2Bへの選択性が高い。NR1/NR2Bで構築されたNMDA受容体のみに選択的に拮抗する。
NMDA受容体のMg2+による遮断は、ポリアミンが結合することで弱められるので、イフェンプロジルはポリアミン結合部位に拮抗薬として働くことで、チャネルの開口を防ぎ、鎮痛作用を示すと考えられる。
ケタミンよりは鎮痛作用は弱く、比較的高用量では鎮痛作用を示すが、ケタミンのような精神症状や精神依存などの副作用は発現しないことが、動物実験および臨床において報告されている。
脳循環代謝改善剤。脳梗塞後遺症、脳出血後遺症の改善に内服。
ケタミンと同様に、オピオイド抵抗性の神経性疼痛に有効である。
ケタミンと同様に、モルヒネの鎮痛作用を増強し、耐性や精神依存、身体依存の形成を抑制するが、イフェンプロジル自体に依存形成能や精神症状はない。
イフェンプロジルはモルヒネの精神依存形成および退薬症候の発現を有意に抑制する。
by internalmedicine | 2009-12-25 09:19 | がん