トレッキングやスキーなど高地運動に関する心臓病患者へのガイダンス
2009年 12月 30日
Higgins JP, Tuttle T and Higgins JA. Altitude and the heart: Is going high safe for your cardiac patient?
Am Heart Journal 2010; 159:25-32.
助言は常識的なものはほとんどで、多くの心臓病患者は可能、可能かどうかを自身で知ること
旅行は、重篤でない限りは、薬剤調整や教育などで可能となると・・・著者のDr John P Higgins。
以下、ポイント
・不安定狭心症、コントロール不良の心室性・上室性不整脈、非代償心不全、2週間前の心筋梗塞、血管再建術・大血管手術3週間では低地(1500m海面レベルを超さない)以上で運動すべきでない
・重症心不全、重症狭心症、重症弁膜症患者は高地に登るべきでない
・2週間以内の冠動脈イベントでは有意な虚血を最大(maximal)の負荷で除外できないかぎり高地旅行を避けるべき;PCI施行間では、submaximalあるいは薬物的負荷試験を考慮すべき
・老人 and/or 有意な構造的だが安定した心臓疾患患者では、中間的高度・高地で数日行動を制限すべき
・海面下で代償中途の有意なCVDでは低地・中間的高度までにとどめるべき
・CAD、不整脈、うっ血性心不全患者では、海面下より高ければ、より低負荷運動で症状出現すると助言すべき
・個々の助言は、負荷よりピークの心拍に基づき行われるべきで、虚血は高地ではより労作の低い状況でも生じ得る。
・ペースメーカー患者は高地でも安全なはずで、高地ということでは、心室刺激閾値に影響を与えない。ただ、植込み型除細動に関する影響は現時点では未知。
山登りやトレッキングは、閉じこもりよりは遙かに、すばらしいと思う。ただ、十分な注意が必要で、助言上の注意点が明確化されたことはありがたい。
by internalmedicine | 2009-12-30 09:23 | 動脈硬化/循環器