ガイドラインのシステマティックレビュー

日本のガイドラインは、どの分野のガイドラインも、その内容から見て、conflicts of interest (利益相反)に配慮があるのか、疑問を感じる部分が多い。

”conflicts of interest ”は、”利益相反”と訳されるようである。ただ広辞苑で探しても見つからない
「利益相反行為 」、「利益相反取引」というのはあるのだが・・・

文科省によると、”教職員が企業等との関係で有する利益や責務が大学における責任と衝突する状況も生じうる”(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu8/toushin/021102.htm#_Toc23855258)だそうで、ガイドラインでの、利益相反とは、「公的立場にいる人が、企業等との関係で有する利益や責務が大学における責任と衝突する状況も生じうる状況」といえるだろう。

ガイドラインにおいて、この利益相反がはたして守られているが、厳格化についての研究

Systematic Review of Guidelines on Cardiovascular Risk Assessment: Which Recommendations Should Clinicians Follow for a Cardiovascular Health Check?
Bart S. Ferket; Ersen B. Colkesen; Jacob J. Visser; Sandra Spronk; Roderik A. Kraaijenhagen; Ewout W. Steyerberg; M. G. Myriam Hunink
Arch Intern Med. 2010;170(1):27-40.(フルテキスト)

西社会諸国からの医療専門家組織の信頼に基づきガイドラインが形成され、心血管リスク評価推奨なども行われる。2名の独立したレビュー者が評価し、1984タイトル、27ガイドラインを対象。

2名の独立したreviewerが評価、conflicts of interest (利益相反)と推奨の情報を抽出

27ガイドラインのうち、16がconflicts of interest を報告、17がかなりの厳格さ提示
総心血管リスク評価 7つ、脂質異常 2つ、高血圧 2つ、糖異常 7つ
む総心血管リスク・脂質異常に関する推奨は、積算的予測モデルを含む、一方ほかの推奨は一つのリス要因に限定。
目標対象群、治療閾値、スクリーニング検査に関して、コンセンサスはない

結論としては、ガイドライン間の違いが予防介入割り付けの重大なる差となっている。
informed decision(情報提示と意思決定)に関しては、厳格に作成されたガイドラインからの推奨のみ用いるべき。



日本でも、文科省「21世紀型産学官連携手法の構築に関わるモデルプログラム」臨床研究の利益相反ポリシー策定に関するガイドライン(pdf)ってのがある。内容を見ると、「ゼロトレランス」を否定しており、外部監査もなく、実効性に疑問がのこる。

by internalmedicine | 2010-01-12 08:58 | 医療一般  

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