戦時外傷でのモルヒネ使用によるPTSD減少効果

後顧的研究故、エビデンスレベルは低いと思うが、外傷によるモルヒネ使用はその後のPTSD発症リスク軽減に役立つとのこと。記憶固定化、外傷的イベントを経験した後の恐怖への関連条件反応を減少・凌駕することが薬物治療の目的で、opiates、 anxiolytics、β-遮断剤などが有効なのではないかと仮定されている。Saxe らの熱傷後の子供のPTSD発症に対するモルヒネの報告(J Am Acad Child Adolesc Psychiatry 2001;40:915-921. )がなされていた。


Morphine Use after Combat Injury in Iraq and Post-Traumatic Stress Disorder
Troy Lisa Holbrook, Ph.D., Michael R. Galarneau, M.S., Judy L. Dye, M.S., R.N., A.N.P., Kimberly Quinn, B.S.N., and Amber L. Dougherty, M.P.H.
N Engl. J Med. Vol. 362:(2)110-117 Jan. 14, 2010

696名被験者、243名でPTSDの診断、453では診断なし

早期蘇生・外傷ケア時のモルヒネ使用は有意に受傷後PTSDのリスク低下と相関

PTSD発症患者のうち、61%モルヒネ使用
PTSD発症無し患者のうち、76%がモルヒネ使用(odds ratio, 0.47; P<0.001)

この相関は、外傷重症度、年齢、受傷メカニズム、切断の状態、選択的外傷関連臨床要素補正後も残存


一般外傷での疼痛薬物治療に対しても適応できる話と思うが・・・

by internalmedicine | 2010-01-14 10:19 | 集中・救急医療  

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