ARB:男性認知症リスク軽減効果

ARBがACE阻害剤に勝るものって、咳嗽程度と思ってたが、男性認知症予防効果、ナーシングホーム入所・死亡率に関して、ARBが勝る可能性が・・・出てきた。

そして、驚くことに、ARB+ACE阻害剤併用の相加的効果が認められた・・・以前の報告(ARBとACE阻害剤の併用意味無し?:ONTARGETトライアル:不倫同士と表現 2008-04-02 )と異なる

Use of angiotensin receptor blockers and risk of dementia in a predominantly male population: prospective cohort analysis
Published 12 January 2010, doi:10.1136/bmj.b5465
Cite this as: BMJ 2010;340:b5465


65歳以上の心血管疾患を有する 819 491名の男性がほとんどの一群を被験者として、2003-2006年までのangiotensin receptor blockers(ARB)と lisinopril、他の心血管薬剤を比較薬剤として、前向きコホート研究

ARB群の他の心血管薬剤比較の認知症発症ハザード比は0.76(95% 信頼区間 0.69-0.84)、lisinopril群比較では0.81 (0.73 - 0.90)

他の心血管薬剤比較で、既存アルツハイマー病の患者でのARBは有意ににナーシングホーム入所リスクを低下 (0.51, 0.36 - 0.72)させ、死亡リスクを低下(0.83, 0.71 -o 0.97)させた。



ARBは用量依存的で、ACE阻害剤併用で、付加的効果が示された。
ACE阻害剤併用は、ACE阻害剤単独との比べ、認知症発症リスク減少 (0.54, 0.51 - 0.57) 、ナーシングホーム入所リスク減少(0.33, 0.22 - 0.49)と関連。



平均収縮期血圧、拡張期血圧の微少な差あり。
アルツハイマー病では同様な結果。


RASへの薬物療法は、高血圧治療効果と心血管死亡率減少効果あり、アンギオテンシンjIIは多くの受容体に結合し、脳やvasculatureにも受容体が存在し、AT2受容体の作用メカニズムは明らかだが、血管内皮細胞合成抑制と神経軸性再生をもたらす。少数研究2つ(. Neurology 2004;63:1324-5. 、 Int J Geriatr Psychiatry 2006;21:550-5.)で、認知機能低下を示されていた。

この論文では、ONTARGETについては言及は紹介だけで、基礎実験に基づく降圧効果と独立したneuroprotective actionと、アミロイドβによる血管機能障害について、血流障害との関連で、併用を進める論文となっている。


突如出てきた感じ・・・なのだが・・・この報告、今後どう扱われるか?

by internalmedicine | 2010-01-15 11:07 | 精神・認知  

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