抗生剤:体重だけで処方量を決めるやり方が時代遅れ
2010年 01月 16日
Adjustment of dosing of antimicrobial agents for bodyweight in adults
The Lancet, Volume 375, Issue 9710, Pages 248 - 251, 16 January 2010
市中肺炎患者体重90kg、身長 190cmの男性と、BMIは24.9kg/m2で健康体重の域にある体重56kg、身長 150cmの女性の2倍の除脂肪体重。治療ガイドラインでは、抗生剤は同じ用量。肥満が広がり、特に、先進国ではUSAで30%を超え、ヨーロッパで20%程度。これらの人はすでに稀ならぬ状態と考える。特異的な薬剤動態として、子供、老人、腎臓・肝臓機能障害に対し考慮されていたが、平均から離れた体サイズや体組成特性は考慮されてなかった。結果一般的にこの群の人達は、薬剤動態研究・臨床トライアルとして、under-representedな状態で、これらの人たちの薬剤の至適量・有効性のデータに乏しかった。
薬剤の親水性、親油性特性Hydrophilic
*β-lactams
o Penicillins
o Cephalosporins
o Monobactams
o Carbapenems
* Glycopeptides
* Aminoglycosides
* Polymyxins
* Fosfomycin
Lipophilic
* Fluoroquinolones
* Macrolides
* Lincosamides
*Tetracyclines
*Tigecycline
*Co-trimoxazole
*Rifampicin
*Chloramphenic
親水性抗生剤は、脂肪組織に溶けず、肥満者では高分布量となりえる。大雑把に言えば脂肪組織の約30%が水で構成され、同じ身長・性別なら、正常体重の人に比べ、肥満者では、除脂肪体重が多くなる傾向にあるからである。
血漿量は体重と正の相関があり、水溶性薬剤は肥満者では濃度低下となる。
親油性薬剤において、分布量は、体重補正では、肥満の場合増加する。それは、脂肪組織と結合するからだが、例外が存在し、肥満における高親油性薬剤薬剤動態は性格には予測不能である。それは蛋白結合、脂肪・除脂肪組織への結合の程度、脂肪組織内血流、脂肪組織内の代謝活性などの要素により依存するためとされる。
by internalmedicine | 2010-01-16 09:03 | 感染症