待機的ステント植え込み患者の、CT血管造影と術後心筋梗塞のプラーク性状
2010年 01月 17日
Uetani T, Amano T, Kunimura A, et al. The association between plaque characterization by ct angiography and post-procedural myocardial infarction in patients with elective stent implantation. J Am Coll Cardiol: Cardiovasc Imaging 2010; 19-28.
Tadayuki Uetani氏の中部労災(名古屋、日本)のPCI術後心筋障害冠動脈ターゲット病変のMDCT解析
IVUSガイド待機的冠動脈ステントによる64MDCTのvolumetric plaque解析の189名の連続患者のUetaniらの研究結果。MDCTによる測定によるターゲット病変の low-attenuation plaque (LAP) と、心筋障害を示唆するバイオマーカーの術後値の容積と相関。多変量解析にて、LAP容積は周術後心筋梗塞と独立した相関があることが示された。
PCI患者において、施行関連心筋梗塞は、臨床的アウトカム改善のmajorなroadblockであり、MDCTによるプラーク評価は積極的薬物治療やバイパス手術の良好なアウトカム改善が予測されるリスク患者の同定に役立つことが予想される。しかし、MDCTによる冠動脈プラーク評価は、有意に、放射線暴露や冠動脈造影剤により影響されるかもしれない。今後、技術上の臨床的ベネフィットの評価が必要。
プラークの放射線減衰(密度)を、低値 (<50 Hounsfield Units [HU])、中等度値 (50–150 HU) 、高値 (>500 HU)の3つにカテゴライズした。
MDCTによる151-500 HUの減衰血管領域は血管内腔である。CK-MBアイソザイムと troponin-T (TnT)値をPCI後18時間後評価である。TnT陽性により明らかとされた術後心筋障害患者で、術後心筋障害のない患者の47.4 mm3に比べ、LAP平均は87.9 mm3であった (p<0.01)。
MAP平均容積(MAP)は術後心筋障害を有する場合は111.6 mm3、心筋障害のないことを示唆するTnT値の場合は 89.8 mm3(p<0.05)
LAPとMAPの総容積は、障害バイオマーカーと相関し、LAP容積は、患者・施行要素・IVUSパラメータ・バックグラウンド補正の陽性TnTの独立した予測因子である。
MDCTのプラーク解析は、PCI後心筋障害の有益な予測方法となるだろうと著者ら
The "Cheese-Grater" Effect
安定・不安定狭心症患者の冠動脈ステント後プラーク物質の下行移動がdistal-protection device研究で明らかとなっているので、 ステント拡張後のdistal embolismが、術後MIのリスク関与として重要と思われる。
ステントを病変で広げたとき、ステントのstrutはプラークをgrate upし、微小血栓デブリス破壊、乖離し、血流へ遊離していく(これがいわゆる、d cheese-grater effect)
lipid-rich 、soft componentは、ステント拡張後、動脈硬化粒子多数に分解される。
著者らによれば、この説明は以前のMRI研究により支持されており、ステント後のプラーク量現象は術後のmyonecrosisの量と有意に相関。
また、ベースラインのプラーク特性は施行関連遠位embolismの高リスクと関連する。
エディトリアルとして、Dr Stephan Achenbach と Dr Josef Ludwig (University of Erlangen, Germany) は、トロポニンし増加と low-attenuation plaque容積の県連を要求。low CT attenuationのプラークは脂質を多く含み、故に、ステント留置間にembolize及び下流虚血を生じやすいことを示したとコメント。
CT造影によるプラークについての驚くべき能力"を提示し、心血管リスク予測としての可能性研究も期待され、カテーテルによる侵襲的冠動脈造影よりCT画像は空間的な分解能では劣るが、質的な多くの情報を得る可能性もある。
by internalmedicine | 2010-01-17 15:08 | 動脈硬化/循環器