C. difficile毒素モノクローナル抗体治療により再発減少

Clostridium difficile感染患者のランダム化トライアルで、C. difficile毒素へのモノクローナル抗体による治療+metronidazole or vancomycinで、感染再発率減少
プラセボ比較で、7% vs 25%


Treatment with Monoclonal Antibodies against Clostridium difficile Toxins
N Engl. J Med. Vol. 362:(3) 197-205 Jan. 21 2010

C. difficile toxins A (CDA1) と B (CDB1)に対する、完全ヒトモノクローナル抗体で、体重あたり10mg単回投与
対照は、メトロニダゾールかバンコマイシン投与を受けている有症状C. difficile感染者
プライマリアウトカムは、モノクローナル抗体もしくはプラセボ投与後84日間の検査確認された感染再発

抗体群 101名、プラセボ群99名の200名登録

C. difficile再発率は、モノクローナル抗体群で少ない(7% vs. 25%; 95% confidence interval, 7 to 29; P<0.001)

epidemic BI/NAP1/027 strainの再発率は、抗体群 8% vs プラセボ群 32%(P=0.06)
1回以上のC. difficile感染再発患者は 7% vs 38%(P=0.006)

初回入院期間平均の差は両群で有意差無い (9.5 、 9.4 日間)

最低1つの重度副事象イベント発生頻度について、抗体群 18名、プラセボ群 28名(P=0.09)


日本では、C.difficileへの院内感染対策ずいぶん遅れているような気がする

・・・市中感染の問題、低いといえない再発率などは、この治療の話題の序奏?


うすのろ厚労省は、院内感染対策を現場押しつけのままだが・・・さて、どうする・・・また、医療裁判や訴訟がマスコミで話題になってから動くか?


http://medical.radionikkei.jp/abbott/final/pdf/060310.pdfから抜粋
Clostridium difficile は偽膜性大腸炎の原因菌としてよく知られていますが、C. difficileによる下痢症や腸炎のすべての症例において、消化管に偽膜形成が認められるわけではありません。一方、C. difficileは抗菌薬が誘因となる下痢症あるいは腸炎の主要な原因菌ですが、抗菌薬関連下痢症・腸炎の原因がすべて C. difficile によるものではありません。C. difficile 感染症の症状は、軽度の下痢症状から、腸閉塞や toxic megacolon、さらには死に至るような重篤な病態まで幅が広いことが特徴です。
・・・・・・
C. difficile の病原性には toxin Aと toxin Bの2毒素が大きな役割を果たしています。C. dfficile には、 両毒素陽性株、 toxin A陰性 toxin B陽性株、 および両毒素陰性株があり、 toxin 陰性 toxin B陽性株も、両毒素陽性株と同様に消化管感染症を起こします。現在日本の多くの病院検査室では、C. difficile 感染症の細菌学的診断に、糞便中の toxin A検出(ユニクイックあるいはバイダス CDA2)のみを行っていることが多く、toxin A陰性 toxin B陽性株による感染症は見過ごされる可能性が少なくありません。Toxin Aと toxin Bの両毒素を検出するキットの早急な導入が期待される理由の一つです。


国内で利用可能となったCDAD検査(http://www.kipn.net/19-2-3.pdf から)
・TOX A/B QUIK CHEK「ニッスイ」 (日水製薬,Tech Lab製) 糞便中トキシンA抗原・トキシンB抗原の同時検出 結果判定:30分
・イムノカード C.ディフィシル (TFB,Meridian製) トキシンA・B抗原同時検出 





Clostridium difficile関連疾患のインパクト 2007-08-15 10:55

C. difficile再発性(全症例20%に及ぶ)管理のレビュー 2009-03-04


市中C. difficile感染増加、特に女性で  2009-10-31

by internalmedicine | 2010-01-21 08:32 | 感染症  

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