重症患者せん妄へのセロクエルの安全性と有効性前向き他施設ランダム化二重盲検プラセボランダム化研究

クエチアピン(Quetiapine、商品名:セロクエル)はメジャートランキライザーに分類される精神安定剤であり、非定型抗精神病薬と呼ばれる薬剤の一つ

Efficacy and safety of quetiapine in critically ill patients with delirium: A prospective, multicenter, randomized, double-blind, placebo-controlled pilot study
critical care medicine February 2010 - Volume 38 - Issue 2 - pp 419-427


Quetiapine に、必要なら、haloperidolを加えることで、せん妄解消迅速で、攻撃性がすくなく、在宅・リハビリテーションへの移行率が高くなる。ただ、死亡率、医療利用、ICU後の認知機能、退院後の依存など今後の検討が必要。



"Pharmacological Management of Delirium in Hospitalized Adults – A Systematic Evidence Review"(J Gen Intern Med. 2009 Jul;24(7):848-53. Epub 2009 May 8.)が、ある報告で集中治療分野では2番目に読まれた論文らしいから、この分野ではやはり重要問題だろう。
今のところ、第2世代で、ハロペリドールによる管理に優越性を認めるエビデンスが存在しないという結論。


せん妄の診断・治療(監修:九州大学大学院医学研究院 精神病態医学分野  講師 川嵜 弘詔)(http://www.med.kyushu-u.ac.jp/psychiatry/_userdata/delirium.pdf)では・・・奇しくもセロクエルが記載されている。
・薬物療法 (下記の薬剤量は症状によって適宜増減) :
 1)夜間の睡眠確保と興奮抑制 :
   -経口摂取が可能な場合 :
    ① セロクエル錠*:25-100mg
    ② リスパダール錠:0.5-2mg(内用液も可)
    *糖尿病患者には禁忌
    * *興奮が伴わない場合は、 レスリン・デジレル(25-100mg) 、 テトラミ ド(10-30mg)

   -経口摂取が不可能な場合 :
    ① セレネース注 :1-3A/500ml/4-6hrs.DIV(1A :5mg)
    ② セレネース注 :1-3A/100ml saline/15-30min.DIV
    *上記でも不穏の場合  セレネース注 : 1/2 - 2A, iv or im

   -上記で症状改善がみられない場合はコンサルト.


"転倒、点滴チューブ抜去に注意。場合によっては抑制帯使用も検討”と、現場がわかってる方は、どこぞの・・(http://column.carebiz.net/carenews/?p=109)とは違う。この違法判決の裁判長には是非ICU1ヶ月夜間勤務をしていただければ、ちょっとは現実がわかるだろうに・・・


オーストラリアの老人せん妄ガイドライン
http://www.health.vic.gov.au/acute-agedcare/delirium-cpg.pdf


せん妄は、見逃しが多く、女うつと診断されることが多く
Armstrong SC, Cozza KL, Watanabe KS: The misdiagnosis of delirium.
Psychosomatics 1997, 38:433-439

by internalmedicine | 2010-01-22 10:54 | 中枢神経  

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