α2A-アドレナリン受容体と2型糖尿病
2010年 01月 28日
この論文の解説記事のようになっている。きれいな図譜が使われているので、是非原著を!
α2A-アドレナリン受容体と2型糖尿病
N Engl. J Med. Vol. 362:(4) 361-362
2型糖尿病における、脂肪細胞のインスリン作用の障害が大きいが、インスリン分泌に関わるリスクも大きい。膵臓β細胞の生理的役割に果たす遺伝子関連研究で、Rosengrenらは、 α2A-adrenergic receptor gene (ADRA2A) の多形型と膵β細胞インスリン分泌能減少との関連を見いだした。
β細胞には非常に多くのα2ADRが存在し、それがplasma membraneでのインスリン顆粒のdockingを阻害 - インスリン含有vesicleの膜でのlining upをもたらす準備状態となり、結果、ブドウ糖レベル増加(高血糖)に反応して、インスリンを放出する。
ヒトと糖尿病susceptibility locus(ヒト第1j0染色体)を同じくするインスリン分泌低下モデルであるGoto–Kakizaki (GK) ratでの糖尿病研究で、5つ遺伝子を含むセグメントに絞り込んだ。インスリン顆粒fusion率を減少させ、β細胞膜に愛してlined up vesicle数を減少させた。
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GK rat 感受性locusを、ヒトゲノムに当てはめ、ADRDA2A遺伝子がインスリン放出と関連するか検討し、糖尿病を有さないコホート2つで、ADRDA2Aの周辺およびそのものの多型性とインスリン分泌の相関を見いだし、症例対照住民研究で2型糖尿病リスク増加との関連を見いだした。 transcription factor 7–like 2 (TCF7L2)エンコードする遺伝子に近いため、ADRA2A遺伝子の影響かどうか判別するのは困難なのだろう。にもかかわらず、そのADRA2Aの関連はTCF7L2 genotype補正後も明らかである。
ヒトより齧歯類研究が盛んな糖尿病研究者たちだが、Rosengrenらは、ヒトドナーからのisletからのインスリン分泌脳を評価して、膵β細胞機能と、ADRA2A genotypeの関連を見いだした。
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α2Aアドレナリン受容体は、様々な組織で発現があり、脂肪組織biologyや血圧コントロールでも役割を果たしている。たとえば、クロニジンは、受容体のアゴニストであり、中枢神経内での降圧作用をあらわすとされていた。インスリン放出阻害を示すADRA2A alleのリスクを有するキャリアでは拡張期血圧減少を示す。
ADRA2A多形型はヒトの血圧と相関を有するが、系統毎にeffect sizeは様々で、α2Aアドレナリン受容体の発現レベルに影響を与える。
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by internalmedicine | 2010-01-28 09:19 | 糖尿病・肥満