経管栄養をしたがる病院の特性:大きな病院、営利追求型病院

進行期認知症患者へのチューブ栄養に関してベネフィット上疑問が呈されている。けれど、急性期入院において多くの患者にチューブ栄養がなされている。
チューブ栄養留置に関わる病院特性をTenoらは、2000-2007年まで急性期病院入院した高度認知障害患者のナーシングホーム居住者のデータを解析
チューブ栄養挿入比率は、100入院あたり 0-38.9(平均 6.5; SD 5.3)とばらつき
チューブ栄養挿入の病院特性は、for-profit ownership(営利目的経営形態)、病院の規模が大きいほど、ICU使用が多いほど多い。



Hospital Characteristics Associated With Feeding Tube Placement in Nursing Home Residents With Advanced Cognitive Impairment
Joan M. Teno, MD, MS; Susan L. Mitchell, MD, MPH; Pedro L. Gozalo, PhD; David Dosa, MD, MPH; Amy Hsu, BA; Orna Intrator, PhD; Vincent Mor, PhD
JAMA. 2010;303(6):544-550.



高度認知症患者へのチューブ栄養に関して、日本ではほとんど議論を聞かないが、”経管栄養は、食べたくないものへの食事の強制となり、患者のAutonomyを侵害”し、予後そのものへの悪影響が報告されている。


認知症進行期の経管栄養問題 2006年 12月 11日

認知症進行期の臨床経過:感染症・熱性疾患・嚥下問題が主な死因、緩和ケア不十分  2009-10-15

米国ナーシングホーム組織文化によりチューブ栄養のとらえ方にばらつきがある 2010-01-12



日本の老人介護施設・病院の実態をみると、ほぼどこでも、経管栄養で生かされたautonomy無視の実態がある。・・・、こういった実態への議論を避け、”寝たきり老人は日本だけ”という印象に過ぎない、枝葉末節な議論ばかり行われいる。

”施設内誤嚥=医療事故・介護事故”という浅はかな考えが、非人道的な、経管栄養を生み出しているのも日本の実態である。


厚労省は、日本の医療を、できるだけ大きな病院、そして、利益追求型法人=一般法人でも経営可能にしようとしているが、米国での実態、すなわち、経管栄養への悪しきインセンティブとなる前例をよく考えてみた方が良い。

by internalmedicine | 2010-02-10 09:45 | 医療一般  

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