イブプロフェンは効果においてアセトアミノフェンに優り、安全性同等

イブプロフェンはアセトアミノフェンに比べ、疼痛、発熱改善において優位で、同等の安全性である。

Efficacy and Safety of Ibuprofen and Acetaminophen in Children and Adults: A Meta-Analysis and Qualitative Review
Pierce and Voss Ann Pharmacother.2010; 0: aph.1M332v1
イブプロフェンとアセトアミノフェン直接比較の85研究を同定
54の鎮痛剤有効性データ、35の解熱/体温減少データ、66の安全性データ(いくつかの記事で2種以上のデータを含む)

文献の定量的レビューで、疼痛・発熱治療に対して、小児・成人において、多くの場合、ibuprofenはよりアセトアミノフェンより有効で、2剤の安全性は同等。


質的に十分な定量的評価記載してあるランダム化臨床トライアル論文のメタアナリシスにて、成人では 標準化平均差[SMD] 0.69; 95% CI 0.57-0.81、小児の投与2時間後疼痛 SMD 0.28; 95% CI 0.10 - 0.46)、小児の投与4時間後熱 SMD 0.26; 95% CI 0.10 - 0.41)

評価データ不足により成人発熱・体温減少は結論づけられなかったが、成人における最小adverse event [AE]) 複合オッズ比ではイブプロフェンやや優位 (1.12; 95% CI 1.00 - 1.25)だが、差異は統計的はなかった(0.82; 95% CI 0.60 - 1.12)。




OTCとしても、いづれも、使用されている薬剤なので、もともと安全性が高いのが前提だろう。

日本と用法用量など異なるので、そのまま、日本でも適用というわけには行かないだろうが、イブプロフェンの有効性が確認されたことは意義がある。

胃腸障害に関して、イブプロフェンの方が影響あるというイメージがあるのだが、英語ベース論文デフォルト国と同じでよいのか?

それと、小児には少ないが、アスピリン喘息の問題が気にかかる。
アスピリンに限らず免疫学的に交差反応性を起こす可能性のないほとんどすべての酸性NSAJDs(インドメタシン,イブプロフェン,トルメチン,フェノプロフェン,ナプロキセン,ジクロフェナク,ケトプロフェン,ピロキシカム,メフェナム酸,スルピリンなど)によって瑞息が誘発される。したがって,これらの薬剤の持つ共通の薬理作用であるアラキドン酸シクロオキシゲナーゼ阻害作川(COX,特にCOX-1阻害作用=プロスタグランジン生合成阻害作用)が過敏反応の引き金になるものと考えられている。
・・・・
一部に,アセトアミノフェンは安全との記載があるが,高用量(1,000mg以上)になると過敏反応を誘発するので注意するべきである。選択的COX-2阻害薬のセレコキシブはアスピリン瑞息にも常用量で安全に投与できることが確認されている'21。モルヒネ,ペンタゾシン,鎮痩剤などは安全に投与できる。何らかの理由(関節リウマチや抗凝固療法が必要な疾患の合併など)により,長期にNSAIDsの投与が必要とされる場合にアスピリン脱感・・・・(喘息予防・管理ガイドライン2009)

by internalmedicine | 2010-02-13 09:11 | 内科全般  

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