2型糖尿病発症予防には肥満と運動どちらが大事か





糖尿病予防としては、肥満を放置したまま運動だけを強調しても効果が少ない・・・という結論

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Relationship of Physical Activity vs Body Mass Index With Type 2 Diabetes in Women
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/292/10/1188
JAMA. 2004;292:1188-1194.

【概要】身体活動性のなさ(以下、運動不足と訳)とBMIはともに2型糖尿病の独立した危険因子であるが、糖尿病に対する重要性の比較、結合関連性は不明である。
【研究デザインなど】心血管疾患、癌、糖尿病なしの女性37878名の前向きコホート研究(平均フォローアップ6.9年)
体重に関しては、正常:BMI<25、過体重:25以上30未満、肥満:30以上と定義
“身体活動性がある”とは1週間のレクレーション運動1000Kcal以上と定義する
【主なアウトカム】2型糖尿病の発症率(新規自己申告)
【結果】1361例の糖尿病発症
BMIと身体活動性は有意に糖尿病発症の有意な予後推定因子
正常体重群に比べ、多変量HRは過体重3.22 (95% CI 2.69-3.87)、肥満9.09 (95% CI 7.62-10.8)
全体の身体活動性(週あたりの消費カロリー)では、少なくとも最小4分位と野比較では多変量解析補正HRでは2番目の4分位 0.91 (95% CI, 0.79-1.06)、 3番目の4分位 0.86 (95% CI, 0.74-1.01)、4番目4分位0.82 (95% CI, 0.70-0.97) (P for trend = .01)
組み合わせで解析すると、正常者に対して、過体重・肥満対象者は身体活動性の有無にかかわらずリスク有意に増加。

正常体重・身体運動高値に対する、糖尿病発症多変量解析補正HRsは
正常体重・身体運動低値: 1.15 (95% CI, 0.83-1.59)
過体重・身体運動性高値:3.68 (95% CI, 2.63-5.15)
過体重・身体活動性低値:4.16 (95% CI, 3.05-5.66)
肥満・身体活動性高値:11.5 (95% CI, 8.34-15.9)
肥満・身体活動性低値: 11.8 (95% CI, 8.75-16.0)

【結論】
BMIと身体活動性低下:運動不足は、それぞれ独立した糖尿病発症の予後因子だが、BMIの相関の程度の方が身体活動性より重大この所見は、肥満という重要性が糖尿病にとって過小評価されていることが見出された。
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肥満と過体重の定義は(NHANES)
http://www.cdc.gov/nccdphp/dnpa/obesity/defining.htm
にしたがったものと思われます。

日本の肥満の定義とは異なります
http://bestdiet.jp/sheets/002.htmlが、まずはBMIを減らすことを心がけることが重要。

身体運動ももちろん重要で、


エビデンス不足のため科学的根拠が十分といえない生活習慣病の指導がなされているのではないかと、禁煙に伴う肥満に関してかなり認識の甘い文書を眼にしてあきれ果て、怒りの気持ちを禁じ得ないことがつい最近ありました。
“禁煙に伴う肥満はたいしたことがない、身体への影響が少ない”といった要旨です。
一般向けの講演などはわかりやすさを前面にするため、残念ながら根拠のない講演者側の勝手な思いこみが入り込みそれが一人歩きすることもあります。
そういう講師は講演や出版の資格が無いのですが、残念ながらそれを審判するシステムがない・・・と

by internalmedicine | 2004-09-08 14:00 | 動脈硬化/循環器  

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