熱傷患者への予防的抗生剤投与

Prophylactic antibiotics for burns patients: systematic review and meta-analysis
BMJ 2010;340:c241
【目的】 熱傷患者への予防的抗生剤全身投与のエビデンス評価

【デザイン】 抗生剤予防(全身、非吸収性、局所)の、プラセボ・非治療比較のランダム化、あるいは「準ランダム化比較試験」S(quasi-randomised controlled trials)

【データソース】 PubMed, Cochrane Library, LILACS, Embase, conference proceedings, bibliographies
非言語、日付、出版制限を含む

【レビュー方法】 Two reviewers independently extracted data.
The primary outcome was all cause mortality.
Risk or rate ratios with 95% confidence intervals were pooled with a fixed effect model if no heterogeneity was present.

【結果】17 のトライアルを含みトライアルは、受診後 4-14日投与にて、有意な全原因死亡率減少(リスク比 0.54, 95% 信頼区間 0.34 ~ 0.87, 5トライアル)

対応NNTは8(5 ~ 33)で、コホートイベント率 26%

周術的非吸収性、局所抗生物質単独は有意に死亡率に影響を与えない。

全身予防の肺炎減少、周術予防の創傷感染減少が見られた

黄色ブドウ球菌感染・コロナイゼーションは抗黄色ブドウ球菌抗生剤予防使用により減少

3つのトライアルで、予防使用の抗生剤耐性は有意に増加(rate ratio 2.84, 1.38 ~ 5.83)

トライアルの包括的方法論的質はpoor

【結論】 抗生剤全身投与による予防は熱傷患者に利益性効果があるが、データの方法論的質がweak

予防は現行では周術的意外の重症熱傷患者で推奨されていない。この使用評価のランダム化トライアルが必要




「Minor Emergencies: Splinters to Fracture」(Philip Buttaravoli)には、してはいけないこととして
・広い範囲にアイスパックを当てたり圧迫することは。組織の損傷を増大させることがあるので使用してはならない.氷冷による湿布も,低体温を生じさせる可能性があるため,熱傷面積が大きい場合(総体表面積の15%を超えるもの)は避けるべきである.湿布で疼痛を抑えられない場合には,硫酸モルヒネなどの強力な
非経口鎮痛薬を使用する.
前提はこれだが・・・
疼痛を抑えるために,氷冷した生理食塩液か冷たい水道水にあらかじめ浸しておいた滅菌タオルで熱傷部位を直ちに覆って患部を冷却する.その後20~30分間もしくは冷却しなくても苦痛を訴えなくなるまで,氷を入れた,あるいは冷やした液体で患部の洗浄を続ける.
・予防目的での抗生物質の全身投与は行わないこれにより創傷感染の発生率が低ドするとは証明されておらず,通常は必要ない.

・ネオマイシンを含有するクリームや軟膏は使用しない。強い苦痛を伴うアレルギー性接触皮膚炎を引き起こすき可能性がある.

by internalmedicine | 2010-02-19 11:30 | 集中・救急医療

 

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