2006年 05月 06日 ( 2 )

 

ビール腹は存在するだろう・・・なにいってんだ

以下のExciteの記事をみて唖然
    ↓
「ビール腹」って実在するのか?
http://www.excite.co.jp/News/bit/00091146120974.html


ビールを飲んでビール腹になるということはないですよ」という回答。これはビールファンにとっては朗報では?!

「アルコールのカロリーは1gあたり7kcal。でもそれは熱として発散されるので、基本的に体に溜まるものではないんですよ。もちろんお酒にはアルコール以外の成分も含まれていますので(特に醸造酒には)、その意味では体に溜まる、即ち、太る要素もあると言えますが、飲む絶対量からするとたいしたことではありませんね」



待った!

これってホントなのだろうか?・・・この情報はミスリーディングてんこ盛りである。


そもそも・・ビール業界がバックの団体に聞いても、バイアスのかからない情報が得られるとは思えない。・・・そこが間違いである。恣意的な報道が働いている。


次に、体重とウェスト・ヒップ比、ウェスト径を区別せず、乱暴に太るということだけを評価していること。現在、ウェスト・ヒップ比を代表とするメタボリックシンドロームが大きな問題になっているのを全く無視した肥満のみを問題にしたコメントである。ビール腹とは、ウェスト径が大きくなり、ウェスト・ヒップ比が大きいこと・・・おなかぽっこり型であり、肥満とは若干定義が異なるのである。



”熱として発散されるので、基本的に体に溜まるものではない”・・・これは例のEmpty Calorieのしかも誤用の引用と思われる
・・・・たとえば・・・>カロリーがないという意味ではなく、カロリーはあるが、ビタミンなど、ほかの栄養素をあまり含んでいない食品

Empty Calorieのことを持ち出す連中は脳がEmptyなのではないかと疑う・・・
Normal metabolism of ethanol involves oxidation to acetic acid, conversion to acetyl CoA and processing in the usual mitochondrial respiration. Alcohol is thus a source of energy


英語論文の場合は、Obesityと肥満の定義の違いというの注意しなければならない。
日本における肥満は過体重を含むものであり、英語論文のobesityにはならないという論文を見て安心してはいけないのである。


以下の論文なんざ、肥満とビールは関係ないというミスリーディングを与える典型的論文で。その上に、研究手段が横断的研究にもかかわらず、結論に関して謙虚さがない。
     ↓
Beer and obesity: a cross-sectional study
EJCN October 2003, Volume 57, Number 10, Pages 1250-1253



以下の論文がまだ信用できると思う。


Influence of alcohol consumption and various beverages on waist girth and waist-to-hip ratio in a sample of French men and women
International Journal of Obesity December 1998, Volume 22, Number 12, Pages 1178-1183
ワインが主なアルコール源で、総アルコール67%
男性では、アルコール摂取とBMI・BW(体重)の関連認めず
女性では、アルコール摂取とBMI・BWの逆相関(P<0.001、P<0.002)

男性では総アルコール摂取はWHR(ウェスト・ヒップ比)と正の相関、そしてウェスト周囲径 とも相関、これはBMIと独立した形である。

同様に、女性でもアルコール摂取とWHR、ウェストの正の相関関係(P<0.001、P<0.001)でこれもBMIと独立した関係

飲料の種類と寄与因子を含めた回帰分析モデルではワイン・ビール・スピリッツにて男性のWHRと弱い相関、女性ではワインとビールで正の相関がWHRで認められる。




中等度から高度のアルコール摂取、ビール・スピリッツは後のウェスト周囲径の大きさと創刊する。ワインは逆のようである。
ref.)Waist circumference in relation to history of amount and type of alcohol: results from the Copenhagen City Heart Study
February 2003, Volume 27, Number 2, Pages 238-246



ビールが、ビール腹を促進しないなどとは書かれていない。

従前の比較的まとまっている報告をみると、ワイン vs ビールに関して、W/H比の増加が報告されている。
 アルコールそのものが脂肪を含まないこと、1922年のNEJMで発表されたスイスの研究室の脂肪成分燃焼的能力低下作用、食欲増加作用、運動不足に伴う皮下脂肪の増加などの要因も考慮されている。


【結論】
現在のビール・スピリッツの類の飲料摂取は、ウェスト・ヒップ比増加・・・すなわち、 立派なビール腹になる可能性が大である。

by internalmedicine | 2006-05-06 10:38 | 医療一般  

TSH上限値


加齢学会でなく、抗加齢学会・・・加齢を研究することでなく、加齢と戦う学会


"アンチエイジング(抗加齢)医学とは、従来の医療が対象にしていた「病気の治療」から、「健康な人のさらなる健康」を指導するプラスの医療で、究極の予防医学。元気に長寿を享受することを目指す理論的・実践的科学"
と、御大層なのだが、その内容は抗酸化作用、ホルモン補充療法などが主体のようである。いづれも、理論や試験管内ではその立場は立派なのかもしれないが、臨床的に意義があるのかさえはっきりしてないものが多い。

Google Scholar検索をすると、Quack Problem、Legal Problemが検索される。成長ホルモンに関して問題が生じている



で、何が言いたいかというと・・・
あるアンチエージング・クリニックの紹介記事をなにげにみていたら、TSH、fT3、FT4と書かれていた。あんまり、ものを考えない医者がやってんだなぁ・・・と考えたりして・・・
内科独特の細かい世界だが、甲状腺機能をスクリーニングするとき、TSHを主体に使い、fT4を加えるかどうか・・・するのが普通だと思うのだが・・・内科のトレーニングをしっかり受けている医師なのかどうか疑問をそれだけで感じてしまった。


Is there a need to redefine the upper normal limit of TSH?
European Journal of Endocrinology, Vol 154, Issue 5, 633-637

甲状腺機能低下症のmild forms、subclinicalな甲状腺機能低下が最近overtな甲状腺障害や、ある種の臨床的疾患のリスク要因になるのではないかと議論されている。
診断は、血中遊離thyroxine(T4)濃度正常である場合、血中TSHの正常上限の値設定に依存するわけである。

TSH 4-5mUのカットオフ値は、TSH濃度を高値かどうか診断することで通常検討される。大規模住民研究の最近のデータでは、2-2.5mU/lとより低値を設定することg示唆されているが、
(個別的な検討・甲状腺疾患家族歴・エコー上甲状腺形態正常であるといった)一般住民研究でのTSH参照値評価するものと対象者を厳格なクライテリアへ適応する上でTSH 2.0-2.5 mU/lが明瞭である上限値という結果を示すことにはならなかった。
TSHカットオフ値をさらに低く設定することの正当性は認められず、まだ、0.4-4.0mU/lを維持することが推奨されるだろう。
TSH値2-4 mU/lを異常と分類すると、T4治療においても、おそらくgoodよりharmをもたらすこととなるだろう。

by internalmedicine | 2006-05-06 09:49 | 医療一般