2006年 05月 12日 ( 4 )

 

ニコチン依存症治療薬FDA認可すれど・・・依存症治療は毎日新聞へ


遅ればせながら・・・FDAがChantix (varenicline tartrate) 錠を認可したとのこと



アメリカ心臓病学会 2005年研究進展 トップ10
で紹介済み

②Varenicline:禁煙を助ける期待の新薬

http://health.yahoo.co.jp/column/detail?idx0=w05051103


脳内でニコチン受容体に結合して、ニコチンが受容体に結合するのを防ぐ。ニコチンが受容体に結合するとドパミンが放出され快感をもたらすことになるが、同薬によりその作用が阻害される。

ニコチンの報酬的、習慣形成性を生じる脳の受容体を刺激する薬剤の研究

α4β2ニコチン受容体部分的アゴニスト

bupropionとプラセボの比較では、varencicline群では約44%、bupropion群では30%、プラセボでは17.7%


と説明されていたが、FDAの発表では・・・

Chantixは、脳内のα4ーβ2ニコチン受容体を一部遮断し、喫煙後1吸入した10-19秒以内に、ニコチンはこの受容体とくっつく。こんどはこの受容体はドパミンの大量増加をもたらし、気分が良くなる。Chantixは受容体と接着し、ニコチンの接着を阻害する。その結果ドパミンの大量増加によるrewardを遮断することで、依存サイクルを阻害するという話。
約2000例の患者で6つのトライアルのうち2つをTonstadは報告し、Chantix 1mg/bid、Zyban 150 mg/bid、プラセボを比較
禁煙成功率、Chantix群 22.1%、Zyban群 16.4%、プラセボ


・・・と、やはり禁煙成功は難しい。


日新聞記者はタバコ依存症は簡単だそうだが・・・これからは毎日新聞社に禁煙指導を頼めばよいのでは・・・
タバコは依存症を形成しやすい・・・アルコール・麻薬よりはるかに ・・・> 毎日新聞様


ニコチン依存症の健保適応というところでメディアを騒がしたが、結局、厚労省の役人の通達行政によれば、医療の現場では結局なにも変わらないことがはっきりしている。
ニコチネルTTSなどの健保適応を許可しない限り・・・混合診療となり、健保適応できないのである・・・なんというアホな・・・

疑義解釈資料の送付について(その5)4/28付
http://www.hospital.or.jp/pdf/14_20060428_03.pdf

【ニコチン依存症管理料】
(問17)ニコチン依存症管理料を算定する際処方されるニコチンパッチはど
のような扱いとなるのか。
(答)ニコチンパッチが薬価収載されるまでは、自費徴収の有無に関わらず、パッチを使用する禁煙指導は全て自由診療となる。
なお、ニコチンパッチの薬価収載については、現在検討中である。

by internalmedicine | 2006-05-12 17:24 | 医療一般  

rapid ACTH test

検査法提要は私らの検査のバイブルだが・・・rapid ACTHテストの記載がなくなりちょっと心配になった。


29版・32版:掲載 あり
30版・31版:掲載なし



結局は、32版で復活したのだが・・・いったいなんだったのか?


ちなみに・・・
<検査方法>
rapid ACTHは、前採血後、合成1-24ACTH0.25mg筋注または静脈内投与し、
30.60分後に採血し、血中コルチゾールを測定する。
健常者はコルチゾールの値が2倍以上に増加する。
増加をみないときは、予備能低下で副腎皮質不全が疑われる。
(第32版 検査法提要抜粋)


なお、コートロシンZで、用法用量通りおこなって・・・アナフィラキシーを経験してるので・・・私は怖い!

注意事項:

用法・用量
1.副腎皮質機能検査の場合:
1日テトラコサクチドとして0.5~1.0mg(1~2mL)を1~2回に分けて筋注する。
※筋肉注射しか認めてない
重要な基本的注意
1.副腎皮質ホルモン療法から本剤に切り換える際は離脱症状を防ぐため,副腎皮質ホルモン剤の投与を急に中断せず一定期間(最低1週間)これらを併用すること。
2.まれにショックを起こすことがあるので,使用に際して下記の点に留意すること。
(1).ショック等の反応を予測するため,十分な問診を行うこと。
(2).あらかじめ皮膚テストを行うことが望ましい(皮膚テストとしてはコートロシン注の104倍程度の希釈液を皮内に注入し,15~20分後の皮膚反応を観察するなどの方法がある)。
(3).本剤の投与に際しては,常時,ただちに救急処置のとれる準備を整えておくこと。
3.本剤の投与後は,患者を安静にさせ,観察を行うことが望ましい。

・・・とくに副腎不全を想定した検査だから、それ相応の心と器具の準備は必要だろう。


Harrisonから:
スクリーニングテストとしてのいわゆるrapid ACTH刺激試験は、cosyntropin 25 units(0.25mg)を静脈内・筋肉内投与し、投与前・30分・60分で比較。
試験は1日のうちどの時間でも良い

多くのカット値:
 刺激後>500 nmol/L(>18g/dL)
 増加値がベースラインより>200nmol/L(>7g/dL)増加

重症疾患では反応しない。


比較的最近の論文
To critically review the utility of the cosyntropin stimulation
test for evaluating adrenal insufficiency.Ann Intern Med. 2003;139:194-204.(pdf)

原発性副腎不全(cosyntropin 250μg)、2次性副腎不全(cosyntropin 250μg)、2次性副腎不全(cosyntropin 1μg)などで、特異度95%、感度97%、57%、61%であった。
cosyntropin 250μgの特異度95%で、summary ROC analysisでは尤度11.5(95%CI 8.7-14.2)で陰性尤度 0.45(CI 0.30-0.60)の2次性副腎不全診断に対する結果であった。

by internalmedicine | 2006-05-12 11:37 | 医療一般  

亜急性咳嗽の原因と臨床的特徴

咳嗽ガイドライン 2006年 01月 18日から見てなかった。

このうちの亜急性咳嗽の診断プロセス:
亜急性咳嗽の原因と臨床的特徴_a0007242_1004445.jpg



Causes and Clinical Features of Subacute Cough
(Chest. 2006;129:1142-1147.)

亜急性咳嗽
184名(男性77名、女性107名)評価にて、47.5の平均連例。
89/184は気道感染後の咳嗽
62名は治療なしで改善
誘発試験陽性の29/43がCVAであった

結論として、亜急性咳嗽の半数はpost-infectious(感染後)
もし強く疑うのでなければ、誘発試験施行は、経験的治療後でもかまわない。



誘発試験なんて、この異常な訴訟社会の日本で安易にはできない。
アストグラフの普及から考えても、このガイドラインは日本においては絵に描いたもちということになるだろう。




・・・そして朝日が医者批判をする・・・日本の呼吸機械はprovocation testさえしませんって・・・

by internalmedicine | 2006-05-12 10:05 | 呼吸器系  

脳神経外科から楽な科へ進路変更?

朝日の一面に医師が”楽な科”を選択するようになったと書いてあった。Webでは書かれてない。

“楽な科”というのは、専門家のインタビューとしては書かれておらず、記者の感想なのだろう。

朝日新聞は北九州の病院を実質経営したことがあり、循環器と脳神経外科が看板だったはずで、いまだ、脳神経外科にはSympathyをかんじてるのだろうか?



若手医師、脳外科離れ 激務・訴訟リスクを恐れ?
 今春、2年間の臨床研修後に脳神経外科を専門分野として選んだ若手医師が、数年前に比べ2割程度減ったことが、日本脳神経外科学会の調査で明らかになった。同学会理事会に11日報告された。理事らは「産婦人科医や小児科医などと同様、仕事のきつさや訴訟リスクが敬遠されたのではないか」とみている。
2006年05月12日07時10分
http://www.asahi.com/life/update/0512/004.html



朝日新聞らしいいやらしさに満ちた表現(人間性が現れている)
どの診療科が楽なのか書かれてないのは、その診療科からのおそらく批判をおそれてのことだろう・・・まともな診療を行っている診療科で楽な科なんてのは存在しないと私の医師経験から判断すればそう思うであるが・・・

この論文当時は、日本においては、1340のトレーニングセンターで、7500名を超える脳外科医、5432名の専門医がいるそうである。
ちょっと前のデータなのでこれより増えてるはず。


今年初め読売新聞は実はこの実態に関して全く逆のことを記事にしている。
脳神経外科医も、日本には昨年時点で、人口100万人当たり47人おり、韓国の39人、米国の18人をしのいで世界一多い。・・・・・医師の数 2004年末現在の総実働者は25万6668人。2002年に比べ約7000人増えているが、心臓血管外科は4.7%増、小児科は1.4%増、脳神経外科は0.7%増、産婦人科は4.3%減だった。(2006年1月31日 読売新聞)



両記事が正しければ、脳神経外科への進路が急激にすくなくなった。
この短期間で変わったことといえば・・・割り箸事件などの刑事訴訟も加わった医療事故紛争、そして、新しい研修制度のもたらしたということになるのだろう。脳外科というのを現実にみせられて、期待と現実のギャップというものがあるのではないかと思う。一生涯の仕事を決めるわけだからいろんな要因で選択をおこなう。そう安直にきめることはないのだよ・・・>朝日の根性曲が記者様方


ちなみに、ラクナの仕事をしようというのであれば、ちなみに神経内科・循環器系内科に進むべきであろう。・・・Lacuna Strokeの専門はそちらと思われ・・・



みればみるほど、気分悪くなる新聞ですなぁ・・・朝日
相変わらず、表層的で、感情のほとばしる、医療全体から、社会全体から問題をあぶり出そうとしないいい加減な記事・・・記者は研修をやり直した方がよいと思う。
そうしたら、社会部じゃなく楽な部を選ぶのでは?

by internalmedicine | 2006-05-12 09:32 | メディア問題