2006年 07月 20日 ( 2 )

 

Narrative

学際的なら分かるのだが、一方的に哲学という話になると・・・???となり、なんか変な人が多く入り込んできたなぁ・・・と思うNBMの世界というイメージ。

Narrative関連論文を、拾い読みしてるとなんだか、そんなに敷居の高いものでない気がしてくる。懐古的な医学の断端をみたりするのであるが・・・

NarrativeとGoogleで検索すると日本語がかなり検索され、NBMに至っては日本語がほとんど・・・非常に奇異な感じがする。“NBM narrative” の検索結果 約 20,400 件・・・ほとんど日本語・・・日本人てはやりものに弱いというか、こういう横文字略語に弱い人種・・・典型的なのが私だが・・

EBMとちがい役人も利用してやろう十も輪かなったのだろうか?さほどやり玉に挙がることもなく、経過してきているかわりに、EBM初期のようなオピニオンリーダーが外国にいないため、日本人の先生方が勝手にいろいろ概念遊びをしているようである。・・・言い過ぎか?


Narrativeの発音はナラティブでなく、ネァラティブと聞こえる

1999年当時、BMJにシリーズとしてNarrativeの記載が多く、その後は比較的記載が少ない。私が知ったのもこの年
Evidence based medicine: what it is and what it isn'tが1996年で、さほど年数を経ていないタイミングであった。


なぜ、Narrattiveを学ばなければならないのか?(BMJ 1999;318:48-50 ( 2 January )
疾患の原因、疾患過程、改善(悪化)、治療法(治療の失敗)は患者の人生の広い物語(ストーリー)の中の演者と考えれる。
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疾患の物語り(narrative)は、患者の問題点を全体的(holistic)にアプローチするフレームワークを提供し、診断・治療オプションが明確になることがある
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歴史を考えることは解釈的行為; 解釈(the discernment of meaning:意味を調べること)は、物語の分析の中心である(例えば文学評論)
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物語り(Narrative)は、しばしば存在し、疾患の構成原因であることのある、心的傷、絶望、希望、悲嘆およびmoral painの存在を見いだす手段を与えるもの
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“narrative”というの失われた伝統は医学の教育・医学実践の場で復活するべき




Stories we hear and stories we tell: analysing talk in clinical practice
BMJ 1999;318:186-188 ( 16 January )

・医師・患者コンサルテーションに関する通常の研究は内容より構造に焦点が向かっているため、比較的表面的になりやすい
・臨床上の出会いのうちの異なる相互的な観点は、文章やトーン、一瞬沈黙や中断、非言語的コミュニケーションの技術を用いたテクニックを用いることで明らかになるだろうというもの
・文脈の詳細な研究を通して、臨床医は、それらの患者の物語をより構造的に聞くことを学んでもよい。


Discourse analysis(会話分析)は文脈の言語研究です。同定すべき価値があるが、隠れたパターンや外観で隠されていたものの分析に多くの事例がある。
言語学、社会学、心理学にルーツがあるが、自然発生言葉のプロセス研究以外なにものでもない。


BMJ 1999;318:323-325 ( 30 January )

・エビデンスに基づく”臨床医でさえ、臨床上の専門的技術と判断の重要性を認める。
・臨床的方法は話術的な技量により描かれた解釈的行為であり、患者、臨床医、検査結果により語られた重層的なストーリーを統合するものである。
・特定の臨床的決断をなす場合の、最適な医学的な格言を選択するアートは、“症例専門的技術”(患者のストーリーや“疾患記述”や臨床的な逸話)の蓄積を通して獲得される
・narrative-解釈パラダイムを捨て、“エビデンス”だけでトライしようとしても、臨床的な状況に研究治験の結果を当てはめるときに不調和を来す。
特定の臨床の決定のための最も適切な医学の格言を選択する芸術は私たちが物語解釈的なパラダイムを捨てて、「証拠」で単独でなんとかやっていこうとするとき、主に「ケース専門的技術」(患者と臨床の逸話の話か「病気スクリプト」)の蓄積で取得して、研究調査結果を臨床の遭遇に適用しようとするとき私たちが経験する不協和音がしばしば起こる。


BMJ 1999;318:48-50 ( 2 January )
①有限・縦軸時間の一連の流れであり、始まりが存在し、一連の展開を有するイベントであり、エンディングをもつもの
②前提として、ストーリーが語られることに対して語り部と傾聴者に分けられる
③話は個人に関連があり、単に何が語られ、何が行われことより、その個人がどう感じ、それについて人々が感じたかの方が重要である。

話し手はさらに展開するイベントに単純にあるいは直接関係ない事の情報を提供することとなる。
人ごとに同じ出来事の流れの話をしても若干真実でない事なしに、入り込むかもしれない
そこが大事なのである。
あるnarrativeにとって、測定値のリスト、実験の結果の記載に反して、何が明らかになったか、何が不明瞭なのかは自明ではないのである。なにを話、何を省くかがナレーターと直結しており、傾聴者により改変可能なのである。


患者の体験のデータベース
DIPEX.org



"interpretationthe discernment of meaningis"(意味の解釈的識別)への関心というのは哲学者・言語学者にとって中心的関心事であるが、医師や他の科学者にとってはなじみがない概念であり、故に心地悪いものである。
臨床医学は、歴史・法律・経済学・人類学や他の人文科学の手法を共有しており、物理学より意義がある多くのものであるが、それらのものと異なり、明示的な解釈・意義付けなどのその規則が認識されていないとHunterというひとがのべてるそうな・・医学的プロフェッションは、“ "moral knowing, a narrative, interpretive, practical reasoning”として特徴づけられるものであると信じると述べている。

That's another story: narrative methods and ethical practice
J Med Ethics 2001; 27:198-202

BMJ 1999;318:253-256 ( 23 January )

Narrative-based therapies”というのがあるが、ほとんど心理学関係

by internalmedicine | 2006-07-20 17:40 | 医療一般  

収縮機能保持心不全(Heart Failure with Preserved Ejection Fraction)増加

CHARM-Preserved(収縮機能保持群)試験の訳から考えれば、Heart Failure with Preserved Ejection Fractionは収縮機能保持心不全と訳すべきか?

わたしの住んでるところは心エコーに強い循環器医師の巣窟のため、この概念に関して心エコーやっとの実地医家と循環器専門医(心エコー専門医といった方がよいか)との話がかみ合わない。BNPの話をしても、結局、エコーの話へ流されてしまう。・・・で、結局、「駆出率正常だから問題なしですよ」・・と、はぁ・・・と魔邪のようにほえてしまいたくなるが・・・


・・・当地では、この専門家たちせいで、闇にうもれた、この収縮機能保持心不全が増加しているという印象があるのだが・・・

米国での検討で、やはりHeart Failure with Preserved Ejection Fractionによる入院が増加しているらしい・・・



Prevalence and Outcome of Heart Failure with Preserved Ejection Fraction
NEJM Volume 355:251-259 July 20, 2006 Number 3
入院患者の後顧的研究で、EF正常での心不全頻度1987と2001年で有意に増加している。
生存率はわずかにEF低下患者より正常EF患者の方が有意に高いが、15年間でEF低下患者群のみ改善



Outcome of Heart Failure with Preserved Ejection Fraction
NEJM Volume 355:260-269 July 20, 2006 Number 3
2802名の心不全入院患者で、31%がEF正常
EF減少患者たちと比べて、高齢者、女性、高血圧・心房細動の既往が多いということが判明
しかし、臨床症状、合併症、再入院、死亡率はほぼ同様。




対象の収縮機能保持心不全は如何にして選別されたか?
ここ10年心不全の頻度は安定化し、心不全診断後の生存の尤度は増加していることは心不全の特徴が変化してきている可能性を示唆する。一般人口分布の変化が心不全リスクのリスク要因の頻度の変化をもたらし、治療戦略の改変が必要となってきているかもしれない。心不全の包括的特徴はEF維持された心不全の存在により変化している。

International Classification of Diseases, Ninth Revision, Clinical Modification (ICD-9-CM)のコード428の診断名で退院DRGコード127の診断での退院とマッチさせて、両者一致したものを対象にしている。



congestive heart failure (ICD-9-CM: 428)というだけで・・・よいのだろうか?

一応・・・・診断に関して書かれてるところのガイドラインに準じていると思うのだが・・・


一般的に、確定診断は心室の弛緩率が低下していることによりなされる。この生理学的な異常は左室充満圧の増加(正常左室容量と正常収縮能)という所見
診断は、一般的に心不全の典型的症状と兆候によりなされ、超音波にて弁異常(大動脈(【注】aorticと書かれている)収縮、僧帽弁逆流など)無しのケース
他の疾患などの可能性をできる限り除去しなければならない
心不全・正常左室駆出率患者の鑑別診断
心不全の誤診断
左室駆出率の不正確な測定
原発性の弁膜疾患
拘束性(infiltrative)心筋症
アミロイドーシス、サルコイドーシス、ヘモクロマトーシス
心外膜炎(収縮性)
periodeicな、可逆的左室収縮障害
重篤な高血圧、心筋虚血
高代謝demandによる心不全(high-output states)
貧血、甲状腺中毒、動脈静脈瘻
右室心不全を伴う慢性肺疾患
肺血管疾患を有する肺高血圧
心房の粘液腫
原因不明の拡張機能障害
肥満

非侵襲的方法(特にDoppler echocardiographyに頼る方法)は正常LVEFの心不全診断に重要な役割を果たしているが、重大な限界がある。何故なら、心臓充満パターンは心臓への負荷状況により、年齢、心拍、僧帽弁逆流により非特異的な・一過性の変化が存在するからである。
エコーとBNPの組み合わせで診断の正確性を改善させる可能性がある。
たとえば正常BNPで、正常の拡張期充満パラメーターの場合は心不全でありそうもない



赤文字のところを是非念頭に置いてほしいものだ・・

by internalmedicine | 2006-07-20 12:08 | 動脈硬化/循環器