2008年 01月 30日 ( 3 )

 

関節リウマチとpreclinical間質性肺炎

The Proceedings of the American Thoracic Society ( 4:443-448 (2007))という雑誌に、リウマチと肺病変に関してレクチャーがなされている。このレクチャー内でもリウマチ-間質性疾患、RA-ILDの進展予後因子などが書かれている。

頻度に関しては、
間質性肺炎の頻度は様々で、後顧的研究でILDは約7%、一方剖検では35%という報告もある。HRCTの前向き研究で、より高頻度であることが判明し、非選択的な群では、2/3まで認められたという報告もある。


病態・病因としての記載は、
予後因子としては、臨床的、遺伝的、環境因子が肺疾患進展に関連する。リウマチ結節とRA-ILDは男性に多い。喫煙が独立したリスク要因であり、重症度、RF陽性と関連。
たばこと、HLA-DRB1”shared epitop"(SE)、anticyclic citrullinated peptide antibody (anti-CCP)とRAの進展の関連の報告。喫煙歴とHLA-DR SE 遺伝子の2コピーの存在が、非喫煙者・非HLA-DR SEよりリスク21倍増加する。ただ、喫煙そのものとRA-ILDの関係はまだ不明。血中のIgM-RFや抗CCPの増加がRAの進展因子であり、IgM-RFはRA-ILDと相関があった。




関節リウマチ(RA)に伴う間質性肺疾患(ILD)の早期同定と治療は進展を押さえられるかも知れない。無症状性肺疾患、preclinical ILD(RA-ILD)の早期同定を目的として最終的には治療に結びつけようとする研究
Progressive Preclinical Interstitial Lung Disease in Rheumatoid Arthritis
Arch Intern Med. 2008;168(2):159-166.

64名のRA成人、10名のRA・肺線維症(RAPF)対象

【結果】 呼吸苦・咳嗽のないRA患者の21/64(33%)でHRCTで検出されるpreclinical ILDがある。
肺疾患無しの患者にんくらべ、RA-ILD患者は有意に喫煙歴が長い (P < .001)、crackleの頻度が多く (P = .02), higher alveolar-arterial oxygen gradients (P = .004)、HRCTスコアが高い(P < .001)
HRCT異常はRA-ILD患者12/21(57%)で進行
PDGF-ABとPDGF-BBの肺胞濃度は統計学的にRA-ILDの患者群が、RA without ILD無しの一群より有意に高値である(平均 [SE] 497.3 [78.6] 、 1473 [264] pg/mL) vs 24.9 [42.4] 、 792.7 [195.0] pg/mL) (P < .001 と P =.047)

RAPFを有する患者では、インターフェロンγとTGFβ2の濃度は有意にRA without ILD患者群より統計的に低下(平均 [SE] 5.59 [1.11] pg/mL 、 0.94 [0.46] ng/mL vs 14.1 [1.9] pg/mL 、 2.30 [0.39] ng/mL) (P =.001 、 P =.006) し、preclinical ILDを有する患者群より低値(平均 [SD] 11.4 [2.6] pg/mL 、 3.63 [0.66] ng/mL) (P =.04 and P =.007)

安定期RA-ILDと比較して、進行性RA-ILDの患者では統計学的に有意にmethotrexateの治療頻度が多く、インターフェロンγ・TGFβ1の肺胞濃度が高い(P =.046, P =.04, P =.04)


・無症候性preclinical ILDは、HRCTで同定可能で、RAを有する患者の間で多く見られ、それは進行性である。
・喫煙がこのpreclinical ILDと関連する
・Methotorexate治療がpreclinical ILD進展のリスク要因であるかも知れない
・肺胞蛋白の定量化による病態メカニズムがRA-ILDと有症状性RAPF患者の鑑別点なのかも知れない。



Europian JournalにはOccult connective tissue diseaseとやらが・・・Occult connective tissue diseases mimicking idiopathic interstitial pneumonias
Eur Respir J 2008; 31:11-20
SLE以外の結合織疾患(CTDs)は慢性の特発性間質性肺炎と類似し、CTDの様々な組織所見が全くないか軽度な場合がこれを疑う。NSIPは比較的CTDsで多く、NSIPの生検報告はCTD診断を行うべき所見である。
究極には、CTDの診断は免疫学的検査の確認、様々な検査の解釈が臨床所見とともになされるべきである。

by internalmedicine | 2008-01-30 16:26 | 呼吸器系  

“急性悪化”の判断は一定か?

急性悪化ってのはGOLDを改めてみると以下の表現となっている
急性悪化はCOPD患者の気道の炎症性反応のさらなる増悪が生じ、細菌・ウィルス感染、環境汚染によっても引き金になる


本文では、
COPD急性増悪のメカニズムの知見は比較的少ない。軽症・中等度の急性増悪において好中球増加が見られ、喀痰・気道壁の好酸球も見られるという報告もある。TNF-γ、TB4、IL-8や酸化ストレスのバイオマーカーの増加をもたらすことと関連がある。 重症急性増悪に関しては気道の好中球が非常に増加し、ケモカインの発言が増加しているという報告はあるが、情報が比較的少ない。急性悪化中、過膨脹やair trapping、呼気流量の低下、呼吸困難回数の増加が見られる。換気血流不均衡の悪化と低酸素血症悪化が見られる



ここから急性増悪という判断は難しいのではないかと思う。

COPDでは急性増悪がその臨床的アウトカムになることが多くなった。そのとらえ方をつきつめればいろいろ不明だったことが分かってくるようだ

Counting, analysing and reporting exacerbations of COPD in randomised controlled trials
Thorax 2008;63:122-128

2000-2006年のLABA、LABA/ICS合剤の臨床トライアル分で検討した
COPD急性悪化の回数測定方法、分析方法、研究方法調査

22トライアル(17157名の患者)をクライテリア参入しレビュー

トライアル独自の裁定や独立したイベント判定はなかった。
研究薬剤を早期に中止した対象者をアウトカムデータの非分析とするselection biasが14/22(64%)に認められた。

人年あたりの急性悪化回数計算という時間配分解析をもちいているのは31%のみで、主観間のvariationを考慮していたのはわずか15%であった。

COPDのCanadian Optimal Therapyでは人年あたりの急性悪化率は0.85で、これは時間配分分析を含むものであった。これを斟酌しない場合は0.46となり過大評価することとなる。


by internalmedicine | 2008-01-30 09:40 | 呼吸器系  

呼吸リハビリテーションの効果判定は一定負荷サイクル試験でしろ!

仮説と立証の内容が一致していて良論文だと思う。

呼吸リハビリテーションの評価判定は従来簡便性から6分間歩行距離がよくなされているが、それでは効果判定として感度が鈍いようで、エルゴメーターなどで定負荷による運動時間測定が望ましいということ。

Assessing the impact of pulmonary rehabilitation on functional status in COPD
Thorax 2008;63:115-121
【背景】COPDの肺リハビリテーション機能状態評価の最適な方法は現時点で不明である。一定量負荷サイクリング運動(constant work rate cycling exercise test)の臨床的に重要な最小差異が現在盛んに検討されている。
入りハビリテーション後直後と、1年後の6分間歩行距離やこの定負荷サイクル運動耐容試験の変化とCOPD患者の健康状態という意味での変化の検討がなされた。。
【方法】COPD患者は平均年齢65(SD:8)歳、%FEV1 45(15)%
直後157例、1年後106例の検討

【結果】 鍼リハビリテーション後、サイクル耐容時間は増加(p<0.001)
6分間歩行距離もリハビリテーション後改善(25(52)m、p<0.001)するが、1年フォローアップ後はベースラインに戻る
サイクル試験の100-200秒の改善が臨床的にSt George Respiratory Questionnaire scoreの改善と相関

【結論】6分間歩行距離よりサイクル耐容試験の方がリハビリテーション後の耐容の改善を検知するのにより反応がよく、健康状態の改善と相関している。サイクル耐容時間の改善は臨床的に意味のあるものである。




そろそろ、リハビリテーションをリハビリと略すのはやめてほしい。“rehab.”が普通なので“リハブ”と日本語でも略すべきだ。公的な場所でリハビリとしゃべる人間を見るたびにこいつは馬鹿だなぁ・・・とひそかに思っているのは私だけなのかも知れないが・・・
コメディカル”などと救急医学会では公式に使っているアホさ・・・


・・・というと、肺リハビリテーションと略していることを指摘されそうだが、pulmonary rehabilitationの直訳は呼吸リハビリテーションではないというのが私の信念?

by internalmedicine | 2008-01-30 09:22 | 呼吸器系