2008年 01月 31日 ( 4 )

 

中国毒餃子対策?

急性期の患者は日頃、瞳孔を診る癖をつけとかなければいけないと痛感する。

オウムで有名になったサリンの時にはほとんどの医者がそう感じていたが、喉元過ぎれば・・・
「神経剤―その特性と診断・治療の現況」(http://www.s-a-t.org/sat/sarin/siryo_syoukai/wakimoto.html


methamidophos
Acephate、 omethoateとともに”organophosphorus pesticides”’(有機リン殺虫剤)

基本的には有機リン中毒なのでそれに従えばよいようだ・・・

有機リン中毒(http://www2.eisai.co.jp/phar/hospha/disnote/dis_13.pdf

メタミドホス急性毒性:http://cameochemicals.noaa.gov/chemical/5057


急性毒性:
Methamidophosは経口、経皮、吸入暴露で高い毒性を示す。methamidophosのLD50量は男女でそれぞれ、21 、 16 mg/kgBW、モルモットで30-50mg/kg BW
皮膚LD50値はラットで50mg/kg、ウサギで118mg/kg
吸入LD50値はラットで9mg/kg、マウスで19mg/kg

・ 急性毒性の症候と症状:
急性の有機リン毒性の早期症状は暴露ルートにより、通常暴露中・すぐに症状が出現する(12時間以内)
吸入では、胸部圧迫、喘鳴、頭痛、視力低下、ピンポイントの瞳孔、流鼻・鼻汁が早期症状である
経口の場合は、吐き気、嘔吐、下痢、急激な腹痛が早期中毒症状として多い。
経皮吸収の場合は、吸収部位の発汗、けいれんが見られる。
衰弱、震え、視力低下、胸部圧迫、発汗、混乱、心拍の変化、けいれん、昏睡、呼吸停止が重度の吸入、経口投与、皮膚暴露時にみられる。

中間期の症状はスリランカの中毒例で記載されており、四肢・頚部・呼吸筋の麻痺が24-96時間続く。遅発性の神経障害(遅発性末梢性神経障害)が暴露後2-4週後記載されており、感覚障害、足、下肢、手の針やピンの感覚が低下する。

アトロピンは有機リンの解毒物である

高血圧、消化器疾患、心臓、肝臓、肺、神経疾患を有するヒトはmethamidophosに感受性が高い。

・ 慢性毒性:
A 56-day rat feeding study resulted in a No Observable Effects Level (NOEL) of 0.03 mg/kg/day. The reference dose (RfD) is based on this study. In another study, dogs were fed up to 32 parts per million (ppm) (or 32 mg/1000 g of food per day) methamidophos for 1 year without observed adverse effects on body weights, organ weights, food consumption, blood chemistry, and urine chemistry. Measurable cholinesterase inhibition was found at all treatment levels .


・ 生殖器への影響:
A two generation feeding study in rats showed a decrease in the percentage of females delivering offspring at all dose levels (0.15, 0.5, and 1.65 mg/kg/day).
A systemic NOEL was 0.5 mg/kg/day based on reduced body weights during premating period (166). In humans, reduced sperm count and sperm viability were seen in men who were exposed to the product Tamaron in China.


・催奇形性:
Some fetal liver pathologic changes were observed when pregnant rabbits were exposed to methamidophos (167). In two teratology studies, no birth defects were observed at the highest levels tested (3 mg/kg/day in rats, and 2.5 mg/kg/day in rabbits). Decreased body weights were observed in offspring and mothers in the rat study at 3 mg/kg/day. In rabbits, a maternal low effect level (LEL) of 0.1 mg/kg/day (lowest dose tested) was observed based on low body weights .

・変異源性:
Methamidophos has tested positive for genotoxicity, or ability to induce changes in chromosomes, in some tests and negative in others. It may be weakly mutagenic 


・発がん性 :
There is no evidence of carcinogenicity in tests with rats and mice.


・臓器毒性:
The primary target of organophosphate compounds is the nervous system. Some liver damage has been observed in rabbits. Reduced sperm count and reduced sperm viability have been observed in humans.


・ヒト・動物 致死的影響:
Methamidophos is rapidly absorbed through the stomach, lungs and skin. It is eliminated primarily in the urine.

(http://extoxnet.orst.edu/pips/methamid.htm)

OPPs:organophosphorus:有機リン酸殺虫剤
MRLs:maximum residue limits:残留農薬基準
GAPs:good argricultural practice:食品安全


残留農薬・動物用医薬品等に関する情報
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/chemical/pest/mrl/index.html

各国の農薬・動物用医薬品の残留基準(MRL)リンク集
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/chemical/pest/mrl-link.html

中国
作物中の農薬のMRL(強制的レベル)
 http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/chemical/pest/mrl/ch-pest.pdf
 
動物由来食品中の農薬及び動物薬のMRL
 http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/chemical/pest/mrl/ch-vetlist.pdf

by internalmedicine | 2008-01-31 17:43 | 環境問題  

MIFがAMPKを刺激し心臓虚血を助ける

Macrophage migration inhibitory factor stimulates AMP-activated protein kinase in the ischaemic heart
Edward J. Miller, Ji Li, Lin Leng, Courtney McDonald, Toshiya Atsumi, Richard Bucala & Lawrence H. Young
Nature 451, 578 (2008) pp499-604
心臓発作などの酸素、血流不足の心臓の反応に影響する蛋白の発見で、Yale大学のチームがNatureで発表で、MIFとAMPKの関係を明確化したもの




macrophage migration inhibitory factor (MIF)が細胞ストレス反応の酵素で、AMP-activated protein kinase (AMPK)を刺激する

AMPKは鍵となる細胞エネルギーバランスのregulatorであり、心臓発作中の心臓予防的役割を果たすこととなるというもの

MIFは以前免疫反応調整するもととして知られていたが、動脈効果や、関節炎、生体の感染反応に関連することが判明した。

MIFは酸素不足で遊離され、AMPK活性化を生じ、代謝的予防効果にて生体防御的に働くことが示された。

研究者はMIF遺伝子欠損マウスにてAMPK反応が消失することを示し、intactMIF遺伝子を有するマウスより重篤な状態となった。

参照:
(http://www.myukm.com/blog/macrophage-migration-inhibitory-factor-stimulates-amp-activated-protein-kinase-in-the-ischaemic-heart)


AMPK(AMP-activated protein kinase)は、運動により、骨格筋で、ATPが分解されて生じるAMPによって活性化される、蛋白リン酸化酵素(キナーゼ)で、様々な刺激によって活性化され、種々の臓器や細胞におけるエネルギー代謝調節に関わっている。たとえば、糖代謝においては、インスリン非依存性にGLUT4をtranslocateし、骨格筋内に糖を取り込むことが知られている(参考)。
一方、macrophage migration inhibitory factor:MIFは1966年に抗原感作により活性化したモルモット・リンパ球の培養上清中でモルモット・マクロファージの郵送を抑制する因子として発見され、1989年クローニングされ、114塩基対分子量12.3kDの蛋白質と判明。解毒系のグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)活性と免疫系のMIFがAMPK活性の2つの生体防御機構に関与するユニークな蛋白であるということで注目が集まっていた。MIFがエンドトキシンショックの主要増悪因子であり、MIFがAMPKが低濃度グルココルチコイド刺激で誘導されるなどの報告、炎症反応、免疫応答、細胞の分化増殖に関わる(参考:http://www.sidl.co.jp/menu01/mif.pdf




わたしは、骨格筋とAMPKの話に興味があるのだが・・・
Effect of exercise intensity and hypoxia on skeletal muscle AMPK signaling and substrate metabolism in humans
Am J Physiol Endocrinol Metab 290: E694-E702, 2006.
筋肉内のAMPKシグナルの増加、AMPなしの状態、ブドウ糖消費の状態が絶対的運動強度を決定づける。血中カテコラミン濃度、筋肉のブドウ糖消費、筋肉の乳酸値は相対的運動強度に関係する。
malonyl coenzyme A (CoA) はcarnitine palmitoyltransferase I (CPT-I)のallosteric inhibitorであり、長鎖脂肪酸のoxidationのためのミトコンドリアへのtransportに関係し、飢餓状態やエネルギー需要があるときには、malonyl-CoAが減少するが、インスリンの作用や、不活動状態の時はそのレベルが増加する。運動時や電気的刺激を筋肉に与えたとき、AMP-activated protein kinase (AMPK)はリン酸化やacetyl-CoA carboxylase(ACC)の抑制に反応し、GLUT-4 translocationを促進する。


心筋内でも、AMP-activated protein kinase (AMPK)はブドウ糖輸送のインスリン作用を協同的に作用し、インスリン様作用を有する可能性が考えられてきた。いくつかの抗糖尿病薬がAMPKを活性化し、運動のような細胞ストレスがAMPK活性を増加し、インスリン作用を増強し、AMPKの下流のターゲットのいくつかはインスリン作用の調節を含む様である。インスリン刺激ブドウ糖輸送のpositive stimulatorとして働く。

http://www.endotext.org/Diabetes/diabetes14/diabetes14.htm


http://www.cellscience.com/reviews7/AMP_kinase_insulin.html

by internalmedicine | 2008-01-31 16:03 | 動脈硬化/循環器  

サッカーワールドカップゲームにおける心臓血管イベント

サッカーなどの観戦に熱狂するときは、心臓に注意しましょう。特に既存疾患がある場合は、事前に対処も考えた方がよい?


ドイツのFIFAワールドカップゲームで、心血管イベント発生と情緒的ストレスの関係を調査したもの
N Engl J Med. Vol. 358(5):475-483 Jan 31 2008

4279名の急性心血管イベント評価

ドイツチームの試合のある日
心臓緊急症頻度は、対照期間中に比べ2.66(95%信頼区間:CI 2.33-3.04)

男性:3.26(95%CI 2.78-3.84)
女性:1.82(95%CI 2.44-2.31)

ドイツチームの試合日の冠動脈イベント患者群の分析
既知冠動脈疾患比率47% vs 対照期間では29%

イベント平均発生は試合開始2時間以内で最も多い

サブ解析では、対照期間にくらべ、ST上昇型心筋梗塞頻度 2.49 (95% CI 1.47 - 4.23)、 ST上昇無し心筋梗塞  2.61 (95% CI, 2.22 - 3.08)、心臓不整脈 3.07 (95% CI, 2.32 - 4.06)

サッカーワールドカップゲームにおける心臓血管イベント_a0007242_1210549.jpg


これを見ると試合前からすでにイベントは高いような気がするのだが・・・


一応、考察では1-2時間の潜行時間について記述がある。
この1-2時間を前提に考察している
超過リスクはストレスの多いサッカー試合(他のスポーツイベントでも当然考えられるが・・)で生じ、冠動脈疾患をもつ患者では特に予防的評価が必要である。
介入として可能性があるのは、β遮断剤、スタチンなどの抗炎症剤、アスピリンなどの抗血小板、ストレス介入受容体遮断薬など
そして、ストレス行動療法などの非薬物的な戦略が考慮されるべきである。

by internalmedicine | 2008-01-31 11:25 | 動脈硬化/循環器  

Oncogeneと癌

N Engl J Med. Vol. 358:502-511 Jan. 31, 2008

腫瘍のinitiationとprogressionに関連するoncogeneを同定することは新しい抗ガン剤の開発に対するターゲットとなる。oncogene産物に影響するいくつかの新薬、小分子、モノクローナル抗体が開発されつづけている。
ABL、KIT、EGFR、ERBB2の酵素活性を抑制する小分子へ影響を与える研究も進んでいる。ただ、oncogene産物が酵素ではない場合は、新しい薬剤の開発は困難である。

ターゲット治療のadvantageは増殖と生存に関わるoncogene産物に依存するガン細胞である。ガン細胞はは正常の細胞より治療に感受性を有することとなるのだが、全てのターゲットがまだ明かというわけではない。多くのターゲットを有する多剤開発が予見できる。
microRNAの関与が認めらrこれがターゲットとして加わることが期待できる。

MicroRNA遺伝子
癌では他の遺伝子と違い、蛋白をencodeしていないが、21-23ほどの核酸を有するsingle RNAでなりたち、遺伝子発現調整の役割を果たす。microRNAの配列を補完する核酸を有するmRNAへ焼き戻し(anneal)することができるものである。


MicroRNA (miRNA) はRNAポリメラーゼ(pol)IIでほとんどtranscriptされ、それより頻度が少ないがRNA plo IIでもtranscriptされる。Primary transcript(pri-microRNA)はきわめてサイズが大きい。pri-microRNAは、DroshaとDGCR8を含む酵素的複合体により核内でスプライシングの間、プロセスが進行する。次第に70-100核酸のような小型となり、pre-microRNAとよばれるhairpin precursorとなる。
second precursorはexportin-5と核内で結合し、形質内に輸送され、Dicerにより成熟されたmicroRNAへcleaveされる。この成熟microRNAは、ほとんど、mRNAの3'未転写領域
と結合し、ターゲットRNAの補完程度により、mRNAの転写の減衰・遮断をすることとなる。

exonic miRNA感知

Pri-miRNA(transcription RNA pol II と III)

pre-miRNA(Drosha、DGCR8)

核膜を通過して細胞形質内へ(Exportin 5)
Dicer

miRNA

translation supression/degradation
 


intronic miRNA感知

Pri-miRNA(RNA pol II と III)

スプライシングで
mRNA+intronへ

Pre-miRNA
↓ 
核膜を通過して細胞形質内で(Exportin 5)
Dicer


miRNA

translation supression/degradation


ALL1(MLL) microRNA: miR191


癌は、oncogene、腫瘍抑制遺伝子、microRNA遺伝子の変化によって生じる。germ-line eventは家族性の癌や遺伝性となって生じることもあるが、通常体細胞イベントである。単位電子変化は悪性腫瘍を生じるほどには稀すぎる現象である。、いくつかの連続した多段階プロセスの存在を示す多くのエビデンスがあり、多くは、oncogene、腫瘍抑制因子、microRNA遺伝子の存在を示唆するものである。

腫瘍は二次・三次遺伝的変化を生じてtransformした細胞からなる細胞遺伝子的に異なるクローンからなる。このheterogeneityは臨床的表現型や治療の反応のばらつきをもたらす。もともとのクローンやサブクローンから離れて腫瘍はprogenitor cancer cellを具有する。化学療法・放射線やほかの治療法の感受性がことなり、治療が困難となる。

CMLは反復性の t(9:22)染色体の転座がみられ、ABL proto-oncogeneBCR遺伝子と融合する。このfusionによりoncogenic ABL fusion蛋白をencodeするようになり、tyrosine kinase活性を促進する。全ての白血病細胞は染色体変化があり、tyrosine kinase 活性を生じるようなfusion proteinを有し、これの抑制により完全寛解をもたらすことができることとなる。再発時は、ABLのmutationが起こり、薬剤抵抗性となるというメカニズム

体細胞遺伝子変化のエビデンス
1)Burkittリンパ腫のoncogene MYC(染色体 8q24の免疫グロブリン遺伝子へのtranslocation
2)マウスの線維芽細胞のtransfection実験:ヒトガン細胞のDNAのin vitroで悪性腫瘍細胞の特徴獲得
3)濾胞性リンパ腫や一部diffuse large B細胞リンパ腫の特徴を有する染色体breakpointのクローニングにて:BCL2oncogeneのjuxtapositionが免疫グロブリンクローンのenhancer elementとなる
4)活性oncogeneのヒトガン細胞へのtransgenic mouseでヒトの腫瘍類似のふるまいがみられる。


apotosisの2つの経路
I)Stress pathway
細胞ダメージ、oncogeneの活性化、growth factor deprivation
BH3

Bcl2
Bax or BaK

CytC

Apaf1

Caspase 9

Caspase 3, 6, 7

細胞死


II)Death receptor pathway
Ligands(FasL、TRAIL、TNF)

Death receptor

FADD

Caspase 8

by internalmedicine | 2008-01-31 08:50 | がん