2008年 02月 01日 ( 5 )

 

ENDORSE研究:入院時深部静脈血栓症予防の実態

Venous thromboembolism risk and prophylaxis in the acute hospital care setting (ENDORSE study): a multinational cross-sectional study
The Lancet 2008; 371:387-394

静脈血栓塞栓(VTE)のリスクのばらつき、世界重の予防処置についての情報はわずかである。
ENDORSE (Epidemiologic International Day for the Evaluation of Patients at Risk for Venous Thromboembolism in the Acute Hospital Care Setting) 研究は、多国横断研究で急性期病院でもVTEの頻度を評価し、リスク状態の患者を決定するためのもの

【方法】40歳以上の内科入院患者と、13歳以上の手術病棟でVTEのリスク評価
2004・ACCPエビデンスコンセンサスガイドラインを用いてVTEリスクを評価し、予防的な推奨される患者がどの程度かを検討
【結果】68183名が参入
30827(45%)が手術で、37356(55%)が内科でカテゴリー化

35329 (51·8%; 95% CI 51·4–52·2; between-country range 35·6–72·6) 名はVTEのリスク有りと判断、外科19842 (64·4%; 63·8–64·9; 44·1–80·2) 、内科 15487 (41·5%; 41·0–42·0; 21·1–71·2)を含む
リスクある外科患者の内、 11 613 (58·5%; 57·8–59·2; 0·2–92·1)、リスクある内科患者の6119 (39·5%; 38·7–40·3; 3·1–70·4) がACCP推奨VTE予防がなされていた。


ACCP VTE予防ガイドライン(Chest. 2004;126:338S-400S.)



6.0.1. うっ血性心不全・重症呼吸器疾患、ベッド上制限、1つ以上のリスク状態の患者(癌、VTE既往、敗血症、急性神経疾患、IBDなど)で入院中の重症患者では、、LDUH予防を推奨(Grade 1A)もしくはLMWHを推奨(Grade 1A)

6.0.2. VTEリスクのある患者、抗血小板禁忌の患者では、GCSやIPSのメカニカルな予防が必要(Grade 1C+).


困ったことに、medical conditionに関してはLDUHの用量・用法指定がない。日本版もそのようになっている。一般的予防的投与法として
APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)の正常値上限を目標として未分画ヘパリンの投与量を調節して,抗凝固作用の効果をより確実にする方法である。最初に約3,500単位の未分画ヘパリンを皮下注射し,投与4時間後のAPTTが目標値となるように,8時間ごとに未分画ヘパリンを前回投与量± 500単位で皮下注射する。煩雑な方法ではあるが,最高リスクでは単独使用でも効果がある。
とありこれに従うこととなるのだろう。


LDUH = low-dose unfractionated heparin
LMWH = low-molecular-weight heparin
GCS = graduated compression stockings
IPC = intermittent pneumatic compression


ヘパリンNaのみしか日本では予防のため保険適用ない。

相変わらず、フラグミン(dalteparin sodium)はLMWHだが、DIC、体外循環時しか保険適用がない。現時点では、日本のガイドラインでは,保険承認薬剤(すなわち,未分画ヘパリンとワルファリン)を原則的に推奨ということらしい。

by internalmedicine | 2008-02-01 17:59 | 内科全般  

喘息への硫酸マグネシウム投与

また硫酸マグネシウム・・・(重症心房細動治療の新しいプロトコール提案(硫酸マグネシウムーアミオダロン)

それにしても、マグネゾール(1管中に硫酸マグネシウム2g)が子癇しか保険適用がないのはどうにかならないものか?

The role of magnesium sulfate in the acute and chronic management of asthma.
Current Opinion in Pulmonary Medicine. 14(1):70-76, January 2008.
最近の知見:
吸入・静注硫酸マグネシウム剤は急性喘息治療に用いられるが、静脈投与方法のみ有効である。
重症喘息急性悪化時に、硫酸マグネシウムIVボーラス単回で入院率を改善し、肺機能を改善する。
吸入硫酸マグネシウムはプラセボより気管支拡張剤として使用したときは有効だが、サルブタモールより有効でなく、同時併用でsynergy効果が認められない。
一方硫酸マグネシウムはより有効なようだが、マグネシウムの長期補充治療は慢性喘息では影響を与えないようだ。

エビデンスとしては、静注硫酸マグネシウムは急性喘息に利点があるが、吸入に関するエビデンスは少ない。さらに経口マグネシウムの補充療法の役割は明らかになりつつある。静注硫酸マグネシウムの使用がかぎら得ているのは救急医が重症喘息にその使用を限定しているからであろう。



GINAで補完
5歳以下ではマグネシウム静注は研究されてない
酸素投与を考慮する場合はマグネシウム静注
通常、20分以上掛けて2gを静注するが、急性悪化時のルーチンの使用は推奨されていない。
しかし、FEV1を25-30%の患者を含む特定の患者の入院率を減少させ、初期治療の奏功しない成人・小児の治療に、FEV1の1時間のケアで予測率60%を上回らない子供で使用される(Evidence A)
等張性硫酸マグネシウム+salbutamolのネブライザー投与は生理食塩のネブライザーよりbenefitがある(Evidence A)

by internalmedicine | 2008-02-01 12:01 | 呼吸器系  

上気道抵抗症候群・原発性いびき・OSAHSの相違点:自律神経障害

obstructive sleep apnea/hypopnea syndrome (OSAHS)は言わずと知れたPSG

upper airway resistance syndrome (UARS) とprimarysnoring (PS)の鑑別:基本的には( respiratory effort-related arousals [RERAs])で鑑別
元データに客観的な診断方法( respiratory effort-related arousals [RERAs]) による方法がないため、PSとUARSの15のランダムに選択した患者でsubset analysisを行った。15のデータセット毎に、非REM睡眠中のランダムに選択した30秒の40sleep epoch(故に合計20分)で鼻カニューラ測定の睡眠呼吸を解析し、ASDA(American Sleep Disorders Association)のarousal(RERA)指数と関連した流量制限呼吸数を解析



この3つの診断に関して前書き・・・
1993年upper airway resistance syndrome (UARS)Guilleminaultらが提唱(Chest, Vol 104, 781-787, 1993 )。
obstructive sleep apnea/hypopnea syndrome (OSAHS)の前駆状態なのか、独立した病態なのかが問題となっていた。最近のデータでは、UARS患者ではOSAHSと正常とが分かれるポイントは上気道閉塞圧であることが分かってきた。別の研究では、UARSはPSGでOSAHSにはみられない特徴がみられることが判明。加えてtwo-point palatal discrimination studyで、UARSはintactなpalatal sensory functionのままだが、OSAHSではそうではなかったということが判明。
UARSとOSAHSの患者と違い、いびきのみで睡眠障害のない患者の臨床的鑑別点についての情報が少なく、原発性いびき(primary snoring:PS)とされる。
比較的最近、UARSの臨床的特徴の研究(Chest. 2003;123:87-95.)がなされ、UARSと中等度OSAHSの患者、重症のOSAHS患者の比較がなされ、OSAS患者と異なるUARS患者の症候と症状が身体化症状と類似していることが判明。




Differences in clinical features of upper airway resistance syndrome, primary snoring, and obstructive sleep apnea/hypopnea syndrome
Sleep Medicine Volume 9, Issue 2, January 2008, Pages 121-128

上気道抵抗症候群(upper airway resistance syndrome :UARS)は、OSAHS( obstructive sleep apnea/hypopnea syndrome )と鑑別が問題となることが多い。原発性のいびき(primarysnoring :PS)とOSAHSの臨床的特徴を検討したもの

PSとUARS患者は有意に若年で、体重減少で、過去5年での体重増加が少ない
女男比はOARS群で高い
UARS患者は有意に非REM睡眠(NREM)1、2のステージが少なく、NREM 3、4のステージがOASHやOSAHS患者より有意に多い

覚せい指数は、PS/UARSとOSAH/OSAHS患者群間では有意に低く、診断カテゴリー内での有意差はない。
UARS患者はもっとも主観的障害の程度が高い。


UARSはGuilleminaultらが報告しているように高齢に多いが、年齢比較したGoldらの報告((Chest. 2003;123:87-95.))では、機能的身体症状がUARSに多いとの記載があった。OSAHの患者では主観的睡眠障害の項目異常があるのだが、UARS患者とOSAHS患者の差は顕著であった。PSやUARSと違い、OSAHやOSAHS患者は高血圧と2型糖尿病の心血管リスクを有する。OSAH/OSAHSでのRDI、BMI、年齢を考慮すれば驚くべきことではない。PSとUARS患者は高血圧に関してその頻度に違いがないが、UARS患者は起立性低血圧を生じやすい。GuilleminaultらのデータではUARS患者が自律神経機能異常を有しやすいことを示唆している。GoldらはGERDや鼻炎合併がUARSで見られた。

by internalmedicine | 2008-02-01 11:16 | 呼吸器系  

COPDアンケート法の信頼性はない?

COPD診断質問紙法って、私は信用していない。慢性的な疾患でその知覚は鈍麻しているのが当たり前で、鈍った物差しをもって診断をしようなんて・・・おかしいだろ・・・と思っている。
あくまでも客観的な指標を入手する努力をすべきである。

COPD Diagnostic Questionnaires(Chest. 2006;129:1531-1539.)
スコア:0-38ポイントで、分類として、高度(> 19.5点)、中等度(16.5-19.5点)、低度(0-16.5)と判断

External validation of a COPD diagnostic questionnaire
Eur Respir J 2008; 31:298-303
解析に参入した676名の対象者の内、398名が正常肺機能、278名がCOPD診断(拡張剤試験後FEV1/FVC<0.70)
COPD有無アンケート判断能力はpoorであった(AUC/ROCカーブ 0.65)
中年現行喫煙者(≥10 pack-yrs)の高リスク群で、気流制限リスク増加の診断ツールとして役立たない可能性がある。

by internalmedicine | 2008-02-01 10:13 | 呼吸器系  

重症心房細動治療の新しいプロトコール提案(硫酸マグネシウムーアミオダロン)

心房細動治療ガイドライン(日本心臓財団)では「心機能が中等度以上低下している場合:第一選択にプロカインアミド、キニジン、アプリンジン、第二選択として、アミオダロン。」と書かれている。他、ACC/AHA Practice Guidelines(Circulation. 2001;104:2118.)などがある。

マグネシウム投与に関して、比較的新しいNICEガイドライン(pdf)では「One recent meta-analysis211 found that magnesium administration is an effective prophylactic measure for the prevention of post-op AF, but did not significantly alter length of stay or in-hospital mortality.」ということで否定的な記載である。


Amiodaroneは新規発症AFの重症患者の第一選択の抗不整脈剤とされている。しかし、重症患者にこの毒性のある薬剤の使用を支持するエビデンスはとぼしい。硫酸マグネシウム(MgSO 4)は、抗不整脈剤と協調性に心拍・リズムコントロールともに有効ということが示されている。硫酸マグネシウムの治療が、新規発症心房細動の重症患者投与で、amiodaroneのよう抗不整脈薬の必要性が減るか検討された報告。

Efficacy of Magnesium-Amiodarone Step-Up Scheme in Critically Ill Patients With New-Onset Atrial Fibrillation: A Prospective Observational Study
Journal of Intensive Care Medicine, Vol. 23, No. 1, 61-66 (2008)

新規施設プロトコールの有効性を評価。
重症新規発症心房細動患者を対象。
硫酸マグネシウムボーラス (0.037 g/kg body weight ・15分)後、持続点滴(0.025 g/kg body weight/h)
以上の硫酸マグネシウム投与1時間にて反応しない場合、Amiodarone静脈投与(loading dose 300 mg後、持続注入 1200 mg/24 h)を行う。
臨床的反応は、洞調律戻るか、心拍<110/分となったときと定義


硫酸マグネシウム単剤で反応:16/29
Amiodarone追加必要な患者は13/29

硫酸マグネシウムの洞調律となるまでの時間は中央値2(1-45)時間
Amiodarone必要な患者の同時間は、中央値4(2-78)時間
全部の患者では、中央値3(1-78)時間

24時間にてconversion rateは90%

心房細動再発が7名で見られた


マグネシウム-amiodarone set-up schemeはamiodaroneの必要性を減らし、新規発症心房細動の洞調律改善を有効にもたらし、安全であるように思える

by internalmedicine | 2008-02-01 08:44 | 動脈硬化/循環器