2008年 02月 05日 ( 3 )

 

microscopic needleの経皮投与

こういうのって、日本人が得意そうなのだが・・・臨床応用はやはり米国が先か・・・

ヒト患者peer-reviewとして、microscopic needleの経皮deliveryの研究


http://www.bio-medicine.org/medicine-news-1/Microneedles-enhance-drug-administration-through-skin-10963-2/



array of polymer microneedles that are approximately 1,000 microns tall.
約1000ミクロンの長さのポリマー微小針のarray

http://gtresearchnews.gatech.edu/newsrelease/needlespnas.htm



Microneedles permit transdermal delivery of a skin-impermeant medication to humans
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 10.1073/pnas.0710355105

bioavailability不良な薬剤は経皮的に投与されるが、痛み、患者のコンプライアンスの悪さ、施行者に経験が必要、感染リスクなどがある。

経皮Transdermal (TD) 投与は優れた面をもつが皮膚の外側角質層のバリアが多くの薬剤deliveryを防御することとなる。

Micrometer-scale microneedles (MNs)は動物・ヒトの体で使用し、小分子、DNA、ワクチンのdeliveryを可能とした。しかし、MNによる薬物のヒトへのdeliveryの臨床的研究を行ったもの

μオピオイド受容体拮抗剤であるNaltrexone (NTX) を麻薬治療・アルコール依存治療として用いた。この親水性・皮膚非浸透性分子をTDパッチから健康人への投与をMNs前処置有無で検討したもの

標準的NTX TDパッチ投与から72時間にて血中濃度消失
MNs前処置皮膚では恒常的な血中濃度が2時間以内にみられ、48時間は維持された。

MNsとNTXパッチの組み合わせた耐用性がよく、全身・局所の副作用が軽度
MN arrayは投与時痛みが無く、注射部位にダメージもない。皮膚に損傷を与えることもない。
ヒトでの信頼性試験にて全身投与の有効性が示された。
将来的にヒトの皮膚非透過性薬剤への適用と臨床的使用に期待が持てる。

by internalmedicine | 2008-02-05 18:16 | 医療一般  

オゾン、 オキシダント防御遺伝子、青年喘息発症リスク

喘息の発症要因としての、環境要因と遺伝要因を考える上で、興味ある報告だと思う。総論的に喘息は環境と遺伝といいうのは簡単だが、それでは、本質はいつまでも見えてこないだろう。
興味あることに、環境汚染がひどい場合は、遺伝的要因を凌駕してしまう可能性が報告された。

Ozone, Oxidant Defense Genes, and Risk of Asthma during Adolescence
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Vol 177. pp. 388-395, (2008)

oxidative stress(酸化ストレス)は喘息の基本的側面であるが、過酸化大気汚染物質、過酸化遺伝子ヘムoxygenase 1(HMOX-1)、カタラーゼ(CAT)、manganese superoxide dismutase (MNSOD) の喘息の病因としての役割は不明
仮説として、HMOx-1([GT]n、MNSOD(Ala-9Val)が新規発症喘息と関連があり、この変異の影響はオゾン、すなわち強力な大気汚染物質により影響を受けるという仮説
【方法】住民ベースの非ヒスパニック系(n=1125)/ヒスパニック系(n=586)の子供、12のカリフォルニアの地域に居住し、8年間年ごとにフォローしたコホート研究
【測定・主な結果】8年の研究フォロー期間大気汚染を持続的に測定
HMOX-1 "short" alleles (<23 repeats) は非ヒスパニック系白人新規発症喘息と関連
(hazard ratio [HR], 0.64; 95% 信頼区間[CI], 0.41–0.99)
この防御的効果は低オゾン地域居住の子供で最も大きい(HR, 0.48; 95% CI, 0.25–0.91) (interaction P value = 0.003)
ヒスパニック系の子供ではHMOX-1との関連が少ない。逆に、ヒスパニック系の子供ではCAT-262 "T" allele (CT or TT)が喘息リスク増加と関連(HR, 1.78; P value = 0.01)
この多様性の影響は個人の喫煙・受動喫煙により修飾されなかった


【結論】
CAT、HMOX-1の機能的促進変異により民族特異的に喘息新規発症に関係する
oxidant 遺伝子防御機転が低オゾン環境居住中の子供にのみ限定して働いているものと思われる。


 ↓

ということは、環境暴露がひどすぎる場所は遺伝的要因より環境要因の方が影響がでかい可能性がある。




HMOX-1:
フェリチン、heme oxygenase 1、glutamate cysteine ligase、glutathione transferaze、quinone reductase、aldo-keto reductase、UDP-glucuronosyl transferaseといったものもcytoprotective enzymeとしてはたらく。Heme oxygenase (HO) はヘムを分解し, ビリベルジン, 一酸化炭素, 鉄を生成する反応を触媒する酵素である。heme oxygenase 1は、ヘムを開裂してbiliverdinを生じ、biliverdinはその後、biliverdin reductaseによってビリルビンに変換される。biliverdinもビリルビンもフリーラジカルscavengerとしてはたらく。


Manganese Superoxide Dismutase (MnSOD)
2O2-. + 2H+ Þ O2 + H2O2


by internalmedicine | 2008-02-05 10:53 | 呼吸器系  

妊娠中のストレスが胎内の子供の統合失調症発症に関連する

極端な心的ストレス状態、たとえば近親者の死亡などを経験した妊娠女性はその胎内のこどもへ統合失調症などへの精神疾患リスクを生じることが示唆された。
従来から母体への心的状態は胎児へ影響をあたえることがある程度知られていた。たとえば、低体重児や未熟児などのリスクを増加することなども知られていた。
統合失調症の原因として胎児期の脳の早期発達中にその構造的・機能的異常が考察され、妊娠中の環境要因や関連遺伝子の関連が考察されてきた。
イギリス、マンチェスター大学のAli S. Khashanは1973-1995年での138万のデンマークでの出生記録から、母体妊娠中に発生した重度の心的ストレスの事例を用いて、妊娠中特に、妊娠第一期(first trimester)での母体ストレスと統合失調症発生の関連を示した。

Arch Gen Psychiatry. 2008;65[2]:146-152.

出生前母体への客観的なストレス測定された影響が子供の神経発達、特に統合失調症へ影響を与えるかの評価
妊娠第一期での暴露との関連が強いという仮説した

【デザイン】 Population-based study.
【場所】 デンマーク
【参加者】 1373-1995年の138万人デンマークの出生コホート
ストレス暴露は、近親者の死亡、癌・急性心筋梗塞、卒中症状診断と判断された場合と定義
(妊娠前6ヶ月から妊娠中)
子供を10歳の誕生死亡・移住・分裂病発症、あるいは2005年6月30日までフォロー
【メインアウトカム】 統合失調症
【結果】 分裂病・関連疾患のリスクは妊娠第一期中に発生した近親者の死亡により増加する(補正相対リスク, 1.67 [95% 信頼区間, 1.02-2.73])
他の妊娠期間、妊娠前6ヶ月間のの近親者の死亡は統合失調症のリスクに関連しない
【結論】住民ベース調査では、妊娠第一期での母胎への重度ストレスが子供の統合失調症のリスクを増加させる。この所見は全住民の重度ストレッサー暴露研究
からの生態学的研究エビデンスと一致し、環境が胎児・胎盤・母体相互作用に影響を与えるということが示唆される。



統合失調症は社会経済上も大きな影響を与える。妊娠早期の母体へのストレス軽減介入は社会的にも有用かも知れない。そういう環境整備を配偶者・家族・社会が配慮すべきだろう。妊娠中の母体への精神的健康がきわめて重要ということで非常に示唆に満ちた報告だと思う。

by internalmedicine | 2008-02-05 09:00 | 精神・認知