2008年 02月 13日 ( 4 )

 

ヨーロッパにてタミフル耐性株H274Y・インフルエンザ広がる

タミフル耐性がひろがるのは意外に早かったようだ・・・

週刊ダイヤモンドによると・・・
欧州疾病対策センターの発表によると、A(H1N1)型のインフルエンザで2004年から昨シーズンまでに、タミフル耐性のウイルスは1%未満しか報告されていなかったのに対し、今シーズンは14%からタミフル耐性のウイルスが発見されている。
http://news.goo.ne.jp/article/diamond/life/2008021302-diamond.html

情報ソース:Emergence of resistance to oseltamivir among influenza A(H1N1) viruses in Europe
http://www.eurosurveillance.org/edition/v13n05/080131_2.asp

(ソース:http://www.eurosurveillance.org/edition/v13n05/080131_Table_Oseltamivir_VIRGIL.jpg


「あまりタミフルが使われていないノルウェーでの耐性ウイルスの検出率が70%だったことなど、不可思議なことが多い」(業界関係者)と、現在のところ発生の原因は、はっきりしていない。




2007年11月から2008年1月まで437のインフルエンザ(H1N1)ウィルスが分離され、ニューラミニデース遺伝子の配列分析とともに、ウィルス酵素の薬剤感受性試験(IC50)がなされた。Oseltavivir耐性ウィルスが9カ国で検出され、ノルウェー26/37、フランス15/87、ドイツ3/43、UK 8/162で同じ変異が見られた。
H274Yという274部位でチロシンとヒスチジンに配列置換されたもので、oseltamivir抵抗性をしめす株である。この変異を有するウィルスは、oseltamivirに400倍感受性減少をすることとなる。このウィルスは他のニューラミニデース薬剤であるzanamivirやアマンタジン・リマンタジンといった抗M2薬剤には感受性は残存した。

この抵抗株H274Yは成人・子供(1ヶ月~61歳)まで広く分離されたが、成人からが大部分。
次第にこのoseltamiviru抵抗ウィルスが次第にある程度の比率になり、特にノルウェーではこの耐性株が主体となりつつある。H274Y変異がヒトヒト感染で広がっている最初の明らかなエビデンスである。





N Engl J Med. 353(25):2633-2636 Dec. 2005

by internalmedicine | 2008-02-13 17:54 | インフルエンザ  

破裂動脈瘤に対する血管内治療(EVAR) レビュー・メタアナリシス

破裂動脈瘤に対する血管内治療(EVAR)ということで、普通、救急対応になるだろう


Endovascular repair of ruptured abdominal aortic aneurysms: A systematic review and meta-analysis
Journal of Vascular Surgery Volume 47, Issue 1, January 2008, Pages 214-221.e14
18の観察研究346名のREVAR施行者のpooled mortalityは21%(95%CI 13-29)
研究官のheterogeneityは偶然のみでは説明できず、手術volumeが実質的にheterogeneityを説明しうる。
研究特異的なクライテリアにしたがうと、破裂動脈瘤の47%(95%CI 39-55)はREVARでふさわしい症例となる。

回復手術施行非選択患者のヒストリカルな報告よりREVAR被施行者の死亡率は低い
死亡率は患者選択よりによるものかどうか、治療の新しい方法論が今後検討が必要。




(参照:http://pennhealth.com/int_rad/health_info/aaa.html



日本の救急は様々な理由で撲滅されたので、検討する必要もないかもしれない(皮肉)
まだ、割ばし訴訟は続くようだが・・・この裁判の急性期医療への悪影響ははかりしれないなぁ・・・などと

by internalmedicine | 2008-02-13 12:11 | 動脈硬化/循環器  

“protection of prior learning”

この"protection of prior learning”は訳語が見つけられなかった。

事前学習効果とでも訳せるのだろうか?

高価なワインはおいしく感じる? 2008-01-19 ”などのこの一例だろう。



Protection of Prior Learning in Complex Consumer Learning Environments
Journal of Consumer Research

消費者は、「全てのフレンチレストランのサービスは良い」とか、「高いキャンドルは良いにおいがする」とか、商品に関して既成観念が、他の現実的で良好な質のある商品を学習・認識しにくくなる。
一度、アウトカムを予測する合図を覚えたら、人々は同様な合図で異なるアウトカムを予想することをしなくなる。


”protection of prior learning”’(事前学習防御)として知られる現象である研究をチーズテイスティングを用いて行った。
5つの実験シリーズのパイロット研究で、マイルドでクリーミーなオレンジ色のRacletteチーズを味わってもらい、より強い、ドライな味の紫色のDrunken Goatチーズを味わってもらう。かれらは、オレンジ色・マイルドなにおいのチーズに影響された軽度から強度のスケールでチーズのレーティングを行った。対照群は2つの異なるチーズを試験したがレーティングは行わなかった。オレンジ色・マイルドなにおいとの相関をテストするため、手触りや味覚などを困難にして、マイルドでクリーミーなオレンジ色のPort Salutと皮のないドライなManchegoのレーティングを尋ねた。おどろくべきことに、クリーミーなものなのに、対照群より2回目のオレンジ外皮のチーズをクリーミーとすることが少なかった。オレンジ色の外皮を学習したことで、においの違いを予測してしまったことでクリーミーさを予測してしまうようになる・・・


Eurekalert.orgによると、医薬品販売戦略に関係あるようである・・・
この研究はマーケット、政策立案者、消費者に重要である。メルクがコレステロール低下薬剤Simvastatinをブランドネーム:Zocorで導入したが、最近アルツハイマーの発症予防に効果があることが判明し、今度はメルクは"branding dilemma”が生じ、Zocorとアルツハイマーに対する学習が遅れることを示唆する・・・認識形成ができる以前に他のアウトカムと関連させないように当たらし情報提示を行うことが成功につながる・・・(http://www.eurekalert.org/pub_releases/2008-02/uocp-odp021208.php



商品やサービスで一度痛い目にあうとその会社のものは使いたくないと思うのが普通だろう。逆に、満足すると、ブランドイメージでその会社の商品・サービスを使う。

実地医家の大手後発品メーカーへのイメージにこの"protection of prior learning”が生じているし、ミドリ十字などは一般大衆へもそのイメージが広がっているのである。

大きな病院でたいそうな病気がみつかり、治療されたという情報が“建物が立派な病院”にかかりたがるという事前学習がはたらいて初診からそういう病院にかかりたがるとうような・・・

消費者行動としての興味は尽きない

EBMを学習し始めたとき、"market economy"・”imformation(infomative) technology”というのを読みあさったが・・・自分を客観的にみれておもしろかったが、今回のこの概念もおもしろいと思った。

by internalmedicine | 2008-02-13 11:46 | 医学  

急性肺障害・ARDSの適切なPEEP圧:'recruiting maneuver' への疑問

2つのトライアルで、換気ストラテジーの違いによる急性肺障害(ALI)死亡率の差の報告

一時期高PEEPをかけて通常のPEEP圧に戻すというやり方は'recruiting maneuver' とも呼ばれ、」50cm水柱程度もの高圧PEEPを掛けて肺容積回復させてあげるというものである。(NEJM Vol. 354(17):1775-1786 April 27, 2006)
これに近いのは”aggressive PEEP”だろうか?

JAMAの報告によると、こういったPEEPのかけ方は、生命予後に関して明らかなベネフィットはなかったようである。


Meadeらの報告は低換気(6mL/予測体重kg) と 実験的な方法である低換気+高PEEPの比較、これにより、全原因病院死亡率は両群とも同等であることを示した。
本来、解脱した肺組織を広げる回復方法として通常よりPEEP値を増加させようと考えた試みであったのだが・・・
Ventilation Strategy Using Low Tidal Volumes, Recruitment Maneuvers, and High Positive End-Expiratory Pressure for Acute Lung Injury and Acute Respiratory Distress Syndrome
A Randomized Controlled Trial
JAMA. 2008;299(6):637-645.



Mercatらは、ALI患者への適切なPEEP圧の検討に関して、ランダムに5-9cm水柱の中等度PEEP群と高PEEP群(28-30cm水柱)の肺recuitmentストラテジーの比較を行った。
PEEPストラテジー増加でも有意に28日、60日死亡率を減少しなかった。
Positive End-Expiratory Pressure Setting in Adults With Acute Lung Injury and Acute Respiratory Distress Syndrome
A Randomized Controlled Trial
JAMA. 2008;299(6):646-655.



20年ほど前、best PEEP、optimal PEEP、suboptimal PEEP、optimum PEEP・・・など概念的な遊び?がはやっていた。
酸素化を重視するか、酸素運搬量を重視するかなどでどれが大事かという話だったが、現在の直接死亡率や合併症などの臨床的アウトカムを重視する姿勢から考えれば、過去の話となったようだ。

by internalmedicine | 2008-02-13 09:14 | 呼吸器系