2008年 02月 14日 ( 3 )

 

ホントに予防医学はコスト削減に役立つのか?(アメリカ大統領候補たちに対する批判)

予防医学は・・・効果があって、経費節減に役立つ・・・という幻想はあらゆる国に存在するのだろう。


医療経済施策がアメリカ大統領選挙の大きなテーマとなっている。洋の東西を問わず、政治家ってのは軽薄に言葉を使うようだ!・・・NEJMがかみついている。

日本の医学雑誌も馬鹿な厚労省役人や大臣・内閣、各政党を叩くべきでは!(笑)
Does Preventive Care Save Money? Health Economics and the Presidential Candidates
N Engl J Med.Vol. 358(7):661-663 Feb. 14, 2008
・Hillary Clintonのプランは、 "focus on prevention: wellness not sickness"(予防に焦点を当て:疾患でなく健康増進へ)

・John Edwardsは"study after study shows that primary and preventive care greatly reduces future health care costs, as well as increasing patients' health"(本来の、予防的ケアは将来の医療コストを削減し、患者の健康を増進することが研究により次々と判明)

・Mike Huckabeeは "would save countless lives, pain and suffering by the victims of chronic conditions, and billions of dollars" (無数の生命、痛み、慢性疾患による苦しみを救い、数10億ドルを浮かすことができるだろう)

・Barack Obamaは"too little is spent on prevention and public health"(予防・公衆衛生に対するあまりに少なすぎる予算)


確かに、支出を減らし、予防にて健康改善させるといういくつかのエビデンスはある。
たばこ、健康に悪い食生活、運動不足、アルコール異常摂取のような死亡原因予防は、アメリカにおいて、総死亡の約40%、年の90万人の死亡を予防させる効果があると推定されている。 U.S. Preventive Services Task Forceでさらに、禁煙、大腸癌検診ん、インフルエンザワクチンがコストを下げ、経費を節約させることを示した(Am J Prev Med 2006;31:52-61.)。


だが、効果は全般的に認められるものではない。

Tufts–New England Medical Center Cost-Effectiveness Analysis Registry (www.tufts-nemc.org/cearegistry)にて、2005年費用効果
の推定を行っている。599の論文で、279の比率を3次解析

予防処置
コストセービングがみとめられるもの
・幼児へのHibワクチン
・60-64歳男性に対する直腸大腸癌のための1回の下部内視鏡検査
・中鎖acyl-coenzyme A脱水素酵素欠損新生児診断:$160/QALY
・喫煙予防強度プログラム(vs低強度プラグラム):$190/QALY
・7、8graderの強化たばこ予防プログラム:$23,000/QALY
・65歳以上是認を対象にした糖尿病スクリーニング(高血圧患者対象65歳以上との比較):$590,000/QALY
・尿道カテーテル下の心臓疾患患者を有する子供への抗生剤(アモキシシリン)予防投薬:コスト効果悪化だけでなく健康を害する



既存疾患への治療
コストセービングがみとめられるもの
・アルツハイマー患者への認知運動家族介入
・重度難聴児への内耳移植

・HIV感染患者の抗retrovirus治療:$29,000/QALY
・原発性胆汁性硬化症患者の移植:$41,000/QALY
・適切な患者対象の除細動器植込(内服治療との比較):$52,000/QALY
・左室補助装置(適切な服薬マネージメントとの比較):$900,000/QALY
・前立腺癌新規診断の70歳男性での検診(watchful waiting比較):コスト効果悪化だけでなく健康を害する



日本ではQALYは何者じゃというようなある教授や偉い先生たちが珍論をだし、なぜか、厚労省が呼応し愚策を連発している。医者の肩書きがある政治家もいるはずなのに・・・

メタボ検診がどの程度のQALYをもつか検討してから始めるべきであった

検討対象は違うが、“65歳以上是認を対象にした糖尿病スクリーニング(高血圧患者対象65歳以上との比較):$590,000/QALY”というのをみれば、コスト効果にかなり疑問があるのは確かだろう。



それにしても報道ステーションのキャスターってほんとお馬鹿!・・・馬鹿がうつる?と困るのでチャンネルを合わせることもないもないのだが、昨日も、診療報酬で馬鹿発言してた模様

診療報酬が高い低いはその効率にて判断されるべきもの・・・それが分かってないやつは口を挟むな偉そうに

by internalmedicine | 2008-02-14 10:08 | 医療一般  

2型糖尿病治療選択投票

Management of Type 2 Diabetes — Polling Results
N Engl J Med. vol. 358:38(7) Feb 14.2008

以下の設定での治療選択投票
2型糖尿病症例に対する治療選択
N Engl J Med Vol.358(3):293-297 Jan. 17 2008

肥満、高血圧を有する、2型糖尿病の55歳女性、2年の治療歴
微量アルブミン尿、網膜症、神経障害の病歴なし
心血管イベント、心臓の症状無し

5-12Kgの減量に成功し、いわゆるリバウンドにて体重元へ
30分毎日歩行を続けている
空腹時血糖を自己血糖チェックを週3回続け、空腹時血糖は110-140mg/dl
薬物としてはmetformin(1000mg×2/日)+glipizide(10mg×2/日)
降圧剤:hydrochlorothiazide (25 mg/日)・lisinopril (20 mg/日)
アスピリン (81 mg /日) とsimvastatin (20 mg/日)
服薬はしっかりおこわなれている

家族歴として早期卒中+

血圧 128/78mmHg
BMI 31
身体所見:異常認めず

糖化Hb 8.1%、Cr 0.9mg/dl



1)Pioglitazoneを加える
2)就寝前にNPHインスリンを加える
3)1日2回Exenatide投与:参照(ExenatideはTDZ治療にて至適治療域に至らない2型糖尿病血糖コントロール改善  2007-04-04



バイエッタが発売されていない以上、日本では判断しにくい話

北アメリカの投票では糖尿病専門医の第一選択は、exenatide1日2回(53%)で、次がNPHインスリン追加(32%)、第三選択がpioglitazone (15%)である。
ヨーロッパやアジアでは、就寝前NPH投与が第一選択になる傾向がある。

・・・設問が悪いと思うのだが、日本だけに限れば、pioglitazoneが第一選択になっているのではないだろうか?

NPHが好まれる理由はやはり血糖降下の確実性とコストと記載されている。

pioglitazone使用に関しては、このコスト効果を科学的に抗弁できるかどうかが問題である。

by internalmedicine | 2008-02-14 09:08 | 動脈硬化/循環器  

喫煙による平均余命:女性8年、男性6年(インドの喫煙と死亡率)

Smoking and Mortality among Women and Men in India
www.nejm.org February 13, 2008 (10.1056/NEJMsa0707719)
インドの大規模研究で、30ー69歳で、喫煙率や女性で5%、男性で37%
喫煙は結核、呼吸器疾患、心血管疾患、癌の死亡率増加と相関している。

喫煙率の推移

喫煙者背景(拡大→クリック)


30-69歳の間の喫煙・非喫煙間の全原因死亡累積予測


女性で8年、男性で6年の平均余命差



インドのような感染症がまだ死亡原因で上位の国でも、結核などの感染症リスク増加のため寿命短縮をもたらすことが示された。


【日本】喫煙で寿命3.5年短縮 2007-05-09 14:39

【イギリス】喫煙継続者は10年寿命を縮めている・・・・<私的解説>喫煙者には最新医療の恩恵を受けない・・・無駄 2004-06-25 10:47 |

と、比較してどうだろうか?

日本の報告は過小評価されているような気もするのだが・・・

C型肝炎患者の救済にのりだしているが、日本政府は国策で喫煙誘導を行ったことは確かである。喫煙被害者にも救済の手をさしのべるべきではないだろうか?すくなくとも「喫煙の危険性をラベルに表示してなかった時代」(1990年6月以前)の喫煙影響分に対して保証すべきではないか?なんせ、C型肝炎の方は原因が発揮してない時の対象者まで慰謝料をはらう太っ腹なのだから、こちらのほうも当然救済すべきだと思う(一部皮肉をこめてだが・・・)

by internalmedicine | 2008-02-14 08:23 | 環境問題