2008年 02月 19日 ( 3 )

 

State-of-the-Science Statement : 便・尿失禁予防

便失禁・尿失禁というのは日陰の症候だが、正面から対応する必要性を実感するState of the Science Statementの発表

要約・意訳
便失禁・尿失禁は生涯において成人の1/4超に見られる。
便失禁の自然史は未知、尿失禁の自然史は数年以上は詳細な記載無し。
便失禁と尿失禁は、身体的異常、ばつの悪さ、汚点、社会的孤立に苦しむこととなり、家族、ケア提供者、社会にとっても重篤な影響をあたえるものである。
経済コストは重大で、過少報告にて過小評価されている可能性がある。
ルーチンなepisiotomy(会陰切開術)が、便失禁リスク予防の、もっとも容易な予防法である。
リスク要因は、便失禁は両性、尿失禁は助成であること、そして、高齢者、神経疾患(卒中を含む)である。体が大きいほど、身体活動が減少するほど、うつ、糖尿病もリスク要因である。

女性では出産後1年間の骨盤底筋トレーニング・フィードバックが便・尿失禁の予防に有効
このアプローチは高齢者でも尿失禁予防に役立ち、男性では前立腺手術男性に有効。
便失禁・尿失禁はライフスタイル変化、たとえば、体重減少・運動により予防可能かもしれない。
失禁の公的な啓発の努力と予防・マネージメントのベネフィットは、屈辱性を排除し、disclosureと治療追究を啓発し、悩みを少なくしなければならない。
臨床的な検出方法を改善する有機的なアプローチが積極的な評価とともに望まれる。

便失禁・尿失禁の悩み・広がりを改善させるためには、そのメカニズムを確立し、分類システム、自然史、便失禁・尿失禁の将来リスクに従った患者分類、特異的対象群をターゲットにしたデザイン介入、この介入の影響を決定し、公衆衛生のガイドとなるよう研究を進めることとなる。




National Institutes of Health State-of-the-Science Statement: Prevention of Fecal and Urinary Incontinence in Adults
Ann Int Med vol. 148(6) Mar. 18, 2008
1. What Are the Prevalence, Incidence, and Natural History of Fecal and Urinary Incontinence in the Community and Long-Term Care Settings?

2. What Are the Burden of Illness and Impact of Fecal and Urinary Incontinence on the Individual and Society?

3. What Are the Risk Factors for Fecal and Urinary Incontinence?

4. What Can Be Done To Prevent Fecal and Urinary Incontinence?
Behavioral and Lifestyle Issues
Management of Comorbid Condition
Long-Term Care
Reimbursemen
t

5. What Are the Strategies To Improve the Identification of Persons at Risk and Patients Who Have Fecal and Urinary Incontinence?
Tools To Assist Diagnosis
Education To Promote Risk Awareness and Self-Referral


6. What Are the Research Priorities in Reducing the Burden of Illness in These Conditions?
Conceptual
Methodologic
Measures of Burden
Biological and Environmental Bases of Fecal and Urinary Incontinence
Natural History
Risk Factors
Detection, Prevention, and Education



尿失禁(UI)、便失禁(FI)は、ナーシングホーム居住者や卒中後の成人において、強化改善する個別マネージメント・リハビリテーションプログラムにて改善するということが記載されているが、UIはともかく、FIの具体的治療が乏しいというイメージをもった。

by internalmedicine | 2008-02-19 14:22 | 医療一般  

e-mailコミュニケーション:術前説明 ・・・はたして満足行く結果であったか?

インターネットなどの方法を褒めそやすこと・・・聞き飽きたという個人的感想を最近持っている。

e-mailによる情報提示に関して、medpage(http://www.medpagetoday.com/Surgery/GeneralSurgery/tb/8403)などメディアは肯定的紹介がなされている
患者からの電話での応答がなくなることで
・診療ルーチンの阻害が無くなる
・’phone tag'(電話相手不応)対策で終日業務に支障が無くなる
というメリット

E-mailによる応答は、途中妨害のない書込ができ、応答に対する適切な思考時間が確保でき、構文として適切で正確な返事を書くことができ、時に電話では急いでしまう返答も確実に行いやすくなる

ファイルにe-mailのコピーを保存することで論争の応答の証拠を保持できることになり、貴重なリソースが法廷論争に影響を与える。

e-mail コミュニケーションを用い、多くを質問し、対面コンサルテーションで阻害された個人的問題を指摘することができる。


あくまで、電話を利用されるくらいならe-mailがまし・・・という話になると思うのだが・・・この解説では
患者側からの立場で言えば、術前コンサルテーションを否定的局面無しに、有意に患者コミュニケーションのレベルを上げることができるが示された。この研究は、前向きランダム化臨床トライアルの形をとっており、e-mailアクセスを受けた患者は有意に術前interactionのレベルが増加し、満足アウトカムは減少しなかった。
としている。


Primary source: Archives of Surgery
Source reference:
Stalberg P, et al "E-mail access and improved communication between patient and surgeon" Arch Surg 2008; 143: 164-169.
【デザイン】前向きランダム研究
【セッティング】三次紹介病院
【患者】100名の連続患者で、甲状腺・副甲状腺手術前のコンサルテーションを受ける患者
【介入】コミュニケーション手段としてe-mail communicaionの情報シートを受けるか(group E)、標準の情報シートをもらうか (group S)に分ける
【メインアウトカム測定】
(1) Use of communication with the surgeon outside of the booked preoperative and postoperative consultation
(2) satisfaction questionnaire.
【結果】
26/100(26%)で追加的周術的コミュニケーションを開始
group Eは19/50(38%)、group Sは7/50(P < .001)

コミュニケーション開始のうち、22/26(84%)はe-mailのみ
3(12%)はファックス、1(4%)が電話

e-mail使用の患者の内、18/22(81%)がgroup Eで、4/22がgroup S(P<.02)

包括的に、34のe-mailを22名の患者に送ったこととなる

多くのe-mailは1つの問題でのみの応答であったが、一つのe-mailで4つ以上の問題を有したものもあった。

アウトカム測定において、コミュニケーション満足に関連した差異はなかった



通常の"e-mail”の問題点はなりすましが簡単なこと、秘匿性が保たれないことなどである。
専門医にとってはFAQなどを整理しておけば返事が簡単であり、三次医療機関などでは比較的容易なのではないだろうか?このe-mailコミュニケーション・・・個別多様性がありすぎるわたしら開業医には限定的な意味合いしかないだろうし、医療保険上も問題ありそう
愛知の開業医、ピルをネット販売 医師法違反の疑い 中日新聞:2008年1月21日 夕刊
愛知県丹羽郡で婦人科や泌尿器科などを専門に開業しているクリニックが、インターネットで低用量ピル(経口避妊薬)を販売していることが分かった。
"電子メールでのやりとりが診察と認められない場合、薬事法が禁じる無許可販売に問われる可能性”だけでなく説明義務を果たしていないと問われかねないと思う。


この論文が一人歩きしないように、患者満足度を含む主要アウトカムの改善が示されてない論文ということを個人的には強調しておきたい。

Additional source: Archives of Surgery
Source reference:
Mulder DS, "Invited critique" Arch Surg 2008; 143: 168-169.

by internalmedicine | 2008-02-19 09:44 | 医学  

スタチンは心房細動二次予防に有効

この話は先走った講師がさまざまな講演会で話をされているので、報告としてはまだ不確実な話だったんだなぁ・・・と、逆に驚く話


Journal of the American College of Cardiology(2.26)に掲載予定 J Am Coll Cardiol. 2008; 51:doi:10.10


スタチンは新規発症・術後心房細動より、心房細動二次予防に大きなインパクトがある。
脂質低下作用の影響を超過したもの、大規模前向きランダム化臨床トライアルはまだ必要であり、心房細動マネージメントに関する全てのサブグループでの適切治療がもたらされるかどうかの研究が待たれる



Fauchier L et al. "Antiarrhythmic effect of statin therapy and atrial fibrillation. A meta-analysis of randomized controlled trials."16/j.jacc.2007.09.063.

発作性心房細動病歴、持続性心房細動除細動既往のある患者、心臓手術術後や急性冠動脈疾患後のスタチン評価など含めたもの
スタチン治療が心房細動リスクを61%減少(OR 0.39 95%信頼区間 0.18-0.85 P=.02)
個別分析にて新規発症・術後心房細動(OR 0.60, 95% CI 0.27 ~ 1.37)より二次予防にて顕著な効果がある(OR 0.33, 95% CI 0.10 to 1.03, P=0.06)





そういやぁ・・・スタチンが気分障害に有効という話はどうなったのだろう?
Psychological benefits seen with statin use - Reduced Risk of Atrial Fibrillation
Medscape:ACC 52nd Annual Scientific Session: Abstract 1040-82, presented March 30, 2003; Poster 1181-122, presented April 1, 2003.

・男性ホルモン関係への影響から気分への変化がもたらされるか検討された論文もある
Does simvastatin affect mood and steroid hormone levels in hypercholesterolemic men? A randomized double-blind trial
Psychoneuroendocrinology Volume 28, Issue 2, February 2003, Pages 181-194

by internalmedicine | 2008-02-19 08:48 | 動脈硬化/循環器