2008年 02月 20日 ( 4 )

 

卒中患者で音楽リスニングは認知機能回復、気分障害予防に役立つ

”Reuter”などにも掲載されたみたいだから・・・日本の新聞記事になるかも・・・

Music listening enhances cognitive recovery and mood after middle cerebral artery stroke
Brain 2008 pdf

刺激を与え、環境を良くすることで卒中の回復が促進されるという動物研究が知られている。人の神経ダメージからの回復に関する回復室での豊富な音楽環境の有効性はあまり知られていない。
人において、音楽リスニングは、注意、semantic processing、記憶、運動機能、emotional processingに関する広範に広がる脳の両側ネットワークを活性化する。
健康な人や様々な臨床的患者群への情緒・認知機能も促進する。
音楽の神経リハビリテーションの潜在的役割はいまだシステミックに研究されていない。
単盲検、ランダム化、対照トライアルで、毎日音楽リスニングで、卒中後の認知機能や情緒改善するかどうかデザインされた研究である。
卒中急性回復期相で、左・右半球のMCA卒中60名をランダムにミュージック音楽リスニング群と言語リスニング群に分け、自己選択音楽とオーディオブックに分けて毎日聴いてもらう。
対照はいずれのリスニングも行わない。加えて、全員に標準治療・リハビリテーションは行われた。
広範な神経心理評価を全員に行い、広範な認知機能、気分状態、QOLアンケートを、卒中1週間め(基礎値)、3ヶ月後、6ヶ月後に行った。54名の患者が研究を完遂。

言語記憶属性での改善、焦点注意力(focused attention)の改善が音楽リスニング群で、言語リスニング、対照群にくらべ優れていた。
音楽群ではまた、うつが少なく、混乱した気分が対照群より少なかった。

これらの所見は、卒中発症初期の音楽聴取が認知機能回復に役立ち、気分障害予防に役立つことが示された初めての論文となる。

論文では、neuralmechanismsを考察している。



機能的評価
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意外にオーディオブックの成績が悪いのが気になる


卒中患者で音楽リスニングは認知機能回復、気分障害予防に役立つ_a0007242_177572.jpg



気分・情緒面の改善を考えれば、やはり楽しむことが大事なようで、spatial-temporal ability、注意力、言語流暢性、創造性など健常者でもパフォーマンス改善するとのこと
脳のイメージ研究では、交響音楽リスニングが、注意力、ワーキングメモリー、意味論的・統語的プロセッシング、イメージなどから構成されるためより良好であろうと書かれている。



Review Articles
Music and the brain: disorders of musical listening
Brain 2006 129(10):2533-2553;

The power of music
Brain 2006 129(10):2528-253


iPod shuffleも5千円台になったことだし、随分コストパフォーマンスの良い方法かもしれない。

by internalmedicine | 2008-02-20 16:32 | 動脈硬化/循環器  

電解水の霧で、花粉を無害化?

三洋電機は、車のドリンクホルダーに収まるコンパクトな空気清浄器「エネループ エアフレッシャー」を21日に売り出す。充電式なのでオフィス、リビングなどに持ち運んでも使える。電解水の霧が噴き出して空気中のウイルスや花粉を無害化する「ウイルスウオッシャー機能」を備えており、受験生や花粉症に悩む人の強い味方になりそうだ。asahi.com 2008年02月18日18時46分



この記事・・・
"電解水”という概念
"アレルゲンの無害化”という概念

以上の2つに引っかかりを覚える

"電解水”

電解水とは、水道水や薄い食塩水などを弱い直流電圧で電解処理して得られる水溶液の総称である。使用目的に基づき、主に洗浄消毒などの衛生管理に使われる強電解水(強酸性電解水、微酸性電解水、電解次亜水)と飲用アルカリ性電解水(アルカリイオン水)とに大別される。
(pdf:http://www.okakogi.go.jp/Official/publishment/news/pdf/456/p05.pdf

殺菌基盤は電解によって生じる次亜塩素酸(有効塩素)であり、強電解水はpH や有効塩素濃度が異なる電解生成次亜塩素酸水ということができる。
アルカリイオン水は、アルカリイオン整水器(厚生省の認可名は医療用物質生成器)を用いて、乳酸カルシウムなどの食品添加物として認められているCa 剤を溶出補充した水道水を有隔膜電解槽で弱電解することによって陰極側に生成するpH が9 ~10の電解水である。



強い殺菌力が注目され、多分野で利用されている強電海水は、“殺菌基盤は電解によって生じる次亜塩素酸(有効塩素)であり、強電解水はpHや有効濃度のが異なる電解生成次亜塩素酸水ということとなる”

酸性電解水の殺菌基盤は次亜塩素酸(HCLO)である。塩素は水溶液中のpHに依存して形態を変化させ、酸性域では少量の塩素と多量の次亜塩素酸が共存する。従来、使用されていた次亜塩素酸ナトリウムはアルカリ域で次亜塩素酸イオン(CLO―)として存在する。次亜塩素酸(HCLO)は次亜塩素酸イオン(CLO―)に比べて反応速度も高く、優れた殺菌力を有している。
 酸性電解水は、従来の食品添加物次亜塩素酸ナトリウムと異なり、使用者が現場で製造でき、希釈の必要がなく、従来法に比べ処理時間が短くすみ、手あれを起こしにくく、付着した塩素臭が残りにくいなど作業環境が改善される。 (http://www16.atwiki.jp/hitkik/pages/17.html





関連学会は「日本機能水学会」(平成14年9 月設立)とのこと

機能水とは、
「人為的な処理によって再現性のある有用な機能を獲得した水溶液の中で、処理と機能に関して科学的根拠が明らかにされたもの、及び明らかにされようとしているもの」と定義(日本機能水学会)(http://www.fwf.or.jp/kinousui.html



電解水の英語訳は?
acidic denkaisui electrolyzed waterというのを見つけた




サンヨーの電解水の仕組みわからないので何とも言えないが、殺菌基盤が何なのか?ハロゲンとしての作用は否定できているのか、粘膜・気道損傷の観点から知りたいところである。理論通りであれば、まぁ神経質になることは無いとは思うが・・・

従前の強酸性水だと直接接触で以下の効果という宣伝文句である


で、今回の場合、SANYOのサイトをみると、ミストによるウィルス消毒作用は、“Gunma Prefectural Institute of Public Health and Environmental Sciences”、“Kitasato Institute Medical Center Hospital”で報告されているとのこと。

具体的には、

More than 99% of airborne viruses were removed after one passage through the disinfectant element. Test method: Air containing suspended viruses was passed through the Disinfectant Element containing electrolyzed water, after which the remaining airborne viruses were trapped and residual virus populations were evaluated in cell cultures by TCID50 assay. Testing organisation: Gunma Prefectural Institute of Public Health and Environmental Sciences.


Airborne Viruses 98% reduction. A Virus Washer with Disinfectant Element was operated in a 8-metre square laboratory, where virus was sprayed into the air for 30 minutes. Fifty minutes after the spraying was stopped, the viruses were collected and their infectious strength was measured with cultured cells. Testing organisation: The Kitasato Institute Medical Centre Hospital, Research Centre for Medical Environment.


Test method: Disinfectant Electrolytic Mist was released into a 1-cubic metre test chamber containing airborne viruses. The viruses were collected and their infectious strength was measured by TCID50 Assay. Testing organisation: The Kitasato Institute Medical Centre Hospital, Research Centre for Medical Environment.



故に、環境中からのインフルエンザ量減少効果は信用できそうである。


ただ、疑問なのは、ミスト程度の濃度でアレルゲン性を変えるほどの実力があるのだろうか?だとしたら、蛋白変成作用まであるとしたら逆に生体への影響が心配になる。
一応、念のため、Sanyoのサイトを調べると、
Disinfectant electrolytic mist was released into a 0.275-cubic metre test chamber containing pollen particles, and the reduction in the number of pollen particles was evaluated by the enzyme antibody method. Testing organisation: Osaka Medical College.
これが根拠となっているようであるが・・・花粉を無害化とはちょっと違う話のような気がする・・・これって朝日の誤報?、それとも別にソースがあるだろうか?

by internalmedicine | 2008-02-20 11:21 | Quack  

急性有機リン剤中毒管理

中国毒餃子対策?2008-01-31 17:43 で触れたが、有機リン系殺虫剤中毒”ということで、Lancetで、レビュー報告とのこと

レビューできるほどのトライアル数が無く、従来の報告にとどまっているようだが・・・

Management of acute organophosphorus pesticide poisoning
The Lancet Vol.371(9612):597-607 Feb. 22 2008
有機リン殺虫剤自己服毒は発展途上国の地方では臨床的に重要な問題、年間20万人ほどが死亡。事故は少ないが、毒性の強い有機リン殺虫剤は広く利用されており、其れが問題となっている。
臨床的マネージメントは難しく、15%超の死亡率を一般的に示す。
将来臨床研究デザインを行うとき治療のガイドとなるエビデンスや要因などの解明されているところが少ない。
50年前から治療の核である、atropine、オキシム(oximes:パム(PAM))、diazepamの使用変わらず重要

データ収集の重大な制限項目は、薬剤個別的活性・作用の個性に関する情報の進展、コリンエステラーゼ分析を前提とした治療の研究が遅れている。しかし、アトロピン、酸素、呼吸サポート、輸液が組織への酸素運搬能改善につながり、早期蘇生に重要というコンセンサスがある。
オキシムの役割はまだ明らかでない。特異的に効果のある人や中等程度の場合効果があるのかも知れない。小規模研究では硫酸マグネシウムに関して報告があるが、今後の検討が必要。
胃洗浄は役割としてはあるだろうが、安定した患者にのみ行うべき。
ランダム化臨床トライアルがアジアの地方で行われ、これらの治療法評価がされたが、現在治療困難な有機リン殺虫剤があり、実質的治療法の無いものがある。



Clinical Review
Management of acute organophosphorus pesticide poisoning
BMJ. 2007 March 24; 334(7594): 629–634.

oximeに関して・・・Cochrane Review
http://www.cochrane.org/reviews/en/ab005085.html

Diazepam in the Treatment of Organophosphorus Ester Pesticide Poisoning.
Review Article
Toxicological Reviews. 22(2):75-81, 2003.

by internalmedicine | 2008-02-20 10:07 | 環境問題  

無甲状腺機能lでのevothyroxine治療によるT3濃度の影響


チラーヂンS錠(レボチロキシンナトリウム錠)治療主体ということ?
T3製剤(チロナミンまたはサイロニン)を使って細かにコントロールしている場合を見かけるがあまりこだわらない方が良いのだろうか・・・少なくとも甲状腺全摘・亜全摘状態では・・・


Triiodothyronine Levels in Athyreotic Individuals During Levothyroxine Therapy
JAMA. 2008;299(7):769-777.
LT4単独治療が主になされているが、T3補充を考えた方がよいか実は不明であった。それで、LT4とT3併用の評価したもの

Thyroxine (tetraiodothyronine [T4])とT3、TSH値を手術前2回、術後2回検査
研究終了時までに、LT4治療と甲状腺切除後のT3濃度の有意な差はなかった(mean, 127.2 ng/dL; 95% CI, 119.5-134.9 ng/dL vs 129.3 ng/dL; 95% CI, 121.9-136.7 ng/dL; P = .64)

しかし、LT4治療患者では、遊離T4濃度(mean, 1.41 ng/dL; 95% CI, 1.33-1.49 ng/dL) はnaive T4濃度(1.05 ng/dL; 95% CI, 1.00-1.10 ng/dL; P < .001)に比べてLT4治療で高い

研究終了までに94%が、血中TSH値4.5 mIU/L以下に到達

TSH4.5 mIU/L以下にならなかった患者群では、T3濃度はより低かった (P < .001)


甲状腺全切除・亜全切除患者において従来のLT4治療で正常なT3値に到達する。このことはT3投与が必ずし甲状腺切除前の内因性の状態に関係なくT3投与は必要ないだろうということが示唆された。

by internalmedicine | 2008-02-20 08:56 | 内科全般