2008年 02月 22日 ( 5 )

 

ACCORDトライアル AHA ステートメント

ACCORDトライアルNHLBI)の一つのアームの中止がえらい騒ぎになっている。なにやら医者どもがショックを受けていると・・・


Statement from the American Heart Association on changes in ACCORD trial
AHA News 02/06/2008

AHAは2型糖尿病治療にA1C<7%を助言してきた
NHLBIのアナウンスに基づくA1Cゴールを心臓疾患状態やリスク要因を考慮に入れて治療することを助言するようになるだろう。
糖尿病患者にとっては、この研究は2型糖尿病のうち特異的な一群でのあることが重要である。
参加クライテリア:
40歳以上、CVD(心臓、卒中、冠動脈再建既往、末梢・頸動脈再建、狭心症)の病歴
55歳以上で、CVD病歴はないが、CVDイベントリスクが高い状態
新しいADAガイドライン基準(空腹時血糖≧126mg/dl、もしくは、OGTT≧200mg/dl)で2型糖尿病と診断されたケース
http://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT00000620


40-82歳で、平均10年の糖尿病病歴、すでに心臓疾患があるか、高リスク状態の患者でありすくなくとも2つ以上のリスクをもつ患者が対象であった。

この高リスク状態患者でも、糖低下アームは予想より死亡率を低下させていた。糖尿病ケアのベネフィットを示すものであり、また他の血圧・コレステロールに注意をはらうベネフィットも示すものである。

1)強化vs標準糖減少、2)強化vs標準血圧低下 2)コレステロール治療:フィブラート+スタチンvsスタチン単独という3つのアームをもつものであった。

血糖低下強化群が死亡リスク増加となったわけで、トライアル終了日の18ヶ月前に変化を来した。他のトライアル側面は変更がない。

NHLBIステートメントはACCORに参入したような患者ではHbAic7%程度にということを示唆する


CVDリスクのある患者ではすくなくとも、the Lesser, the betterとは行かなかったようだ。
集中治療分野の血糖コントロールに関心が行っている間に・・・世の中は変わるものだ


ACCORDはメトフォルミンから始まり、標準群は7.0-7.9%とするもので、これはUKPDSの肥満メトフォルミン治療に相当するもので、SU剤とインスリン治療を単独、コントロールできない場合は両者利用というプロトコール・・・すなわち、重症例ほど高インスリン状態になる可能性が高い

これを考えれば、なんか予測できる結果のような気がするのだが・・・UKPDSの大血管アウトカム(Lancet. 1998 Sep 12;352(9131):837-53.)を結果を忘れていたのだろうか?

by internalmedicine | 2008-02-22 16:14 | 動脈硬化/循環器  

急性膵炎にプロバイオティクスは不可?

重症急性膵炎に対するプロバイオティクス投与の副事象は感染合併症と死亡率増加をもたらしたという報告


プロバイオティクスは無害という常識にとらわれていたので意外な結果である。


死亡率を増やしたのは、小腸壁への破壊効果というべきものの可能性、新規発症の臓器障害は認められないもので、ありうるとしたら、既存の臓器障害へ生じたものであり、腸虚血を生じるメカニズムが何らかあるのかも知れない。どのタイプのprobioticsでも共通の現象なのかはまだ分からない


Probiotic prophylaxis in predicted severe acute pancreatitis: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial
The Lancet 2008; 371:651-659

多施設ランダム化二重盲検プラセボ対照治験で、298名の重症急性膵炎(APACHE IIスコア≧8、Imrieスコア≧3、CRP>150mg/L)を発症後72時間以内に①多種probiotic preparation (n=153)、②プラセボ(n=145), に割り当て
1日2回28日投与
プライマリエンドポイントは感染合併症因子、感染性膵臓壊死、菌血症、肺炎、尿路敗血症、感染性腹水(入院から90日フォローアップまで)
解析はITT
膵炎の診断間違いで各群1名脱落
probiotics群の151名、プラセボ群144名で解析
各群の患者背景同等

感染合併症発生
probiotics群で46/151(30%)
対照群41/144(28%)
(相対リスク 1·06, 95% CI 0·75–1·51)


死亡
probiotics群24/151(16%)
対照群 9/144(6%)
(相対リスク 2·53, 95% CI 1·22–5·25)


腸虚血
probiotics群9/151(16%)
プラセボ群0/144
(P=0.004)



今後、重症感染症などに関しても、プロバイオティクス慎重な検討が必要なようである。
善玉菌なんてラベリングは意外な落とし穴にはまるのかも知れない。
プロバイオティクス・副作用:http://lib.bioinfo.pl/meid:28514

by internalmedicine | 2008-02-22 15:02 | 消化器  

麻疹アメリカに渡る:自分で犯した罪を報道しているようなものだな 朝日新聞

日本の麻疹ワクチン行政の特異性 2004-07-23 15:50 で書いたが、
ワクチン任意接種を強いる“国民世論”のため1994年以降、日本政府はワクチン行政に関して非常に受け身的となり、その結果ワクチンにより予防できる疾患への公衆鏡衛生教育もおざなりとなり、疾患の重要性も軽視され続けている。
メディア報道に惨めなほど弱腰の厚生官僚たちが、見て見ぬふりをして行ってきたワクチン消極行政・・・その尻拭いが始まっている。

偏狭的思考・政治的な背景をもつ市民団体の主張をバランスを考えずに垂れ流したメディアに問題はないとでも思っているのだろうか?



米国のはしか、感染源は日本人野球少年
asahi.com 2008年02月22日
 昨年8月から9月にかけ米国で流行したはしかの感染源が、米国に遠征試合に出掛けた日本の少年野球の選手(12)だったことが21日、疾病対策センター(CDC)の報告書で分かった。

 CDCは昨年ミシガン州などで流行したはしかについて、感染経路を追跡したところ、8月にペンシルベニア州ウィリアムズポートで開かれた野球大会「リトルリーグ・ワールドシリーズ」に参加した日本人少年から少なくとも6人に感染していた。(時事)




オーソドックスな考えを記事にせず、偏狭な考えの持ち主たちの主張だけを取り上げたのはどこの新聞社だっただろう。

日本版ACIP(Advisory Committeeon Immunization Practices)創設と偉そうに行っているが、日本にも立派な"国立感染症研究所”があるじゃないか!

この記述の朝日に対してあきれ果てた

朝日新聞記者
医療問題は、科学的議論そっちのけで政治的、思想的信念の対立に翻弄される場合がある。さらに専門家の間で意見が分かれることもしばしばあり、どちらの主張が正しいのか、素人にとって判断が極めて困難になる。こういうとき、様々な立場の専門家の意見を聞きバランスの取れた情報を読者に提供することこそ、メディアの役割だろう。しかし「世論」がある方向に向かって大きく動いているとき、その流れに抗して冷静な議論を展開することは、現場の一記者にとって、結構難しいことなのだ。
(引用:http://www.npo-bmsa.org/wf093.shtml)

知識がない人がバランスのとれた記述ができるのだろう?
そのことが分かってないなら、文字など書くな!・・・迷惑きわまりない

by internalmedicine | 2008-02-22 11:38 | メディア問題  

職業的腰痛予防に対する助言・設備・器具の良好な予防的エビデンスはない


改めて・・・厚生労働省って馬鹿の集まりと実感する
厚生労働省では, 「職場における腰痛予防対策指針」を策定し, 中でも健康管理については, 「重量物取扱い作業, 介護作業等腰部に著しい負担のかかる作業に常時従事する労働者に対し, 配置前およびその後6月以内ごとに定期に腰痛に関する健康診断を実施すること」としている.

エビデンスに基づく論文で, 「X線学的所見は将来の腰痛やそれによる障害発生をなんら予測できない」とされており, 将来の腰痛予測を目的とするのであれば, 健診における腰椎X線検査は不要と考える(日本腰痛学会雑誌 Vol. 12 (2006) , No. 1 pp.34-38


介入に関してその有効性が疑問視されるのに、わざわざ放射線被曝をさせてどうするつもりなのだろう・・・馬鹿役人

本邦では, 整形外科医と産業医の協力による, EBMに基づいた研究調査はほとんど施行されていない.



(minds)では、ジャーナルの一覧があるだけで、ガイドラインそのものが明示されていない。


今回取り上げる論文の序文をみると、
重いものを持ち上げることは腰背部痛に直結する(International Journal of Industrial Ergonomics Vol. 24(4):389-404 Aug. 1999)。業務最適化技術が、重荷を扱うときの背部・腰痛、損傷予防のため進められている(e.g. Work 2002;19:9-18.、Work 2002;20:83-96.)
そしていろんな設備・器具が出現している。
こういった、荷物持ちへの助言や器具などの介入に対して、もともと疑問を呈する報告があった(Occup Med 2004:54;345-52.,Ergonomics 2006;49:706-23. )。





Effect of training and lifting equipment for preventing back pain in lifting and handling: systematic review
BMJ 2008;336:429-431 (23 February)
【目的】heavy liftingを含む仕事の背部痛予防のための、ワーキングテクニックやリフティング設備の助言・トレーニング

【データ源】 Medline, Embase, CENTRAL, Cochrane Back Group’s specialised register, CINAHL, Nioshtic, CISdoc, Science Citation Index, and PsychLIT were searched up to September-November 2005.

【レビュー法】第一の研究はランダム対照化トライアルに焦点をあて、二次的調査としては同時対照群を有するコホートを対照とした。介入は、重い対象物や人のliftingやhandlingに関するテクニックを修正する方法を目的としたもので、背部痛測定、後続するdisability、病気休暇取得をメインアウトカムとしたもの

【結果】6つのランダム化トライアルと5つのコホートがクライテリアに合致
2つのランダム化トライアルとすべてのコホート研究は高品質表示
8つの研究で患者のliftingとmovingを観察、3つの研究は、荷運びと郵便配達者を対象。
対照群は非介入あるいはトレーニング、身体運動、back belt使用を控えたもの

ランダムトライアル比較では、有意な差がなかった(17720名)

二次解析では、コホートのどれも有意な差が無く、ランダムトライアルの結果を支持するものであった。
【結論】リフティング設備の有り無しにかかわらず、背部痛とそれに続くdisabilityを予防する、working techniqueの助言、トレーニングを支持するエビデンスは存在しない。
この所見は現行のlifting techniqueを修正する助言実践に対して異論を唱えるものとなった。



作業関連性腰痛への国際的取り組みと我が国の現状(日本腰痛会誌 12(1):29-33,2006 PDF

by internalmedicine | 2008-02-22 09:44 | 運動系  

血流感染マネージメント

Jane Mintonらは1400ベッドの病院でのいわゆる血流感染・ルート感染(bloodstream infection)の有効治療開始の遅れに関して報告 (doi: 10.1136/bmj.39454.634502.80).

Quality Improvement Report
Improving early management of bloodstream infection: a quality improvement project
BMJ 2008;336:440-443 (23 February), doi:10.1136/bmj.39454.634502.80

多くの医療エラー(治療の遅れと不適切な抗生剤投与という意味)が生じていた。
治療ガイドライン、教育プログラム、感染症チームの患者のルーチンレビューによりエラー率が30%→8%に減少した。


著者らはこの方法を急性期の病院に要求

4月のパリで行われる、International Forum for Quality and Safety in Health Care (http://internationalforum.bmj.com)で討議される予定とのこと



血流感染早期マネージメント改善策:Strategy for improving early management of bloodstream infections

・重症敗血症の認識、管理を教育セッションに導入し、信頼できるウェブサイトを利用

重症敗血症の認知ガイドライン:Guidelines for recognition of severe sepsis
・病歴・検査・基礎的検査に基づく認識ツール:A recognition tool based on history, examination, and basic laboratory tests


重症敗血症の管理ガイドライン:Guidelines for management of severe sepsis
・抗生剤経験的処方推奨:Recommendations on prescription of empirical antibiotics
・輸液蘇生アドバイス:Advice on fluid resuscitation
患者モニター上のアドバイス:Advice on monitoring patients
・経験的観点・専門的観点からの助言:Reminders to request senior or specialist review


菌血症サービス:Bacteraemia service
・抗生剤処方・投与のチェック提供:Provides checks on antibiotic prescribing and administration
・治療の検討・治療期間の推奨提供:Provides recommendations for further investigation and length of treatment
・初期治療のフィードバック体制:Provides feedback on initial management




医療にかかわるエラーというのは、避けて通れないもので、これをいかに縮小化するかが患者・家族側・医療側・社会にとって、共通の利益となる。
社会的に医療的訴追にひたすら求めることが、このエラーの表だった検討ができなくなることとなるとなる(医療過誤自己報告システムの前提条件:免責と報告方法という論文: 2008-01-15 15:49

じっさい、医学論文:急減 処分恐れ医師ら萎縮? なる新聞記事があったわけで・・・

日本は、現在、医療の暗黒時代・・・こういった血行感染対策は日本では表だって議論することすら難しくなったのである。

by internalmedicine | 2008-02-22 09:06 | 感染症