2008年 02月 23日 ( 3 )

 

体脂肪とhot flashの関係はホルモンじゃなく、エネルギー代謝で説明すべき

hot flashなどのいわゆる"自律神経症状”、血管運動性(vasomotor)の症状が太った人でそれが顕在化している現象は脂肪組織のホルモン作用で説明されていた。

thermoregulatoryモデルの方が以下の体脂肪とhot flashの関係の報告をみれば確からしい。すなわち、脂肪組織は他の組織に比べて特に影響が大きく、heat dissipation(エネルギー消費)を阻害するのである。

Thurston RC et al. Adiposity and reporting of vasomotor symptoms among midlife women: The Study of Women’s Health Across the Nation.
Am J Epidemiol 2008 Jan 1; 167:78.
adiposityは、アンドロジェンからエストロジェンへの変換が脂肪組織にて行われるため、閉経期のvasomotor symptom減少と関連しているという仮説が長く語られてきた。
しかし、最近のthermoregulatory modelにて脂肪組織量の増加がvasomotor symptomeの尤度増加と関係しているということが判明した。
閉経後にかかる女性の他施設地域ベースの観察研究であるStudy of Women's Health Across the Nationにて、47-59歳の1776名の女性(子宮intact)で解析

vasomoter symptom(hot flash、夜汗)、血中FSH、エストラジオール、性ホルモン結合グロブリン補正エストラジオール(遊離エストラジオール指数)を検討

年齢・サイト補正モデルで、体脂肪比率が高いことととvasomotor symptomeのオッズ比は相関(%脂肪率増加変異標準化あたり オッズ比 1.27 95%CI 1.14-11.42)

完全補正モデルでもその相関は維持し、性ホルモンモデルでもその相関は減少せず

by internalmedicine | 2008-02-23 10:38 | 内科全般  

外傷患者に対する早期昇圧剤は死亡率を増加させる

あらためて外傷に対する安易な昇圧剤治療に警告がなされた格好

Journal Watch誌に取り上げられているテーマ

大規模前向きコホートにより早期の昇圧剤治療は未使用に比べ約2倍死亡率を増やす
ただ、昇圧剤使用とcrystalloidの両・使用率は対照化されていないためさらに研究が必要。

Sperry JL et al. Early use of vasopressors after injury: Caution before constriction. J Trauma 2008 Jan; 64:9.
16-90歳外傷、受傷12時間以内
収縮血圧<90mmHg
ED受診
base欠乏≧6 mEq/L
脳以外の外傷(Abbreviated Injury Scale score ≥2~


昇圧剤治療(Levophed, phenylephrine, dopamine, or vasopressin)
早期積極的クリスタロイド蘇生 (≥16 L within 12 hours post-injury)

921名の患者の内、総死亡率は12%、平均Injury Severity Scaleは31
昇圧剤の受傷後12時間以内使用は死亡リスク増加 HR(ハザード比) 1.81
24時間以内での昇圧剤使用はHR 2.15

12時間以内の積極的な早期クリスタロイド蘇生は、非使用にくらべて死亡率減少 HR 0.59


早期クリスタロイド蘇生による影響として、55歳以下と55歳超での比較では有意な差が認められた (HR, 0.54)

by internalmedicine | 2008-02-23 10:06 | 医学  

CADASILにおけるアリセプトの効果

Donepezil はCADASILに対して、プライマリアウトカムでは良好な成績ではなかったが、Trail Making Testなどのexecutive functionを改善した?

微妙なLancet誌のコメント付き報告


コリン作動欠乏状態が血管性に起因する認知症に関わる可能性があり、血管性痴呆に対してコリンエステラーゼ阻害剤のトライアルがなされようとするが、heterogenousな疾患故困難。皮質下梗塞や白質症(CADASIL)は常染色体優性動脈疾患である。
CADASILの早期発症故、比較的homogenousであろうということで、この疾患を対象に他施設18週プラセボ対照二重盲検ランダム化平行群トライアル施行。


Donepezil in patients with subcortical vascular cognitive impairment: a randomised double-blind trial in CADASIL
The Lancet Neurology Early Online Publication, 22 Febuary 2008
【研究方法】MMSEスコア10-27もしくは trail making test (TMT) B time scoreが1.5SD未満(年齢・教育レベル補正後)
プライマリエンドポイント:18週後の基礎値からのvascular AD assessment scale cognitive subscale (V-ADAS-cog) 変化
セカンダリエンドポイント:ADAS-cog、MMSE、TMA A timeとB time、Stroop、executive interview-25 (EXIT25)、 CLOX、 disability assessment for dementia、 sum of boxes of the clinical dementia rating scale

ITT解析がなされた

【結果】161名の患者分析。エンドポイントで、donepezil(n=84)とプラセボ(n=77)
基礎スコアとの最小自乗平均変化はプラセボ-0.81(SE 0.59)、donepezil群で-0.85(p=0.956)
セカンダリアウトカムフォローにてdonepezilが有意に良好であった
TMT B time (p=0·023)
TMT A time (p=0·015)
EXIT25 (p=0·022)


10名のdonepezil治療群が副作用のため 治療中断





非アルツハイマー型痴呆には、レビー小体型痴呆(DLB)、前頭側頭型痴呆、皮質基底核変性症など鑑別必要だが、血管性がらみの疾患が問題になる

家族性偏頭痛
CADASIL(cerebral arteriopathy, autosomal dominant, with subcortical infarcts and leukoencephalopathy, MIM 125310):
若年で発症し,動脈硬化のリスクファクターが乏しいにもかかわらず,皮質下梗塞や白質病変が進行する優性遺伝性疾患である.仮性球麻痺や痴呆などの脳血管障害による症状に加え,患者の約20~40%に前兆を伴う頭痛が存在し,時に初発症状であることもある.19q12に存在する NOTCH3(MIM 600276)が原因遺伝子として同定されている.(MINDS)小・細動脈における中膜平滑筋の変性が特徴的で,中膜にPAS陽性の顆粒状物質が沈着する。この物質は電顕的には電子密度の高い10~15nmの微細顆粒が集積したものであり,granular osmiophilic materials(GOM)と呼ばれる。免疫組織化学的検討から,GOMの近傍にはNotch3蛋白の細胞外ドメインが異常な凝集を形成していると推定されている。(http://www.bitway.ne.jp/ejournal/so-net/1431100276.html)


MELAS(mitochondrial myopathy, encephalopathy, lactic acidosis and stroke-like episodes, MIM 540000):
繰り返す嘔吐,頭痛,痙攣,脳卒中様発作を特徴とするミトコンドリア病の一病型である.MELAS患者の80%はミトコンドリア遺伝子に存在するMTTL1(Transfer RNA, mitochondorial, leucine, 1)遺伝子(MIM *590050)のA 3243 G変異により発症する.(MINDS


家族性片麻痺性片頭痛1型(MIM 141500)/2型(MIM 602481)

Osler-Rendu-Weber 症候群(遺伝性出血性毛細血管拡張症)(MIM #187300, #600376)


CARASIL(Maeda syndrome)
脳の小・細動脈に線維性内膜肥厚,中膜硝子化,内弾性板断裂などの動脈硬化性変化を認め,これらの病変に基づき大脳白質優位に多発性脳梗塞を生じる常染色体劣性遺伝性動脈疾患である。若年性禿頭や脊椎の変形などの特異な中枢神経外症状を伴い,granular osmiophilic materials(GOM)は認められない。(http://www.bitway.ne.jp/ejournal/so-net/1431100276.html)
CARASIL”は30代に脳血管性痴呆を呈するが,病理学的に脳の細小血管を主体とした動脈硬化を示すため,一般の高齢者における脳の動脈硬化に極めて近い病態と考えられる

by internalmedicine | 2008-02-23 08:28 | 精神・認知