2009年 02月 03日 ( 2 )

 

COPDと運動:鶏か卵か?

鶏か卵か?・・・エディトリアルだが・・・私の関心領域なので・・・一部訳

結論から言えば、この編者は、”呼吸機能低下→運動・筋力低下”というプロセスを主と考えているようだ。

Chicken or egg: physical activity in COPD revisited
Eur Respir J 2009; 33:227-229
COPDと骨格筋減少症(sarcopenia)の関係が取りざたされることが多くなった。
最近、大規模コホートにて、自己報告身体活動量がCOPDの予後を推測させ、肺機能低下に大きなインパクトを与えるという報告(Am J Respir Crit Care Med 2007;175:458–463.)がなされている。
日常活動性、筋力・筋パフォーマンスは相互関連がある。

pedometeractigraphなどが最初で、モニタリングの発展により、sophosticateされたデバイスが利用可能となっている。“triaxial accelerometer”(Am J Respir Crit Care Med 2004;169:A594)なども直接比較にて、日常生活評価を患者の想起に頼っているのにくらべより正確となった。客観的運動活動性指標がゴールドスタンダードとなるだろう。


骨格筋筋力低下は疾患のらせん低下の経過を導き、運動時の嫌気的代謝や大腿四頭筋疲労や活動性低下を導く。急性悪化によりさらに悪化。Donaldsonらは、アウトドアで過ごす時間は急性悪化出現を減らし、その後5週まで減少効果が続くということを報告している。
逆に急性悪化入院後、身体活動は急激に減少(to a mean walking time of 6–7 min·day–1) し、1ヶ月は回復にかかる(Chest 2006;129:536–544.)。同様のパターンが卒中などでもみられる。

呼吸リハビリテーションは有効性が高く、best modest effectである
quadriceps strengthを主体とし、急性増悪後のリハビリテーションは、その後の急性増悪イベントや救急受診を減らす。
Pittaらは、運動能力と大腿四頭筋筋力は3ヶ月後増加したが、身体活動量の増加を伴ってないと指摘。しかし、さらに3ヶ月リハビリテーション追加(計6ヶ月)で有意に6分間歩行距離で
6分間歩行距離は“Leuven concept”(筋肉を鍛えるのに3ヶ月、脳を鍛えるのに6ヶ月という概念)故という説明となる。

COPDの概念は、多くの合併症を有する病態+全身性の合併症を引き起こす可能性のある病態と変遷している。


だが、筋の脆弱性は、一般的な筋萎縮のメカニズム・身体パフォーマンス全身性炎症から生じる可能性があるというhistorical revewがあるが、これは仮説未満である。
.
まず、筋力低下が悪液質に先行し、bioimpedenceで判断された栄養不足は約2/3だが、大腿四頭筋筋力低下は約1/3という大規模研究が2つある。
次に、CIPDの筋力低下は横隔膜、腹部筋肉、上肢筋肉をspareする。全身性過程とするには説明できない。
三番目に、横隔膜・三角筋生検では大腿四頭筋に見られる変化が見られない。これも同様。
最後に、直接しらべること、すなわち、大腿四頭筋の炎症性サイトカインの発現は観察できないか、もしくはあっても大腿四頭筋の筋力低下と逆相関する。

身体活動減少は早期COPDの特徴であり、ERJで報告された論文にて、Watz(Eur Respir J 2009; 33: 262–272、Am J Respir Crit Care Med 2008;177:743–751.)らは、GOLD病期を通して運動不足がそれに応じて低下することを示した(関連:
COPD:やせと身体活動、病期分類、BODE指数のパズル:Stage IIから積極的身体運動指導を 2009年 01月 31日)。

by internalmedicine | 2009-02-03 11:08 | 呼吸器系  

ICU人工呼吸:鎮静SEDCOM研究:プレセデックス vs ミダゾラム(ドルミカム)

JAMA Early Releaseとなっている。プレセデックス(R)がICU患者のセデーションとしてドルミカムより有益性が高いことが確認されたようだ。

ICU機械式人工呼吸患者に対するdexmedetomidine と midazolam に目標sedation時間に相違なし.比較可能レベルで、dexmedetomidine治療患者は人工呼吸時間少なく、delirium少なく、頻拍・高血圧少なかった。もっとも注目すべきdexmedetomidineの副作用は徐脈であった.

Dexmedetomidine vs Midazolam for Sedation of Critically Ill Patients
A Randomized Trial
JAMA. 2009;301(5):(doi:10.1001/jama.2009.56).
【デザイン・セッティング・対象】 前向き、二重盲検、ランダム化68センター・5ヶ国トライアル(2005年3月~2007年8月)の375医学/外科ICU患者で、24時間超の人工呼吸可能性有る患者対象
鎮静レベルや幻覚症状を評価(RASS:Richmond Agitation-Sedation ScaleとConfusion Assessment Method)
【介入】
・Dexmedetomidine (0.2-1.4 µg/kg /時間 [n = 244])
・midazolam (0.02-0.1 mg/kg /時間 [n = 122])
抜管もしくは30日間、light sedation (RASS scores : –2 ~ +1)目標

【結果】RASS範囲に到達目標内の時間比率は同等
(dexmedetomidine group :77.3% vs midazolam group75.1%; 差異, 2.2% [95% 信頼区間l {CI}, –3.2% to 7.5%]; P = .18)
治療期間中の幻覚症状頻度は、dexmedetomidine治療群 54%(n=133/244)で、medazolam治療群n(n=93/122)(差異,22.6% [95% CI, 14% ~ 33%]; P < .001)
抜管までの時間中央値はdexmedetomidineが1.9日短い(3.7 日間 [95% CI, 3.1 ~ 4.0] vs 5.6 日間 [95% CI, 4.6 ~ 5.9]; P = .01)

ICU滞在時間は同様(5.9 日間 [95% CI, 5.7 ~ 7.0] vs 7.6 日間 [95% CI, 6.7 ~ 8.6]; P = .24)

Dexmedetomidine治療患者は徐脈発症傾向 (42.2% [103/244] vs 18.9% [23/122]; P < .001)で、治療必要比率の増加は有意でない(4.9% [12/244] vs 0.8% [1/122]; P = .07)

だが、対処必要頻拍 (25.4% [62/244] vs 44.3% [54/122]; P < .001)や高血圧(18.9% [46/244] vs 29.5% [36/122]; P = .02)の尤度は少ない



プレセデックス:http://www.atol-com.co.jp/mp/di/pdf/04_05/sinseihin/8-14.pdf
デクスメデトミジンは強力かつ選択性の高い中枢性α2アドレナリン受容体作動薬であり、鎮静および鎮痛作用、抗不安作用、ストレスによる交感神経系亢進を緩和することによる血行動態の安定化作用等、広範な薬理作用を示すことが知られている。また、その後の研究で、 本剤の投与で自然に近い睡眠が得られること、本剤持続投与で十分な鎮静が得られている場合でも必要に応じて意識レベルを回復させることができ、しかも、不安や苦痛のない状態を維持できることが明らかにされた。この広範な薬理作用から、当初は周術期の使用を考慮して開発が着手されたが、1997年以降は薬物動態学的特性等も考慮し、持続投与による「集中治療における鎮静および鎮痛」を目的とした開発が進められることになった。
本剤は、呼吸抑制の誘発が認められないため、抜管中、抜管後も投与の中止を必要とせず、継続して使用することが可能である。また、鎮静作用に加えて鎮痛作用を併せ持ち、オピオイド鎮痛薬の所要量を減らし、麻薬性鎮痛薬による呼吸抑制やその他の副作用を軽減する。
さらに、本剤の優れた特性は、上記のように従来の鎮静剤とは異なるユニークな鎮静作用を示すことであり、目標とする鎮静が得られている状態でも、診察や理学療法を行うために患者を容易に覚醒させることができ、患者とコミュニケーションをとることが可能である。


<効能・効果に関連する使用上の注意>
人工呼吸管理下での患者の状態が安定しており、本剤投与から24 時間以内に抜管可能な患者を対象に投与すること。


日本では、この縛りのためICUでの使用制限を強いている・・・アホ役人

by internalmedicine | 2009-02-03 08:48 | 呼吸器系