2009年 02月 21日 ( 4 )

 

なぜ普通の医師は・・・花粉症治療にデポ注射をしないか?

この時期、ちょっと価値観を変えればだれでも”名医”になれる時期・・・この薬剤になぜ普通の医者は手をださないのか・・・考察

この治療法の一般への危険性の啓発をかねて・・・ちょっとだけまとめてみた

・副作用の可能性

副腎抑制は必須(有効血中濃度が3週間持続)
糖尿病などの代謝系・高血圧など血行動態への悪影響考慮
満月様顔貌,皮膚・皮膚付属器障害,月経異常,萎縮などの適用部位障害,副腎皮質機能低下など


ガイドラインに準じない治療法である


・”triamcinolone injection”は米国でも花粉症治療としては禁止されている
You should not receive this medication if you are allergic to triamcinolone, or if you have a condition called idiopathic thrombocytopenic purpura (ITP)
(http://www.healthline.com/multumcontent/triamcinolone-2)


有効血中濃度は14~21日間持続

ケナコルト-A筋注用関節腔内用水懸注40mg/1mL


デポステロイドの筋注は全身的副作用に注意し,投与前後の検査を怠ってはならない。ときに,副作用(満月様顔貌,皮膚・皮膚付属器障害,月経異常,萎縮などの注射部位障害,副腎皮質機能障害など)が起こるので,この方法は望ましくない。
https://minds.jcqhc.or.jp/stc/0024/1/0024_G0000066_0023.html

 急性副腎不全は表にでにくい副作用であり、突然死で片付けられる可能性がある


(医原性副腎不全は)具体的に、どのくらいの量をどのくらいの期間使用するとどの程度の皮質萎縮を生じるか明確な報告は少ない。・・・プレドニゾロン30mg投与数週間で束・網状帯の萎縮が見られるという報告もある。ステロイド投与中の副腎不全の評価は、竹田らによると、血中コルチゾル、17-KS、17OHCSの測定が有用である。朝食前に血中コルチゾルが10μg/dl以下の場合は副腎不全が疑われる。・・・製剤の種類によっては、前記の測定値に影響を及ぼし、副腎機能不全を診断できない場合があるが、その際はrapid ACTH投与試験g有用である。副腎不全が疑われた場合は薬剤を中止し、6ヶ月から1年間漸減・補償療法が身長に行われなければならない。(参考



1シーズン1回なら副腎抑制も来ず、花粉症治療としては最適・・・と説明がされ、保険者からの指導も強弁でかわしている剛の者もいるらしい。そして、保健指導がいやで、自由診療としておこなっている医者もいるらしい。だが、数週から数ヶ月に及ぶ副腎ホルモン投与が行われている状態となることをもうちょっと真剣に考えてほしいものだ。

・・・医者も、患者側も・・・

by internalmedicine | 2009-02-21 11:28 | 内科全般  

生物学的多様性に富む場所は紛争のホットスポットでもある

戦争は地球上でもっとも生物学的に豊富な地域で生じている。


生物学的多様性の豊富なホットスポットで、戦争の80%が生じていると、Conservation Biology

conservation International(http://www.conservation.or.jp/)・・・通常、私の苦手な分野の人達の主張


"Warfare in Biodiversity Hotspots"というCI(Conservation International)の定義した34の生物学的多様性ホットスポット

→ http://www.biodiversityhotspots.org/Pages/default.aspx

全植物種の半数以上が存在し、少なくとも脊椎動物の42%が存在する、もっとも脅威の有る場所

地球上の生命の宝庫は、地球上のもっとも紛争の多い場所でもあるという認識

価値の高いところだからこそ、紛争のタネに事欠かないのだろう。
日本という国もこのホットスポットに入っていることにも注目すべきだろう。

by internalmedicine | 2009-02-21 10:14 | メディア問題  

社会階層を愚痴るより先にたばこを止めたまえ ・・・ というありがたいイギリスの研究結果

非喫煙者は、男女とも、喫煙者に比べ、全社会階層を通じて生存率が高い。
喫煙という行為自体が、健康に関する不平等に至らしめる、社会的地位より重大な要素である。
男性に比べた、女性の生存率アドバンテージさえ無意味たらしめる要素でもある。


社会的ポジションを愚痴るよりさきに禁煙をまず行え、という示唆的な結果であった。

Effect of tobacco smoking on survival of men and women by social position: a 28 year cohort study
BMJ 2009;338:b480 Published 17 February 2009, doi:10.1136/bmj.b480
コホート観察研究
1972-6年、女性8353名、男性7049名、45-64歳
24グループの分けた(性、喫煙状態:現行・既往・非喫煙、社会的クラスI+II、非マニュアルIII、マニュアルIII、IV+V)と居住地域隔離カテゴリー

相対死亡率(年齢・他リスク補正):Kaplan-Meier生存曲線、28年での生存率

完全データの中で、死亡 女性 4387/7988、男性 4891/6967で

社会階層I+II・非喫煙者(もっとも死亡率の少ないグループ)比較で
喫煙各群の相対リスクは1.7 (95% 信頼区間 1.3 - 2.3) ~ 4.2 (3.3 - 5.5)
喫煙既往での死亡率は非喫煙者に密に同等となる

社会階層、年齢補正・28年後の死亡率



女性非喫煙者:65%、 57%、 53%、56%
女性現行喫煙者:41%、 42%、 33%、35%

男性非喫煙者: 53%、 47%、 38%、 36%
男性現行喫煙者:24%、 24%、 19%、18%

カテゴリー除去後も同様の結果

by internalmedicine | 2009-02-21 09:57 | 環境問題  

前立腺癌死という意義づけだと高齢者PSA検診は不要

下記報告と同様・・・の話


前立腺がん:75歳 PSA<3では検診継続の必要なし?  2008年 05月 26日
PSA 3 ng/mLの75歳男性では、よりaggressive diseaseとなるリスクはすくないため、前立腺癌ルーチン献身は必要ないという、意見文(Carter HB, et al "Prostate specific antigen testing among the elderly: When to stop?" J Urol 2008; 179(suppl): 600. Abstract 1751.
AUA: PSA Testing Might Not Be Necessary for Older Men
Published: May 23, 200


Eurekalert(http://www.eurekalert.org/pub_releases/2009-02/ehs-wsp021709.php)から・・・

PSA値が3ng/mL未満では75-80歳で前立腺癌死はないと the Journal of Urologyで発表

このレポートは前述の報告そのもので、2008年、American Urological Association年次総会で発表されたものである。
PSA健診を75歳で中止する潜在性リスクを検討するため、849名の、Baltimore Longitudinal Study on Aging研究参加者で検討
フォローアップ中央値10年

Median follow-up was 10 years during which the men had a median of four PSA tests.

122名の前立腺癌男性と727名の前立腺癌無し男性を検討
後者は185名のフォローアップ中死亡を含み、剖検で24(3.3%)で前立腺癌あり
年齢rangeは40-92歳
最初のPSA中央値は0.76 ng/mLで、前立腺癌男性では1.25 ng/mLで、前立腺癌なし男性では0.7 ng/mL (P=0.001)で、それぞれ、最終的な中央値PSA値は1.5 ng/mL、5.1 ng/mL、1.23 ng/mL(p=0.001)。
前立腺癌診断での年齢中央値は72.7で、死亡年齢中央値は、全部で75.2、前立腺癌男性で83.1、前立腺癌なしで73.1歳 (P<0.001)

著者らは、高リスク前立腺癌進展可能性を計算、60-65歳でPSA <1 ng/mL 、 >3 ng/mLで層別化
高リスク前立腺癌をそれによる死に至らしめる前立腺癌と定義し、PSA値 >20 ng/mL、Gleasonスコア≧ 8に相当
122名の前立腺癌男性で、18名が前立腺癌死、17名が高リスク癌
35名のサブグループでは、全員が フォローアップ中、>3 ng/mLで、727名が前立腺癌無しあるいは87名の前立腺があり生存と比較可能であった。


著者らは、PSA 3.0 ng/mL以上では前立腺死亡リスクは全年齢層であるとのべ、PSAの凍結血清使用という制限や診断時の前立腺癌の病期やgrade評価がなされてないことなどの研究の限界を記載している。


あくまでも、後顧的研究のため、PSA値による行動変容は否定できない。ただ、検診という枠内では、高齢者PSA検診の妥当性は否定的と言わざる得ないと思う。

読売新聞がPSA検診の議論に熱心なようだが、リスク層別化を無視した、十把一絡げの意見が見られ、繊細さをいささか欠いた議論のように思うのは私だけか・・・例として国別比較というあまりに大胆比較を根拠とするのはいかがなものだろう・・・・( http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/karadaessay/20060825ik09.htm

by internalmedicine | 2009-02-21 08:54 | がん