2009年 06月 04日 ( 2 )

 

米国の移民難民結核検疫

現時点で、日本では検疫感染症(エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱、痘そう、南米出血熱、新型インフルエンザ等感染症、マラリア、デング熱、鳥インフルエンザ(H5N1))に結核は含まれない(http://www5.cao.go.jp/otodb/japanese/houseido/hou/lh_01010.html)。

アメリカの結核対策は、”DOTS(直接監視下短期化学療法)”の普及などアメリカの結核が最近再び減少に転じ、輸入感染、すなわち、難民移民対策が重要視されている。




Overseas Screening for Tuberculosis in U.S.-Bound Immigrants and Refugees
N Engl J Med. Vol. 360:(23)2406-2415 Jun. 4, 2009
1999-2005年USimmigrant2,714,223の海外医学的スクリーニングで、26,075の喀痰塗抹陰性 (i.e., CXRが活動性結核を示唆するが3日連続喀痰検査でAFB陰性)、非活動性結核22,716例(i.e., CXRが結核を示唆するが臨床的に活動性無しと判断)はそれぞれ、10万人あたり961例(95% 信頼区間 [CI], 949 ~ 973) 、837例 (95% CI, 826 ~ 848)
378,506US希望難民のうち、3923名の塗抹陰性結核、10743名の非活動性結核で、それぞれ10万人対1036(95% CI, 1004 ~ 1068)、2838 (95% CI, 2785 ~ 2891)



移民・難民の活動性結核はUS診断は、喀痰塗抹陰性結核7.0%で、非活動性結核は1.6%

フォローアップ


難民移民の医学チェックは主要項目で、1991年 Technical Instructions for Panel Physiciansに基づく検診アルゴリズムで、15歳以上ではCXR・PA撮影、活動性結核・結核症状を示唆しているケースでは喀痰検査を3連日行う。15歳未満では結核病歴、兆候・症状があった場合のみ行う。



日本の結核は・・・世界の結核、日本の結核2007 (pdf file)(09.4.9)

XDRが話題になり、輸入感染の問題より、「耐性結核はman-made disease」ということで、薬剤選択や薬剤アドへランスの問題が大きい。

JATA(www.jata.or.jp/rit/rj/315kataki8.pdf )のよれば、”検査総数で見れば未治療例の0.2%,既治療例の3.0%がXDR”

超多剤耐性結核,Extensively drug-resistant(XDR)結核:多剤耐性結核で,かつ,主要2次抗結核剤6剤中3剤以上に耐性を示す結核。
WHOは2006年10月の専門家会議で,薬剤感受性検査の現状を考慮し,現時点では「MDRで,OFLXまたはLVFXの何れかに耐性,かつ,KM,CPM,あるいは,アミカシンAMKの何れかに耐性の菌をXDRとする」とした。わが国ではCPM,AMKはは抗結核剤として使われていないので,「MDRで,LVFXとKMの両者に耐性」の例をXDRとする場合がある。(http://www.jata.or.jp/terminology/z_15.html



XDR結核  2007-02-15

by internalmedicine | 2009-06-04 11:57 | 呼吸器系  

レビュー記事:COPDの免疫的な側面

COPDの特徴は、可逆性が不完全な気流制限であり、小気道・肺胞の異常炎症反応を伴うものとさえる。小気道の基本的異常は炎症性細胞の存在、気道壁の肥厚のリモデリングとして特徴付けられ、気道径の減少、気道抵抗増加となる。肺胞壁の炎症細胞浸潤、肺胞の破壊、気腔の拡大が特徴で、この呼気流量を生じる弾性圧の減少をもたらす。気道閉塞を伴わない慢性気管支炎は喫煙者の約50%である。COPDを生じる生じないの違いは何なのか?

COPDを免疫学的観点、特に、適応免疫、自然免疫に分け、COPDの病期とともに解説したもの

Immunologic Aspects of Chronic Obstructive Pulmonary Disease
N Engl J Med. Vol 360:(23) 2445-2454 Jun. 4, 2009
COPDへの3つのメカニズム
Step 1 — Initial Response to Cigarette Smoke
喫煙に伴う煙が上皮障害を生じ、”danger signal"として、上皮のTLRsのリガンドとして働き、この作用はケモカインやサイトカイン産生につながり、炎症の起点となる。細胞外マトリックス障害を生じ、結果TLRリガンドの遊離、TLR活性化をもたらし、さらなる炎症、組織障害、抗原物質の産生につうなある。このイベント鎖は、樹状細胞の成熟、局所リンパ器官へのmigrateとなり、T細胞活性化を生じ、発症につながる。Step1固有の炎症が最小化、コントロール下なら、疾患は消滅するだろう。COPDもしくはGold stage 1でない喫煙者の典型的プロセスがこれなのだろう。


喫煙→”danger signal"→IL-8、IL-1β、TNF-α、GM-CSF、MCP-1、ICAM-1→自然免疫系(組織障害・上皮細胞と内皮細胞・アポトーシスとphagosome、壊死・HSP、エラスチン、未成熟樹状細胞・細胞外マトリックス(TLR))




Step 2 — T-Cell Activation and Proliferation
step 1に引き続き、成熟樹状細胞は、局所リンパ組織にmigrateし、TLRsの刺激とともに、CD80-CD86、サイトカイン発現をもたらし、T細胞抗原提示、Th1(effector CD4+ type 1 helper)とcytolytic CD8+ T細胞の増殖をもたらす
樹状上皮からのIL-6分泌により、Treg(regulatory T)細胞からのシグナルを回避することで、effector T 細胞の増殖に向かう。活性化に伴い、effector T細胞は組織特異的ケモカイン受容体を発現する。免疫調整、寛容メカニズムはT細胞effcotor、homing、イベント的に疾患重症度に影響を与える。非寛容はGold stage 3 or stage 4と関連する。Gold stage 2は中等度寛容と関連し、Gold stage 1では完全寛容

リンパ節内:樹状細胞(CD80、CD86)→IL-6を介してTregs
       ↓
CD8+、CD4+(MHC・抗原)


homingにて肺へ

Step 3 — Adaptive Immune Reaction(適応免疫系)
step 2の免疫寛容・調整不全により、適応免疫性炎症(自己免疫)が肺内で生じ、それは、CD4 type 1 helper(Th1) T細胞、cytolytic CD8+、IgG産生B細胞で構成される炎症である。
Regulatory T 細胞 (Treg) と γδ CD8+ T細胞は適応免疫炎症の重症度を調整する。生じた免疫炎症は、CD4+ Th1 T細胞により生じ、活性化自然免疫の活性化による生じる酸化ストレス、proteinseの産生、cytolytic CD8+T細胞とB細胞ととおに、細胞の壊死・アポトーシス、免疫複合体・補体沈着、気道のリモデリングを伴う細胞障害、肺気腫、抗原物質提示を伴い、永続性のプロセスを生じる反応を伴う。step 3において、完全な自己免疫プロセスが生じ、多くは重症疾患 (Gold stage 3 と stage 4)となる。

Th1(Tregs,TγδCD8+によるmodulation) →B細胞(補体沈着、免疫複合体)、自然免疫(proteinase,ROS,NO)・CD8+(アポトーシス)→組織障害→抗原提示と疾病過程持続・COPD発症

by internalmedicine | 2009-06-04 09:38 | 呼吸器系