2009年 06月 09日 ( 6 )

 

Whitehall II研究: 糖尿病への軌道:空腹時血糖、食後血糖、HOMA指数、β細胞機能の変化

糖尿病への軌道Trajectory)
”徐々に血糖があがり、食後血糖の上がりが空腹時血糖より3年ほど先行して増加する。そのころ、β細胞の機能がいったん増加後、発症2年前減少する。HOMA-Rは、ずーと前から徐々に悪化し、発症全五年前から急激に低下する。”


非常に興味ある減少がLancetに報告されている。

Trajectories of glycaemia, insulin sensitivity, and insulin secretion before diagnosis of type 2 diabetes: an analysis from the Whitehall II study
The Lancet, Early Online Publication, 8 June 2009
doi:10.1016/S0140-6736(09)60619-XCite or Link Using DOI
前向き職業コホート研究(Whitehall II study) で、6538 (男性 71% 、白人  91%) イギリスの公務員
ベースラインに糖尿病がない人たちを対象に、9.7年フォローアップ中央値観察し、505名の糖尿病診断
糖尿病診断前13年、もしくはフォローアップ終了まで、食後糖、HOMAインスリン感受性、HOMAβ細胞機能を後顧的評価
年齢、性別、民族補正多段階モデルにて全ての代謝測定因子は非糖尿病で線形であった(10989測定)
例外はフォローアップ中変化の無いインスリン分泌であった。

糖尿病群(801測定)は、空腹時血糖の線形増加は、糖尿病診断三年前に急激な平方的増加(5.79 mmol/L(104.2 mg/dL)→ 7.40 mmol/L(134.8 mg/dL))を示す

食後二時間血糖は、診断前3年で急激な増加を示す(7.60mmol/L(136.7 mg/dL) → 11.90 mmol/L(214.2 mg/dL))



HOMAインスリン感受性は診断前5年で急激に低下(→86.7%)

HOMAβ細胞機能は診断前4-3年の間に増加(85.0% →92.6%)そして診断前に減少(→62.5%)


by internalmedicine | 2009-06-09 15:16 | 糖尿病・肥満  

中年での睡眠と血圧の関係

短い睡眠時間は心血管疾患発症リスクと関連し、血圧上昇との関連が見られる( 2008-11-11)と自治医大の報告。


Coronary Artery Risk Development in Young Adults (CARDIA) cohort studyからの報告で、中年での、睡眠と血圧の関係
 ↓
Association Between Sleep and Blood Pressure in Midlife
The CARDIA Sleep Study
Kristen L. Knutson, PhD; Eve Van Cauter, PhD; Paul J. Rathouz, PhD; Lijing L. Yan, PhD; Stephen B. Hulley, MD, MPH; Kiang Liu, PhD; Diane S. Lauderdale, PhD
Arch Intern Med. 2009;169(11):1055-1061.
降圧剤服薬患者除外下結果、年齢、人種、性別補正後、睡眠時間が短いほど睡眠維持が悪いほど有意に、横断的なSBP、DBP値の高値を予測し、5年にわたるSBP、DBPの副事象的変化も予測しうるものであった(all P < .05)
短い睡眠時間は偶発高血圧のオッズを有意に増加させる(オッズ比 1.37;95%信頼区間 1.05-1.78))。
いびき・昼間の眠気を含む16の追加要素補正後、睡眠と血圧の関係は軽度減衰。

睡眠時間は、時間変化におけるDBPのアフリカ系と白人の差の仲介となっているようである(P = .02).



以下の睡眠障害に関する共役要素と思われる因子補正がなされているか・・・若干疑問をもつ


睡眠時間は心血管疾患・糖尿病のリスク要素であり、うつ、自動車事故・職業災害などとも関連し、死亡率と結果的に関係する。US人口での睡眠パターンについての情報は、2004-2007年のNational Health Interview Survey-Sample Adult Filesで、調査され、睡眠の長さ・短さが相関し、教育レベル、収入、収入源の無さ、週のアルコール回数、心血管疾患・糖尿病、うつ、低体重、活動制限が睡眠時間の長短に関連することが述べられた。
たとえば、子供が小さかったり、未婚だったり、職場の勤務時間が長かったり、飲酒回数が多い場合は睡眠時間が少ない。若年、メキシコ系アメリカ人、妊娠、身体活動が少ない場合は睡眠時間が長いなどの特性が見られた。
Sleep Duration in the United States: A Cross-sectional Population-based Study
American Journal of Epidemiology  Volume 169, Number 9 Pp. 1052-1063






収入と睡眠(American Journal of EpidemiologyVolume 164, Number 1Pp. 5-16

1 = <$16,000; 2 = $16,000–24,999; 3 = $25,000–34,999; 4 = $35,000–49,999; 5 = $50,000–74,999; 6 = $75,000–99,999; 7 = ≥$100,000



24時間血圧計(ABPM)による睡眠障害と長期臨床的アウトカム  2007-04-09

by internalmedicine | 2009-06-09 14:50 | 動脈硬化/循環器  

エコ・アトキンス・ダイエット

例の”あるある大辞典”で。“Atkinsダイエット”って名称をださず、出演者が自分で考案したように”低炭水化物食”を礼賛してた時代があった。
あるある大辞典:炭水化物(Atkins)ダイエット礼賛番組 2005-01-09
低炭水化物・高脂肪食(Atkins食)の減量効果( A TO Z Weight Loss Study)の結果と疑問  2007-03-07
低炭水化物・高脂質食の健康被害と思われるケース  2006-07-03


”低炭水化物、高動物蛋白食”は体重減少を促進するが、LDL減少とはならない。この動物蛋白を植物由来の脂肪に代えることで、体重減少、LDL-コレステロール減少にもつながらないかという試み。

・・・名付けて、”Eco-Atkins”ダイエット・・・うさんくさい名前!

The Effect of a Plant-Based Low-Carbohydrate ("Eco-Atkins") Diet on Body Weight and Blood Lipid Concentrations in Hyperlipidemic Subjects
Arch Intern Med. 2009;169(11):1046-1054.

四週間のトライアル

(1) 低炭水化物 (僧カロリーの26%)、 高植物蛋白 (グルテン、大豆、ナッツ、果物、野菜、シリアルから31%)、植物オイル (43%) プラントベースの食事
(2) 高炭水化物・ラクト・オボ・ベジタリアン (Lacto-ovo-vegetarian: 乳卵菜食: 乳製品と卵)(炭水化物 58%、蛋白 16%、脂肪 25%)

この研究対象食事は、カロリーの60%

対象 47名のうち、44(94%)が完遂、22名がテストと対象に振り分け

体重減少同様で、4.0kg

LDLコレステロール、総コレステロール-HDLコレステロール減少、apo B-Lp - apo AI比は、高炭水化物食に比べ低炭水化物食で、その値は大となる (–8.1% [P = .002], –8.7% [P = .004], –9.6% [P = .001], respectively)
収縮期血圧、各区長期血圧の減少は同様 (–1.9% [P = .052] 、 –2.4% [P = .02])



植物性オイルの多用は、まぁ・・・自然な流れな様な気はするが・・・名前がうさんくさすぎる!


経団連・トヨタのせいで、エコという言葉がとてもうさんくさく響く

by internalmedicine | 2009-06-09 12:12 | 糖尿病・肥満  

たばこと膵炎

喫煙は膵癌との関連は報告されていたと思うのだが、

急性膵炎、慢性膵炎、慢性再発性膵炎でもその影響があるという、デンマーク住民ベースのコホート研究結果
Smoking and Risk of Acute and Chronic Pancreatitis Among Women and Men
A Population-Based Cohort Study
Arch Intern Med. 2009;169(6):603-609.

膵炎発症のハザード比は1日15 ~ 24 グラム喫煙に対し、女性で2.6(95%信頼区間 1.5-4.7)、男性で2.6(95%CI, 1.1-6.2)


今回は北アメリカのNorth American Pancreatic Study Groupの研究
 ↓
Alcohol Consumption, Cigarette Smoking, and the Risk of Recurrent Acute and Chronic Pancreatitis
North American Pancreatic Study Group
Arch Intern Med. 2009;169(11):1035-1045.
平均年齢(SD):49.7(15.4)歳で、87.5%白人、56.5%女性
約1/4が生涯非飲酒常用者
重度飲酒者頻度は、男女で、CP:38.4%、11.0%、RAP 16.9%、5.5%
対照で10.0%、3.6%
非飲酒常用者・軽度飲酒者と比較し、重度飲酒者は、年齢、性別、喫煙状態、BMI補正後も、有意にCPと相関 (オッズ比, 3.10; 95% 信頼区間, 1.87-5.14)

喫煙は独立した、用量依存的なCP・RAPのリスク要素である


アルコールはvery heavy drinker (≥5 ドリンク /日)で相関

たばこは量依存的に関連するというのはその共通した所見であった。原因・結果関係の一証拠となる可能性がある。


再発性膵炎:Recurrent acute pancreatitis (RAP)
慢性膵炎:chronic pancreatitis (CP)


ググると、“急性再発性膵炎”(19,000 件)、”慢性再発性膵炎”(336,000 件)、”再発性急性膵炎”(38,200)、”再発性慢性膵炎”(37,900 )、ステッドマンでは“慢性再発性膵炎”を採用、エフオーワイの添付文書にも”慢性再発性膵炎”・・・Recurrent acute pancreatitis (RAP)の直訳が通じない・・・

専門外なので、誤解しているところもあるのかもしれないが、概念の整理・統一が必要なのでは・・・と

by internalmedicine | 2009-06-09 11:30 | 消化器  

禁煙事前ニコチンパッチは意味がない・・・という報告 ←異議あり! 事前説明が足りなすぎる!


禁煙日にニコチンガムを使用した場合(通常群)と、禁煙四週間前にニコチンガムを使用した場合( precessation treatment group )の禁煙成功率比較

Nicotine Gum Treatment Before Smoking Cessation: A Randomized Trial
Arch Intern Med. 2009;169(11):1028-1034.


”結果は差がなかった”


チャンピクスは、禁煙前、漸増期間一週間がある。このときに、チャンピクス服用時の喫煙満足度の低下を自覚してもらい、あらたなドパミン遊離のない状況で、“ニコチン依存症”を身をもって体験してもらうと、非常に、その後のアドへランスが良くなるイメージがある。



なら、ニコチン補充療法にて、“たばこのありがたみ”をうちけせば、話がわかるのではないかと・・・

この知見は”Instructions were limited to a booklet sent by mail and access to a smoking cessation Web site”ということで、説明不十分な可能性が大。


ニコチン依存により思考過程まで影響されている人たちがいるが、そういう人たちが聞く耳を持ち、身をもってニコチン依存を体験したら、考えもかわるのだろう・・・と思うのだが・・・

by internalmedicine | 2009-06-09 10:40 | 喫煙禁煙  

OTC医薬品・サプリメントとの薬剤相互作用

朝風呂の最中でまともに見なかったのだが・・・NHKで、”サプリメントと薬の相互作用”を放送したらしい

本日、この関係の問い合わせあると思い、メモ代わりに情報サイトを集めてみた。

昨年12月にJAMA(JAMA. 2008;300(24):2867-2878. )でOTC薬剤やサプリメントとの相互作用が記載されていて、当方ブログ(薬剤相互作用:他処方薬剤・OTC・サプリメント  2008-12-24)で紹介したのは、米国高齢者では、処方薬使用割合も多ければ、四割がOTC、半数がサプリメント使用があるということ。


サプリメントに関しては、日本では、「健康食品」の安全性・有効性情報(独立行政法人 国立健康・栄養研究所)が情報を提示している(はず・・・)。OTCに関しては?
OTC医薬品協会なる団体に関して、”相互作用に関しては自分で本を買え!”というスタンスで、販促だけに走っているようだ・・・医薬品情報を担保する気はさらさらないらしい

新潟薬科大学(http://www.jasdi.jp/jjdi/jjdi/vol8-2/8-2abst3.pdf)
 ↓
http://202.244.210.68/


他の情報サイト
・メルクマニュアル:http://mmh.banyu.co.jp/mmhe2j/sec02/ch013/ch013d.html

・講義 食品・サプリメントと医薬品との相互作用
近年,健康食品を含めた食品や嗜好品,サプリメントと医薬品の薬物相互作用が注目されている。代替医療の普及と高齢者人口の増加に伴い,健康増進や疾患の予防・治療を目的として健康食品への関心が高まっており,医薬品との相互作用の可能性についても考慮しなければならない。本稿では,まず薬物相互作用の種類とメカニズムについて概説した上で,健康食品と医薬品との相互作用の事例を紹介する。
内田信也, 山田静雄(ぶんせき)

・食品,嗜好品
牛乳・乳製品,納豆,グレープフルーツジュース,柑橘系ジュース,ミネラル含有品,カフェイン含有飲食物,タンニン含有飲食物,アルコール,タバコなど

・健康食品
セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ),クロレラ,イチョウ葉エキス,ビタミン含有品など


www.jsac.or.jp/bunseki/pdf/bunseki2007/200709kougi.PDF



TOP/NET 医薬品との併用に注意のいる健康食品



by internalmedicine | 2009-06-09 08:56 | Quack